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第118話 悪いニュース


 ラルフが副ギルド長から聞いたという、クラウスについての情報。

 嫌な予感しかないのだが、俺に聞かないという選択肢はない。


「そのクラウスの情報ってなんなんだ? 悪いニュースっていうぐらいだから、俺の居場所がバレて――攻め込んできたとかか?」

「ちょっと待て! そこまでの悪いニュースではないぞ! クラウスが『エデストル』のダンジョンで、史上最速で五十階層突破したらしいって情報だ!」


 『エデストル』……。

 確か、王都、ノーファストに並ぶ王国三大都市の内の一つで、初代勇者の英雄伝にも出てくるダンジョン都市。

 

 そのエデストルのダンジョンを、史上最速で五十階層突破か。

 俺達がオックスターでグリースと争っている間に――クラウスはダンジョン攻略。

 無性にやきもきしてくるが、こればかりは焦っても仕方がない。


「ダンジョンで最速五十階層突破。……これ、悪いニュースなのか?」

「悪いニュースだろ! そもそも五十階層を突破した冒険者自体が、極僅からしいからな! 話によれば――これまで突破することが出来た冒険者は、ダイアモンドランク冒険者のみとも言われているらしいぞ」


 ダイアモンドか……。

 俺達が今、ゴールドランクに昇格したばかりで、クラウス達はダイアモンド。

 ゴールド、プラチナ、ミスリル、そしてダイアモンド。

 

 こう数えてみると、意外と背中が見えている気がする。

 俺が家を出たばかりの頃は、英雄候補と罪を犯した浮浪者という――本当に天と地ほどの差があったからな。


「……なんでこの話聞いてニヤけてるんだよ!」

「確かにまだまだ差はあるけど、俺達驚異的な追い上げを見せていないか? 家を追い出された浮浪者の俺と、廃屋に住み着いてコソ泥しながら……なんとか生計を立てていたラルフとヘスターのパーティだぞ」

「……………………。た、確かに! 上手く行き過ぎてて忘れていたけど、ほんのちょっと前まではド底辺這いずり回ってたんだよな。そこから考えたら……かなり近づいてるのか!?」


 超ポジティブ思考で、喜び合う俺とラルフ。

 実際に、賃貸といえど一軒家を借りて住むことができているし、俺の場合はここから更に飛躍的に能力を伸ばせる目途も立っている。

 ――決して、まだ慌てる段階ではない。


「そうだ! ……まぁそれでも、俺達とクラウス達には大分開きがあるのは事実だからな。気を緩めず頑張っていこうぜ」

「おう! ちょっと落ち込んだけど、なーんか妙にやる気が出てきたぜ! …………あっ、そうだ! それとなんかノーファストで、クリスを探し回ってる奴がいるらしいぞ。副ギルド長から気を付けてくれって忠告された」

「……は?」


 いい感じで場が収まったところに、ラルフが爆弾発言をしてきた。

 ……なぜ、こっちを先に話さないんだこいつは!


「おい、それは悪いニュースだろ! なんでお前の中では、クラウスの五十階層突破の方が悪いニュースって認識なんだよ!」

「……え? だって、ノーファストだしあんまり関係なくないか?」

「はぁ、もういいや。とりあえず、その情報について何て言っていた?」

「探している人物は一人らしい。おっさんだとも言ってた。副ギルド長も詳しくは分からないみたいで、それぐらいしか言ってなかったぞ」


 一人のみで、おっさんか。

 心当たりは一切ないから、クラウスの追手である可能性が非常に高い。


 ……というか、王都から離れた場所でまで捜索を始めているのか。

 自分はダンジョンの五十階層に到達したというのに、本当に執念深い奴だ。


「クラウスが出した追手だったら、下手すれば居場所がバレてもおかしくないな。こっちからも探しだすか」

「俺は心配しすぎな気がするけどな! まぁ、そこら辺はクリスに任せるぜ」


 話が終わったタイミングで、ヘスターが朝食を運んできてくれた。

 パンに目玉焼きにソーセージにヨーグルト。


 追手の件は一応置いておき、警戒だけに留めておくとして――。

 まずは、この豪華な朝食を堪能させてもらうとするか。


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― 新着の感想 ―
ラルフが馬鹿過ぎて心配になるな… 下手すると追手の男から「クリスを知っているか?」と聞かれたら「おう!俺達のリーダーだぜ!」とか平気で答えそうだ…
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