表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

106/540

第92話 狩りの指導


 森の中は色々な匂いがするからか、やたらとテンションが高いスノー。

 今にも鞄から飛び出しそうなのを俺は必死に押さえながら、道中で襲ってくる魔物を退け、拠点へと辿り着いた。


 スノーを拠点の中で放し、俺も一息つくために腰を下ろす。

 さて、まずは何からやろうか。

 俺が一番やりたいことといえば、オンガニールの確認なんだが、それは最後のお楽しみとして取っておこう。


 生えてなかったらやる気が一気にだだ下がるから、最後に確認するのが気持ちの面でも一番良いはず。

 となると、無難に有毒植物の採取からか、いきなりスノーに狩りを教えるか、なのだが……。


 俺は少し迷った末に、スノーに狩りの仕方から教えることにした。

 元気が余りまくっているし、このタイミングで教えて、採取に行っている間はこの拠点で寝ていてくれるのが理想。

 そんな考えから、まずはスノーの狩りから着手することに決めた。


 さて、どう狩りを教えるかなのだが、人形でのキャッチボールができていた訳だし、俺が実際に狩るところを見せれば勝手に覚えてくれるのか?

 道中のゴブリンやコボルトに襲われた際は、鞄から飛び出して助太刀しようとしてくれていたしな。


 尻尾を振り回しながら遊びたがっているスノーを見ながら、どうするかを決めた俺は、スノーを連れて実際に動物を狩ってみることにした。

 狙うは、簡単に狩れる野兎だな。


 スノーを鞄に入れて拠点から連れ出し、野兎を探して付近を歩き回る。

 ――おっ、早速発見。

 目の前に無警戒に跳ねて回る野兎がいたため、俺はそーっと近づき一気に耳を掴んで捕まえた。

 

 即座に締めて、血抜きを行っていると、スノーは興奮したように鞄から身を乗り出して吠えている。

 野生の本能なのか分からないが、死んだ兎に対して吠えまくっているな。

 とりあえず後は、この兎の肉を食べさせてあげれば、狩りというのがどういうものなのかを理解できるはず。


 血抜きをした兎を持って、再び拠点へと戻ってきた俺は、スノーに肉を与えてみることにした。

 生でも大丈夫だとは思うが、スノー自身がまだ小さいため念のため火を通してから与えてみる。


「ほら、ちょっと食べてみろ」


 持参した皿に焼いた兎肉を置き、スノーの前に置く。

 少し前からミルクだけでなく、固形物もあげるようになっていたから大丈夫だとは思うが……。

 興味津々で駆け寄ってきたスノーは、兎肉の匂いをしばらく嗅いでから、味見するかのようにゆっくりと口にした。


 すると、何故か軽くジャンプし、一度吠えてから勢いよく兎肉を食べていく。

 どうやら口に合ったようで、あっという間に皿に盛られた肉を完食した。


「美味かったか? これが“狩り”というもので、自力でご飯を食べる方法だ」

「アウッ!」


 言葉が分かっているのか分からないが、返事をするように吠えたため、俺は数回頭を撫でた。

 後は、今のスノーに丁度良い獲物を見つけてきてあげるだけだ。

 

 スノーを拠点に置いて、俺は付近で何か小動物がいないかを探す。

 流石に野兎は大きすぎるから、もっと小さい動物がいればいいんだが……。

 辺りを探していると、木に登っていくリスが見えた。


 リスなら今のスノーでも狩れるだろう。

 一気にリスの登って行った木へと近づき、ジャンプしてとっ捕まえる。


 殺しはせずに、このリスをスノーのいる拠点に放してみることにした。

 さっきので理屈が分かったなら、うまく狩ると思うんだけどどうだろうか。

 拠点を塞いでから、リスを放して少し遠巻きにスノーの様子を窺う。

 

 リスに気づいたスノーは、首を何度か傾げたあと、上体を低くさせて構えると――一気に飛びついた。

 これは成功したか? 

 …………一瞬そう思ったのだが、噛みつきや引っかきはせずに、ただリスとじゃれているだけ。


 楽しそうにリスを追っかけまわし、リスは必死にスノーから逃げ回っている。

 最終的には二匹とも疲れてしまったのか、体を寄せ合うように寝てしまい――俺の目論見は完全に失敗に終わった。


 ……まぁ、簡単に上手くいくとは思っていなかったし、この一週間で一匹だけでも何か狩ることができればいい。

 そう気持ちを切り替え、俺は寝ている二匹を置いて、植物採取へと向かったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、コミックウォーカーに飛びます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、コミックウォーカーに飛びます! ▲▲▲ 
― 新着の感想 ―
スノーが可愛いのだけど、優し過ぎる性格なのが心配だな… 今のままでは一生飼わないと生きていけない性格になるかもしれない
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ