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【完結】追放された名家の長男 ~馬鹿にされたハズレスキルで最強へと昇り詰める~  作者: 岡本剛也
1章 『始まりの地、レアルザッド』

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第16話 冒険者ギルド


 翌日……といっても二時間ほどしか眠っていないが、ほどほどに疲労も取れた気がするため早速街へと繰り出す。

 何をするにしても、まずはお金がなくては何も出来ない。


 盗品を売りさばいたお陰で、手持ちは金貨三枚と銀貨四枚に銅貨が数十枚と一見潤っているように感じるが、未知の毒草を探しに行くには全くといっていいほど足らない。

 そこら辺の物を食べれば飢えは凌げるといっても、ペイシャの森での生活のようなことは極力避けたいし、今は本の借金までしているからな。

 

 それと装備を整えることは急務だし、植物に関しての知識もある程度つけなければならない。

 更に一日過ごすごとに、宿泊費の銅貨五枚と食費の銅貨五枚の、合計銀貨一枚を消費するとして、十日で金貨一枚を消費してしまうことを考えると……。

 金を稼がなくては、まともな生活を送ることさえできないのだ。

 

 農民でハズレスキルを引いた俺でも、強くなれるための僅かな可能性は見えたものの、その僅かな可能性を追うために、結局は冒険者となって小銭稼ぎから始めなければならない。

 ……ただ、生きるために漠然と冒険者をやることを考えていた少し前と違い、やらなければいけない理由が明確化されたことでやる気がまるで違う。

 人相の悪い冒険者達の間を突っ切り、俺は冒険者ギルドの中へと入った。


 冒険者ギルドの中は驚くほど広く、受付のようなものがいくつもある。

 種類だけでも依頼用、受注用、買取用、相談用の四つもあり、冒険者の数に負けじとギルド職員の数も多い。


 受付嬢は流石に女性しかいないが、奥で働いているギルド職員はほとんど男性で、それも筋骨隆々の強面もチラホラと見える。

 冒険者に舐められないためにも、武力も兼ね備えているといったところだろう。


 朝だからか、昨日遠目から見た時よりも冒険者が少ないこともあり、俺は並ぶことなく相談用の受付の前に立つと、美人の受付嬢が笑顔を見せて即座に対応を始めてくれた。


「いらっしゃいませ。こちらは相談用の受付となりますが、よろしかったでしょうか?」

「相談……。冒険者になりたいんだが、手続きはここで大丈夫か?」

「はい。冒険者登録でしたら、こちらの受付で手続きさせて頂きます。登録料として銀貨一枚頂きますが大丈夫でしょうか?」

「ああ。大丈夫だ」


 俺は鞄から銀貨一枚を取り出し、受付嬢に手渡す。

 軽く表裏を確認して偽物ではないことを確認出来たのか、再び笑顔を作ってから一枚のカードを机の上に置いた。


「こちら冒険者カードとなります。個人情報を魔法で登録致しますので、口頭で貴方様の情報を教えてください」

「クリス・スパ……いや、名前はクリスで頼む。年齢は十六」

「お名前がクリス様で、ご年齢が十六歳ですね。登録ギルドがレアルザッドっと――はい。無事に登録完了致しました。クエストに関しての記録や教会での能力判別、それから身分証としても使用しますので、絶対になくさないように注意してください」


 そう念押ししてから、冒険者カードを手渡してきた受付嬢。

 俺はなくさないよう、大事にカードを鞄の中にしまう。


「これでクリス様は冒険者となりましたので、クエストの受注やギルドでの買い取りを行うことができます。他に何か質問などはございますか?」

「クエストっていうのは、どんなものでも受けられるのか?」

「いえ。ギルドに依頼されたクエストは、ギルドで難易度順に分けられています。最初は難易度ルーキーのもののみを受けることが出来まして、クエスト達成率と達成数に応じて冒険者ランクが上がりますので、ランクが上がるに応じて受けられるクエストが増えていきます」

「そのランクというのは何があるんだ?」

「最初はルーキーから始まり、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ミスリル、ダイアモンドと続いていきます。その上にもヒヒイロカネ、オリハルコンとあるのですが……こちらは数も少ないので、あまり気になさらなくて大丈夫だと思います」

「説明ありがとう。他の質問なんだが――」


 それから俺は、受付嬢に冒険者についての知らない情報を尋ねまくった。

 最初は笑顔を受け答えしてくれていた受付嬢も、次第に早く終われとばかりに表情が引き攣り始めたのだが、俺は納得するまで情報を聞き出した。

 

 情報はお金と同じくらい重要なもの。

 質問してくれと向こうから言ってきたのだから、一切の遠慮なんかせずに聞き出すのが、嫌われはするだろうが賢いやり方だ。


「……ふぅー。他には何か質問ありますか?」

「いや、もう気になることは粗方聞いた」

「そうですか。それでは冒険者として頑張ってください」

「ああ、ありがとう」


 最後は一切の笑顔もなく、俺を送りだした受付嬢。

 軽くお礼と会釈だけしてから受付を後にし、そのままの足でクエスト受注用の受付を目指した。


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― 新着の感想 ―
一度に全部聞く必要があるかは疑問だが… まぁ心象が致命的に悪くなるかは受付嬢の性格次第か
[良い点] ストーリの流れに無理がない点。人物の描写がわかりやすい。典型的な成り上がりモノだが、他の小説と比較して遜色ない、むしろ際立っていい感じ。 [気になる点] 他の作家にも言えることだが日本語が…
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