魔法の竜と大人になった少年
お前たちはいったいあの子になにをしたのだ。
あの子が似合わぬ剣を持って洞窟を訪れたとき、わたしは彼がまた遊びにきたのだと思った。
永遠の意味を知るわたしが永遠と思えるほどに長い年月、再び会いたいと焦がれた旧友が遊びにきてくれたのだと。
驚かせようと眠ったふりをしたわたしの首に、研ぎ澄まされた刃が突き立てられるまで、そう信じていたのだ。
もしあの子が誰かに強いられていたのなら、わたしは哀しみ、元凶を憎みこそすれ、絶望のままにあの子を殺し、お前の王国を灰にすることもなかっただろう。
しかし賞金を得るために、自分の意志と欲望で竜を殺しにきたと言ったあの子の瞳に、わたしは真実の光を見てしまったのだ。
つまらぬ形に鋳られた黄金の下品な輝きが、あの秋の夕暮れにたなびく霧の向こうから、柔らかくさしこむ陽の煌めきよりも素晴らしいと、どうやってあの子に信じさせたのだ。
大勢でごった返す狭苦しい通りを歩くことが、あのチェリーの木が香る道を行くより心浮きたつことだと、どうやってあの子に信じさせたのだ。
あの子がいつか持ってきた、紐や封蝋や、こまごまとしたものに対する愛を、ともに乗った小舟から見た景色の思い出を、どうやって無残に腐らせてしまったのだ。
いったいどんな邪悪が。
教えてくれ、人間の王よ。せめて真実を語ることで、わたしとあの子がかつて築いた、ささやかな心の王国を返してくれ。