表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

224/540

第218話 顔合わせ


 目が覚めると既に日が落ち始めていた。

 寝たのが夜明けだったから、随分と長いこと眠ってしまったようだ。

 ラルフとヘスター、それからスノーの姿は部屋になく、昨日の言葉通り依頼にいったのかもしれない。

 

 凝り固まった体をほぐしながら、体の調子を確認するが――うん。

 まだ若干の疲労感は残っているものの、体調を崩しているとかはなさそうだ。


 完全回復のためにもう少しだけ眠りたいところだが、今日の夜はミエルとの話し合いがある。

 二人が戻ってくるのを待っている間に、いつでも出られるように準備を整えておくか。



 眠気覚ましにシャワーを浴び、着替えを済ませたところで二人が戻ってきた。

 やはり依頼をこなしに行っていたようで、いつもは飛び掛かってくるスノーも尻尾を振るだけでかなりお疲れ気味の様子。


「お、クリス起きたのか」

「ああ、流石に起きた。まだ若干だが体が重いし寝足らないけどな。そっちはどうだったんだ?」

「私達は依頼をこなしてきました。クリスさんがいなくて不安だったたので、受けたのはゴールドランクの依頼ですけどね」

「ダンジョンに引き続き、スノーが大活躍だったぜ! 俺とヘスターはほとんど何もしてない!」

「ですね! スノーだけで依頼が片付いてしまいました。索敵能力も高いですし、本当に優秀な子です!」


 ワシワシと二人に撫でられ、嬉しそうに鼻を鳴らしたスノー。

 推奨討伐ランクがプラチナの魔物と比べても、明らかにスノーの方が動きが良いもんな。

 体も相当大きくなったし、ゴールドランクの魔物くらいなら一捻りだろう。


「スノー、俺の代わりにありがとな。今度、良い肉を買ってきてやる」

「アウッ!」


 言葉の意味が分かったのか、今度は嬉しそうに飛び掛かってきたスノー。

 俺はそんなスノーを撫でながら、ラルフとヘスターにこれからのことについてを話す。


「依頼終わりで疲れているところ悪いが……二人にちょっと話がある」

「話? ミエル関係の話か?」

「そうだ。昨日伝え忘れていたんだが、今日もう一度ミエルと話す予定となっているんだ。俺はこれからその待ち合わせ場所に行くんだが、二人はどうする? ついてきてもついてこなくても構わない」

「もちろん行きます。どんな人なのか一目見たいと思ってましたから」

「俺も行くぜ! 話には口出しする気ないが、ヘスター同様に一目は見ておきたい」

「そういうことなら一緒に行こうか。スノーは悪いが待っていてくれ」


 こうして帰ってきたばかりの二人を連れ、俺達はミエルとの待ち合わせ場所へと向かう。

 待ち合わせ場所は昨日ミエルを拘束した、人気のない裏路地。

 時間指定は特にしておらず、夜に集合とだけ伝えてある。

 

 まだ日が落ちて間もないため、いない可能性が高いと思っていたのだが……。

 路地裏で一人暇そうに地面を弄ってるミエルの姿が見えた。


「あいつが例のミエルって女か?」

「ああ。あいつがミエルだ」

「変装の達人と聞いていましたが……あれは本来の姿なんでしょうか?」

「そうだ。あれは変装をしていないミエル本来の姿。性別、年齢、背丈まで変えることができるから、ミエルが許可してくれたら後で見せてもらうといい」

「変装するとこ見れんのか。そりゃ楽しみだな! ……てかよ、想像と違ってめちゃくちゃ可愛い子だな! クリス、あの子を思い切りぶん殴ったのか?」

「もちろん。ミエルの方から襲ってきたからな。女だろうが手加減をするつもりはない」

「間違ってないんだろうけど……そのブレのなさはある意味凄いな」


 ラルフが俺を変な目で見ているのを無視し、ミエルに向かって歩く。

 索敵系スキルを全て発動させて、周囲に隠れている奴がいないかの確認も同時に行っているが、少なくとも俺の索敵範囲内には誰もいない。

 約束通り、ミエルは一人でやってきたようだ。


「待たせたな」

「やっときたわね。……後ろ二人はあんたのお仲間さん?」

「そうだ。こっちがヘスターでこっちがラルフ。ミエルとの協力関係を結ぶに当たって、お互いの顔を知っておいた方がいいと思って連れてきた」

「俺がラルフだ! クリスから全ての話は聞いた。敵だったみたいだけど協力者になってくれるなら、これからはよろしく頼む!」

「私はヘスターです。あなたに関してはまだ半信半疑ってところですが、その見極めも行っていきますのでどうぞよろしくお願いします」

「知っていると思うけど私はミエル。あんたらのリーダーに嵌められて、居場所を失った元エリートよ。今はこの国の王女と一緒にパーティを組んでいるわ。もう歯向かう気持ちは微塵もないから、そんなに警戒しないで頂戴」


 自らを元エリートと名乗ったそんな自己紹介の後、ミエルはラルフ、そしてヘスターと握手を交わした。

 言葉の端々に毒があるし、歯向かう気持ちはないと口では言っているものの、未だに根に持っているのは明白。

 ミエルと会う時は、常に警戒を怠らないようにしないといけないな。


お読み頂きありがとうございます!

ここまでで少しでも面白いと思っていただけた方はブクマ、そして下の☆☆☆☆☆から評価を頂けますと、作者のモチベーションが爆上がりします!

お手数お掛けしますが、ご協力頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、コミックウォーカーに飛びます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、コミックウォーカーに飛びます! ▲▲▲ 
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ