第201話 スケルトン集団
どこからともなく次々と地面から湧いてでてくるため数は想像以上に多いが、所詮は大半がただのスケルトン。
スキルも発動させているため軽く適当に振るだけで、脆いスケルトンの体は粉々に粉砕されている。
群れの中に飛び込んだため周囲は敵だらけだが、何の危機感もないまま剣を振りながら突き進み、あっという間に回り込んで襲っていったスノーと合流。
そこからは意図的に避けていたスケルトンウォリアーと、スケルトンメイジの掃討にかかる。
俺がスケルトンウォリアー。スノーがスケルトンメイジを担当し、一気に倒しにかかった。
スケルトンウォリアーは、鎧に盾に剣とフル装備のスケルトン。
装備品も皮の装備ではなく鉄製の装備を使っているため、スケルトンだからといって油断しているとやられる。
集中は切らさないようにし、剣を振り上げて襲い掛かってくる十数匹のスケルトンウォリアーを殺しにかかった。
防具と盾には注意を払い、フェイントを織り交ぜて白い骨の部分に剣を突き刺し斬り裂く。
鉄製の防具を身に着けているとはいえ、中身に関してはただのスケルトンと大差ない。
途中途中で蹴りなどを入れてバランスを崩させながら、俺はあっという間に囲うように襲い掛かってきたスケルトンウォリアーを全て倒し切った。
スノーが相手しているスケルトンメイジはまだ残っているため、即座に助太刀に入る。
豪華な赤いローブを身に着けているデッドリッチーとは違い、ボロボロの黒いローブと質素なワンドを装備しているスケルトンメイジ。
使ってくる魔法は初級魔法のみだが、数は相当いるため意外と対処が面倒くさい。
スノーは上手いこと避けながら倒して回っているみたいだが、俺は面倒なため正面から突っ切って殺しにかかる。
近づくことさえできれば、ローブごと一撃で斬り裂くことができる。
スケルトンメイジから放たれた【ファイアボール】を斬り伏せ、一気に懐に潜り込んだ俺は腹部を水平斬りで斬り裂いた。
魔法を放つ際の挙動から位置が分かりやすいし、この分ならやられることはない。
デッドリッチーのせいで強化されているのか、一撃の火力は高い気もするが初級魔法ならば剣一本での対処も可能だ。
引き続き俺は、スノーと息を合わせてスケルトンメイジ狩りを行った。
約二十体くらいのスケルトンメイジ及び定期的に湧いてくるスケルトンを狩り、こっちの雑魚狩りは一息ついた。
一方のデッドリッチーと戦っているヘスター&ラルフだが、未だに壮絶な魔法戦を繰り広げている。
スケルトンメイジと戦いながらチラチラとヘスターの方を確認していたが、魔法に関してはヘスターとデッドリッチーの実力はほぼイーブン。
タンクとしてラルフがいる分、戦況に関してはヘスターが押しているようだが……それでも決着は未だにつきそうにない。
ただ、デッドリッチーの取巻きであったスケルトン集団を俺とスノーが狩りきったことで、この戦いに関しては勝ちが確定したと言っても過言ではない。
実際に俺とスノーがデッドリッチーに攻撃を仕掛ければ、拮抗しているこの状況でも数分とあれば倒し切ることが可能だと思う。
俺もデッドリッチーと戦ってみたいし、間に割り込んで戦いに加わろうと思ったのだが……。
ヘスターが実に楽しそうに戦闘をしているんだよな。
楽しさからくる笑顔を見せながら、中級魔法を放ちまくるヘスター。
アンデッド故に表情を窺うことはできないが、そのヘスターの魔法に対抗し変幻自在な魔法で対抗しているデッドリッチー。
舐めてかかるとかではないが、ヘスターの成長のためにもこの戦いは助太刀せずに見守る方が得策だと直感的に感じた。
流石にやられかけたら即座にサポートに入るが、それまではヘスターに自由に戦ってもらおうと思う。
スノーには、未だにちょくちょくと湧いてくるスケルトンの処理を行ってもらい、俺はいつでも助太刀に入れるよう、ヘスター対デッドリッチーの戦闘を見学することに決めた。
――高いレベルの魔法の撃ち合いは初めて見たが、近接戦とは違った面白さがある。
近接戦は読み合いが常に発生し、更にそこに技術や力が加わって知る人が見れば面白いのだが、一般人が見た場合は意外と地味な絵になりがち。
ただ、魔法戦は誰が見ても面白いド派手な戦いになっている。
ヘスターは四元素の魔法全てを均等に扱えるため、赤、緑、青、茶のカラフル且つ違った種類のエネルギーを放ちまくり、デッドリッチーはというと水と土の魔法を複合させた、泥のような魔法を自在に操って防ぐという構図。
ヘスターの魔法はとにかく派手で、魔法のまの字も知らない俺でも興奮する攻撃を繰り出し、その派手な攻撃をデッドリッチーは完璧にいなしている。
攻撃側がヘスターなため安心して見ていられるというのもあって、思わず声を上げてしまうほど見入ってしまう。
所々で、デッドリッチーが泥に紛れさせた土魔法で攻撃を図ってくることもあり、その攻撃は完璧にラルフが防ぎきっていた。
一つの戦闘として見ている俺としては、ラルフがガードに入るのが水を差している気がしている感が正直あったが……。
一切の口も挟むことはせず、どういった決着になるのか俺は静かに見守ることに決めた。