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第151話 スキルの数

 

 森の入口に着くと、とびきり元気な様子の女が俺達に手を振っているのが見えた。

 ……そう。毎週、ポーションと日用品を持ってきてくれていたシャンテルだ。

 頼んでいない情報も、副ギルド長と協力して集めてくれていたし、この三ヶ月間は本当に世話になった。


「わー! ラルフさんとヘスターさん、お久しぶりです!! ……あとスノーも!! 元気そうで良かったですよ!」

「シャンテルさん、お久しぶりです。毎週お使いをして頂き、本当にありがとうございました」

「今日まで直接お礼を言えずにすまなかった! シャンテルのお陰で、俺達は森の中でも快適に暮らすことができた!」

「お役に立てていたなら良かったです! カーライルの森で数ヶ月過ごすって聞いた時は、頭がおかしくなっちゃったのかと思いましたけど……。やっぱり冒険者って凄いんですね!! 魔物だらけの森でも暮らせちゃうんですもん」

「シャンテル。それよりも、カルロの情報を教えてくれないか?」


 三人が久しぶりの再会で盛り上がり、話が長くなりそうなところを制止させ、俺は本題を尋ねていく。

 世話になったし、今日くらいは無駄話に付き合ってやるのもいいとは思ったが、全てを今日の内に片付ける予定のため、一分一秒も時間が惜しい。


「……この話を遮られる感じ、懐かしいです!! えーっとですね。ギルド長さんの話では、昨日も明け方まで飲み歩いていたそうですよ! 宿泊している宿屋は、商業通りのど真ん中にある『クレナイ』ってお店です! オックスターで一番高級な宿屋ですね!!」

「商業通りの宿屋で寝泊まりしていて、今日の明け方まで飲み歩いているから昼間は安全なんだな」

「安全だと思います! 何かしらがあって、起きてくる可能性もありますけど……多分大丈夫だと思いますよ!」


 昨日も普段通りの行動を取ってくれていたようだ。

 ということは、昼間の内は見つかる恐れもないため、オックスターで色々と装備やらアイテムを整えておきたい。

 それから……教会に行って、能力判別を行わなくてはな。


 倒せると思ってはいるものの、現状の能力については把握しておきたい。

 それと、基本的に練習することができていたスキル以外を使う気はないが、身につけたスキルの確認も行いたいしな。


 強敵との戦闘では何が役に立つか分からない。

 カルロの戦闘に関する情報がほとんどない今、自分の能力くらいはしっかりと把握しておきたい。


「シャンテル、この三ヶ月間本当にありがとうな。今日も情報を持ってきてくれて助かった」

「ど、どうしたんですか急に!? 褒めても何も出ませんよ!?」

「別に何かが貰いたくて礼を言った訳じゃない。ただ感謝してるだけだ」

「クリスさんが私にただ感謝!? ……大雨でも降るんじゃないですか?」

「ふふっ、……かもな」



 シャンテルに礼を伝えてからカーライルの森を離れ、俺達は三ヶ月ぶりのオックスターへと戻ってきた。

 ずっと自然ばかりと相手してきたため、人でごった返しているのでさえ懐かしく感じる。


 スノーをシャンテルに預け、俺達は久しぶりの家へと戻り、シャワーを浴びてから各々行動を始めた。

 ラルフは残っている金で盾の新調をするらしく、俺も能力判別を終えてから買い物に行く予定だ。


 金も残り少ないため武器を買うつもりはないが、防具は買っておきたい。

 ずっと皮の装備だったし、流石に【銀翼の獅子】を殺したカルロ相手にこの装備では心もとないからな。


 そんなことを考えつつ、俺は久しぶりの教会へとやってきた。

 これから殺し合いをするというのに、この穏やかな教会に来ると心境との

ズレでおかしくなりそうだが、アルヤジさんの最後を頭に思い浮かべて気持ちを作る。


「おっ! お久しぶりですね。てっきり街を離れたのかと思いましたが、また来てくれて良かったです」

「こっちこそ、まだ教会が潰れていなくて助かった」

「それはそれはもう……。クリスさんのお陰で、あと十年はやっていけますとも!」


 満面の笑みでそう言った神父。

 確かに金は落としまくっているけど、あと十年は流石に言い過ぎだろう。

 

「早速で悪いが、今日も能力判別を頼みたいのだがお願いできるか?」

「もちろんです! 何回だってやらせて頂きますよ」

「いや、今日は一回だけの予定だ。……それではよろしく頼む」


 そうお願いしてから、奥の能力判別部屋へと向かった。

 水晶の前の椅子に座り、金貨一枚と冒険者カードを手渡し、能力判別が終わるのを俺は静かに待つ。


「ふっ、ふぅー。終わりましたよ。冒険者カードをお返し致します」

「ありがとう。助かった」


 俺は礼を伝えてから、冒険者カードを受け取る。

 三ヶ月間の修行の成果が、この冒険者カードに反映しているはずだ。

 大きく新呼吸をしてから、俺はゆっくりと冒険者カードを見た。



―――――――――――――――


【クリス】

適正職業:農民

体力  :22 (+305)

筋力  :20 (+372)

耐久力 :19 (+242)

魔法力 :4 (+131)

敏捷性 :12 (+198)


【特殊スキル】

『毒無効』


【通常スキル】

『繁殖能力上昇』『外皮強化』『肉体向上』『要塞』

『戦いの舞』『聴覚強化』『耐寒耐性』『威圧』『鼓舞』

『強撃』『熱操作』『痛覚遮断』『剛腕』『生命感知』『知覚強化』

『疾風』『知覚範囲強化』『隠密』『狂戦士化』『鉄壁』『変色』

『精神攻撃耐性』『粘糸操作』『魔力感知』『消音歩行』

―――――――――――――――



「……くっはっは!」

「……えっ? どうかしましたか?」

「――いや、すまん。なんでもない」


 能力値を見て思わず笑ってしまった。

 俺が初めて能力判別を行った日から考えると、ありえない成長度合い。


 正直スキルの数に関しては、予想していたよりも少なかったが……それでも十分すぎるほどのスキル数。

 それに、オンガニールを介して魔物たちの力を授かることができたからか、能力の方は予想以上の伸びがあった。


 ダイアモンドランクの推奨値とされている640にはまだまだ及ばないが、それでも十分すぎるほどの能力を得ることができた。

 スキルの数も以前まで六個だけだったのに対し、四倍の二十四個をも保有している。


 全てのスキルを使いこなせる訳ではないが、保有していた六個のスキルとアルヤジさんから受け継いだ八個の――計十四個のスキルは問題なく操れる。

 体力も大幅に増加した今、複数のスキルの同時発動も可能だし、俺一人でもカルロを殺せるだけの力は得たはず。


 ただ、カルロがダイアモンドランク以上――初めて冒険者ギルドに訪れた際に受付嬢が言っていた、オリハルコンやヒヒイロカネといった最上位ランク級の力を持っている可能性もないとは言いきれない。

 俺は決して自分の力には慢心せず、全力でカルロを殺しにいくと言い聞かせたのだった。


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