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第191話 エデストルダンジョン


「最後は――ラルフだな。ダンジョンで何をしてたんだ?」

「へっへっへ。クリスもやっぱ気になっちゃうか?」


 椅子にドカッと座り、にやけ面でそう聞き返してきたラルフ。

 このやり取りが非常に面倒くさいが、とっとと喋らせるために乗ることにする。


「ああ。気になるから早く教えてくれ」

「まず、俺はこの二週間でダンジョンの十階層まで潜ることができた!」

「それって……凄いことなのか?」

「詳しくは分からんが、多分凄いことだと思うぜ! 最高到達階層が十階層を越えたら中級冒険者と呼ばれていたし、俺はパーティじゃなくてソロ攻略だからな!」


 ……その話が本当なら、確かに凄いことだな。

 パーティは基本的に四から六人で構成される。


 ラルフは最大六人でこなすことを、一人でこなした訳だからな。

 俺が思っているよりも、力をつけているのかもしれない。


「自分の力を可視化できたなら、ダンジョンに潜って良かったな。それでダンジョンはどんな感じだったんだ?」

「地下に広がる魔物の巣くう洞窟って言えば分かりやすいか? とにかく魔物の数が多かったな。地面や壁からも魔物が生成されるから、かなり不意も突かれた」

「そんな環境下じゃ、パーティを組んで攻略に挑むのも当たり前か。ラルフみたいなソロ攻略者なんて、ほとんどいなかったんじゃないか?」

「出会った冒険者はみんなパーティだったわ! ソロ攻略してる奴もいるって話だったけど、この二週間で一度も会わなかったな」

「……よく死なずに済んだな」


 壁や地面から魔物が生成されるとなれば、一瞬にして囲まれることだってあるだろうし、ガード性能が高くなければソロでの攻略は無謀に近い。

 そういった意味では、守備面で圧倒的な才を持つラルフはソロに向いていると言える。


 ……いや、向いているという表現はおかしいか。

 ラルフなら、ソロ攻略が不可能ではないってところだな。


「まあな! 本気で大変だったけど、その分本当に俺のタメになった二週間だったわ! それにソロっていう珍しさもあってか、ダンジョン攻略を生業としている凄い冒険者と知り合えたし!」


 ラルフはまた新しい冒険者と知り合ったのか。

 【銀翼の獅子】もラルフが発端だったし、ラルフのコミュニケーション能力が高いのかもしれない。


「凄い冒険者って誰ですか? エデストルでは有名な方なんですか?」

「多分、有名だと思うぜ! なんてったって、ヒヒイロカネ冒険者って言ってたからな!」

「ヒヒイロカネ? ヒヒイロカネって、ダイアモンドの上のランクってことか?」

「そういうこと! クリスの弟……クラウスの前の五十階層最速到達者が、その人達だったらしいぜ!」


 冒険者ギルドにヒヒイロカネの依頼が貼ってあったし、存在するとは思ってはいたが、ラルフは知り合うことができたのか。

 クラウスの前の五十階層最速到達者。

 肩書きだけでも凄い冒険者だというのが分かるし、実際に会ってみたいところだな。


「今度、紹介してくれ。実際に会ってみたい」

「もちろん! 良い人達だったし、クリスにもよくしてくれると思うぜ! 俺も早速タンクの人に軽く指導してもらったからな!」

「ラルフは色々な人とすぐ仲良くなりますね」

「話しかけやすいオーラでも出てるんじゃねぇかな? 俺は大分性格も穏やかになったしよ」

「確かに……怪我が治ってからは、刺々しい感じが消え去りましたからね。昔のラルフは、誰にでも敵対心を持っていて酷いものでした」

「酷いものって、ヘスターも俺のこと言えた義理じゃねぇだろ!」


 俺とラルフは出会いが特殊だったから、警戒心全開だったのかと思っていたが……誰にでもあんな感じだったのか。

 両親や育った環境を考えれば、当たり前といえば当たり前なのだろうが、性格が軟化してくれたのは良かった。


「話が脱線したから戻すが、他にダンジョンでの出来事はないのか? 攻略する前に言っていた宝箱とか」


 俺がダンジョンの話へと戻し、そうラルフに尋ねる。

 すると、人差し指を左右に振りながらドヤ顔へと変わった。

 ……このなんとも言えない表情、なんかムカつくな。


「宝箱なんだが……。実は、かなり良い宝箱を手に入れたんだよ!」

「かなり良い宝箱? 見つけた宝箱に良いアイテムが入ってたってことか?」

「いや、開ける前に売っぱらっちまったから、良いアイテムが入っていたかどうかは分からん!」


 ラルフが何を言っているのか分からず、思わず首を傾げてしまう。

 宝箱自体に価値があるってことなのか……?


「どういうことなんだ? 言っている意味が理解できない」

「んーとな、ダンジョンで手に入る宝箱には五つの種類があんだよ。ただの木の宝箱と、銅、銀、金、白金がそれぞれ埋め込まれてる五つな! 何も埋め込まれていないただの木の宝箱が一番見つかる宝箱で、中身も大したことのないものばかりしか入ってない。逆に白金が埋め込まれてる宝箱となると――非常に見つけ難い代わりに超希少な装備が入っていたりするって訳だ!」


 なるほど。

 宝箱といっても五段階で分けられていて、木の宝箱と白金の宝箱では全くの別物って訳か。


 ダンジョンは人間が好みそうな要素が盛り込まれていると、以前ラルフから説明されていたが……。

 この宝箱のレア度要素も、まさしく人が好きな要素だな。

 かくいう俺も、レアな宝箱についてかなり気になり始めてきた。


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