第197話 新たなスキル
期間が期間なだけに大きな期待はしていないが、多少は伸びているといいな。
――そんな少しの期待を胸に、俺は早速冒険者カードを確認した。
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【クリス】
適性職業:農民
体力 :25 (+381)
筋力 :23 (+449)
耐久力 :21 (+284)
魔法力 :5 (+146)
敏捷性 :13 (+217)
【特殊スキル】
『毒無効』
【通常スキル】
『繁殖能力上昇』『外皮強化』『肉体向上』『要塞』
『戦いの舞』『聴覚強化』『耐寒耐性』『威圧』『鼓舞』
『強撃』『熱操作』『痛覚遮断』『剛腕』『生命感知』『知覚強化』
『疾風』『知覚範囲強化』『隠密』『狂戦士化』『鉄壁』『変色』
『精神攻撃耐性』『粘糸操作』『魔力感知』『消音歩行』
『自己再生』『身体能力向上』『能力解放』『脳力解放』
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大方の予想通り、あまり能力の上昇はないな。
ロザの大森林では、体力が伸びるレイゼン草を中心に摂取していたことから、体力は30近く伸びているけど、その他は10前後しか能力の上昇がない。
敏捷性に至ってはまだジンピーを摂取できていないため、外部の力に依存していない俺本来の能力上昇しかなく、この一ヶ月あまりで1しか上昇していない。
結構な修羅場を潜ってきたつもりではあったが、俺自身の能力の上昇も陰りが見え始めている。
元々誤差程度しか上昇がなかったが、この様子だとオール40くらいが俺の限界値かもしれないな。
有毒植物での上昇が少ない分、どうしても左側の数字に目がいってしまい、才能のなさに落胆してしまうが……俺に落ち込んでいる暇はない。
頬を軽く叩いて気持ちを切り替え、席を立つ。
ここからは新種の植物の識別と、人型兎のオンガニールの識別を行ってもらう。
「またすぐに来るから、能力判別を頼む」
「すぐって……今日かね?」
「ああ。この後すぐだ」
驚いた様子を見せた婆さんシスターにそう告げ、俺は教会を後にした。
オックスターの神父と違って魔力に余裕があったように思えたから、有毒植物を全て持ってきてドンドンと能力判別をお願いしよう。
そう決めた俺は、採取した植物を持ってくるため『ゴラッシュ』へと戻った。
『ゴラッシュ』に戻り人型兎のオンガニールを食べ、採取した五種の新種の植物を持ってきてから、俺は再び教会へとやってきた。
オンガニールはやはり不味く、若干の気持ち悪さもあるが……休んでいる暇はないため、吐かないようにだけ気を付けながら能力判別の部屋へと直行する。
部屋に入り椅子に座って待っていると、今度はすぐに先ほどの婆さんシスターが奥の部屋からやってきた。
俺が本当にまたすぐに来たことに対し、目を見開いて驚いている様子。
オックスターの神父が何の反応も見せなかったから、この反応が懐かしく思えるな。
「ほ、本当にまた来たのかい! ……そんなにすぐやっても、誤差の範囲内でしか変わらないと思いますけど、大丈夫なんですかね?」
「ああ、大丈夫だ。仮に能力に変化がなかったとしても、一切の文句は言わないと約束しておく」
「そういうことなら、喜んで行わせて頂きます。金貨一枚と冒険者カードをよろしいですかね?」
俺は再び金貨一枚と冒険者カードを手渡し、能力判別が行われるのを静かに待つ。
「――終わりました。変化はないと思われますが……確認してみてくだされ」
「ああ。助かった」
食したのはオンガニールの実のため、能力に変化がないなんてことはないはず。
はたして、人型兎の能力はどんなものだろうか。
自分で討伐した訳でもないし、オンガニールを見つけたおまけ程度なのであまり期待はし過ぎず、俺は冒険者カードを確認した。
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【クリス】
適正職業:農民
体力 :25 (+389)
筋力 :23 (+462)
耐久力 :21 (+288)
魔法力 :5 (+152)
敏捷性 :13 (+241)
【特殊スキル】
『毒無効』
【通常スキル】
『繁殖能力上昇』『外皮強化』『肉体向上』『要塞』
『戦いの舞』『聴覚強化』『耐寒耐性』『威圧』『鼓舞』
『強撃』『熱操作』『痛覚遮断』『剛腕』『生命感知』『知覚強化』
『疾風』『知覚範囲強化』『隠密』『狂戦士化』『鉄壁』『変色』
『精神攻撃耐性』『粘糸操作』『魔力感知』『消音歩行』
『自己再生』『身体能力向上』『能力解放』『脳力解放』
『脚力強化』『深紅の瞳』
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おおっ! 予想以上に能力の伸びがいいな。
敏捷性がかなり伸びているのも嬉しいし、次点で筋力が伸びている。
他の能力の伸びはあんまりだが、おまけとして考えたら嬉しすぎる上昇幅だ。
スキルに関しては、『脚力強化』と『深紅の瞳』の二つ。
『脚力強化』に関しては大体の予想がつけられるが、『深紅の瞳』に関しては何の能力なのかさっぱり分からない。
『深紅の瞳』がハズレスキルと見ても、『脚力強化』は汎用性が高く非常に使い勝手の良いスキルではありそうなので、スキル面で見てもかなり良いものをもらうことができた。
オンガニールの宿主となってくれただけでなく、高い敏捷性に加えて有用そうなスキルまでくれた、あの人型兎の魔物には感謝しかない。
これで新種の有毒植物が五種ともスカだったとしても、十分すぎる成果は得られているため気楽に識別に取り掛かれる。
俺はまたすぐに能力判別を行うことを婆さんシスターに伝えてから、五種の新種の識別に取り掛かったのだった。