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迷宮入り探偵(仮

作者: 雨宮 未來

登場人物


探偵・バッカーノ

[イワン・バッカーノ……天然、ポジティブモンスター、自分を名探偵だと思っている。他に仕事をしている様子はないのに、一体ワトンソを雇うお金はどこから出ているのか謎である。]


相棒・和東 宗治

[ワトン ソウジ……先月アルバイト募集でバッカーノに雇われた大学生。]


警部・生真面目 律儀

[キマジメ リチギ……真面目な刑事で、おおらか、バッカーノになぜ協力要請をするかは後ほど。]


俺田御礼央

[オレダ オレオ……どっからどう見ても名前からして犯人ぽい?]


その他A・一般 モブ子

[イッパン モブコ……被害者の嫁。]


その他B・通利 酢狩

[トオリ スガリ……被害者の会社の部下]


***


バッカーノ[以下バッ]

「次の現場は何処なんだね?ワトソンくん。」→超インチキ外人風に


ワトンソ[以下ワト]

「……バッカーノさん、外国人なくせに日本語しか喋れませんよね?しかも、ボクは有名な探偵の相棒ではなく、ワトン、ソウジです。」


バッ「なーに言ってるんだね、ワトンソくん!我々だって一部に有名な探偵ではないかね!」


ワト「……人の名前どこで区切ってんだよ……ていうか、いい加減なに喋ってるかわからないんで普通に喋ってくださいよ、バッカーノさん。」


バッ「ばっ……!おい!普通とかいうなよ!(しぃー!)誰が聞いてるかわかんねーだろうが!私が日本語しか喋れないと感づかれたらどうするんだ!!」


ワト「……いやなんで今外人風に喋る必要があるのか…………というか誰かに聞かれて困るような、そんな大事な話してませんからね、今。」



『キョロキョロとあたりを見渡しながら、不審な動きをしながら走り出したバッカーノさんの後ろ姿を見ていたボクは、ため息をつきながらバッカーノさんの後ろをゆっくりとついて歩きだした。


ボクらが向かっていたのは一件の高級そうなマンションだった。

外観も見上げるほど高いビルで、エントランスからすれ違いで出ていくマダムが抱っこしている犬さえ、ブランド物の服や首輪で装飾され、ツンとお高く止まっているようにも見えて、なんだかいやな気分になった。』




ワト「バッカーノさん、ここですね。生真面目警部の言ってたマンションは……っておい!」


『ここでピンポンとインターホン越しの『はい』という声』


 ワト「勝手にピンポン押してんじゃない!!いつも適当に押しちゃダメだってあれほど……!!」


バッ「イッパンさんの御宅ですか?そちらに生真面目という刑事は……」


ワト「あーばばばば!!すいません部屋を間違えましたあああ!!」


『え?あの……ガチャン』


ワト「バッカーノは馬鹿なのか!!」


バッ「誰がバカだ!!私はバッカーノだ!!何年助手をやってんだ!間違えんな!名前!!」

 

ワト「先月アルバイトの募集でやってきただけのまだまだ様子見の付き合いだ!!……まったく、こんな仕事だとわかったらやってなかったですよ……!」


バッ「ふうん、そうか。そんな私と働けて嬉しいのか?だが時給は上げません!790円です!」


ワト「はぁ!?令和2年度の日本の最低賃金より下回るってブラックすぎでしょ!?」


バッ「ワトンソく、ん、そんな、揺らしたら、さすがの私でも、揺さぶられっ子症候群で……」


ワト「アンタの頭は新生児か!!」


『ここで電話の音→着信音的な音楽でも可』


『後ろでアーターマーガーユーレールーなどのバッカーノの声(遠くで聞こえるように』


ワト「はい、ワトンです。あ、生真面目警部。あ、はい、今玄関ホールで……あ、はいわかりました。

1304号室ですね。

……あ、自動ドア開きました、向かいます。

バッカーノさん、いきますよ」


バッ「は!?何ここはどこ?私はどこ!?」


ワト「はいはい、いきますよ。」


『ボクはそう言うと、バッカーノさんを引きずる様に連れて、自動ドアの奥へと消えていった。

エレベーターで13階までどこにも止まらずに上がると、ゆっくりとドアが開く。

開いたドアの向こうに、見慣れたガタイのいい男が立っていた。』


生真面目警部[以下生真]

「バッカーノさん!そして、ワトンさん!お忙しいとこ来て頂いてありがとうございます。」


バッ「生真面目くん、現場はどこだい?」


生真「あ、こちらです。関係者も現場で残ってもらってます。」


バッ「今回もスピード解決するぜ!この、名探偵バッカーノにかかれば、な!」


生真「はははは、そうですね!いつもバッカーノさんには助けられてます。

では、こちらです。」


バッ「ワトンソくん、いくぞ!」


ワト「……はぁ、わかりましたよ。」


『ボクとバッカーノさんは生真面目警部の案内で、廊下を歩いていく。

彼は生真面目警部。35歳で、結婚の有無はわからない。

性格は名前の通り真面目で、コワモテそうな警部という職業の割に、人当たりが良さそうな雰囲気だ。

ボクと生真面目さんが会うのは、これで3回目となる。


夕暮れを全面に映し出す大きな窓をみながら廊下を進んでいくと、一番奥の扉の前でボクらは立ち止まった。

そして生真面目警部の案内で室内へと入っていった。』


生真「現場はこちらです。

被害者は一般太郎[イッパンタロウ]35歳、こちらのマンションに住んでいる男性です。

こちらの包丁で背後からヒトツキされており、傷が深くほとんど即死の状態のようです。」


バッ「……これは。」


生真「バッカーノさん?」


バッ「……後ろから刺されている。」


ワト「いやいやいや、今生真面目警部がそう言いましたよね!?」


生真「はははは、恐縮です。」


バッ「……この血痕の量から推測すると……ほぼ即死だ。」


ワト「だからぁ!今警部が言いましたって!!……ってなんですかそのバカを見るような顔でこっちを見てるんですか!

バカはお前だ!!バカめ!」


バッ「は!?なっ……!貴様、私は雇主だぞ!!何度もいうが私の名前はバッカーノだ!!」


ワト「いや、ボクが言ってるのは、名前じゃねーから!!」


生真「はははは、仲がいいですね!」


ワト・バッ「「仲良くねーから!!」」


生真「……じゃあ、気を取り直して、説明を続けますね。とりあえず、凶器の包丁がこちらです。」


ワト「ちょ……!!バッカーノさん!

なに凶器の包丁を素手で触ろうとしてるんですか!?

指紋がついちゃうでしょ!!」


バッ「だからと言って包丁触ろうとしている人の手を手刀で落とすとか、しないだろ!?

足の中指がパックリ割れて、指が6本になるとこだったぞ、おい!!」


ワト「……チッ」


バッ「ああああー!!!この人今舌打ちしたああ!

警部に言いつけてやるんだから!

被害届出してやるんだからね!!」


生真「……被害届は自分に出されても困るので、最寄りの警察署で受付しております!」


バッ「ってマジで答えんなよ……。あーあ、バッカーノちゃん、興醒め!

真面目に推理しちゃうし!もぉーなんなのあんた達!

遊びがないと推理とかやってらんないんだからね☆

もぉー、どんだけー!」


ワト「……キャラがJKなのかオカマなのか……ぶっれブレですけど、生真面目警部すいません、先をどうぞ。」


生真「あ、はい。では続きを……って、どこまで言いましたっけ。」


ワト「被害者の名前、死因、凶器ですね。」


生真「ああ、ではこちらに。


……

   

こちらが被害者の奥さんでイッパンモブ子さん。

そしてこちらが、第一発見者のトオリスガリさんです。」


バッ「……犯人はあなたですね?」


モブ子[以下モブ]

「……は?」


ワト「アババッバ!……適当に指差しながらいうな!!!(バシッ→ワトンソが何かを叩く音」


バッ「ぶったね!?オヤジにもぶたれた事……」


ワト「(間を入れず)そんな古いネタ知ってる人はこの配信にはいないから!!……てか幾つなんだよあんたは!!」


バッ「今年で21歳になりました!」


ワト「……てか同い年だったのかよ!!」


バッ「誰が老け顔やねん!!」


ワト「……被害妄想!!」


生真「あ、すいませんね、いつもの事なのでね。」


モブ「……え、ああ、いえいえ……。」


トオリ[以下トオ]

「あの、大丈夫なんですかね?この人、探偵なんでしょ?」


生真「……大丈夫です、……多分。」


モブ「多分……。」


ワト「はっ!!……すいません、取り乱しました。

えっと、被害者の奥様のモブコさんと、第一発見者のトオリさん……」


トオ「あ、はい。私がトオリと申します。

トオリスガリです。」


バッ「……名前からして犯人じゃないな。」


ワト「……名前で判断すな!!(バシッ」


バッ「きゅうんっ(子犬が泣くような声」


モブ「……イッパンの……妻のモブコ、です。」


ワト「……えっと、トオリさんは、被害者のタロウさんとはどういう関係で……?」


バッ「どうせ愛人だろ??奥さんがいない隙に一緒にいたとこを朝イチで奥さんに見つかっちゃって、奥さんが旦那を刺しちゃったんだろ?」


トオ「……私男性なんですけど。しかもただの部下です。

今日は社長のご予定が朝イチで会議が入っておりましたので、迎えにきてほしいと言われ、指定された時間通りにきたのです。」


バッ「今時おっさん同士のBLも需要あるっていうしな。ちょっと前に流行ったじゃん、ドラマ……えっと、キュンですおじさんだっけ?」


ワト「……なんでちょっと今風タイトルなんだよ!!あえてタイトルは言わないけど、勝手に腐女子が喜ぶ展開にするな!」


生真「はははは!」


ワト「いや、警部も笑ってる場合か!!」


トオ「……えっと、警部さん、ほんとに名探偵なんですよね、この人」


生真「検挙率今のとこ100%の探偵さんです。大丈夫です。」


バッ「体も頭脳も大人ですけど、名探偵で……ギャフン!!(叩かれる音」


モブ「……本当に大丈夫かしら……(ため息をつく」


(バッカーノがモブコのため息を待っていたかのような間)


バッ「……今ため息をつきましたね?」


モブ「……え?」


バッ「ため息をついたか、と言ったんです。」


モブ「……つきましたけど」


バッ「……ふっ。私に指摘されて、あなた、息が溢れましたね!?」


モブ「な、なんのことでしょう……?」


バッ「……犯人は、あなただ!!」


ワト「だから結論がはやーーい!!(バシッ」


バッ「ウキューン!」


モブ「わ、私は犯人ではありません!!……アリバイもあります!!」


バッ「……ほう?アリバイとは?」


モブ「……私、警察から連絡来るまで、この人と一緒にいました。」


バッ「この人とは?」


『被害者の奥さんのモブ子さんの視線の先に、1人の若い男がいた。

みんなが一斉にその男に視線が集める。

少し儚げな表情をモブ子さんに向け、悲しそうに微笑んでいた。

その表情やしぐさも含めて、あーこいつモテるんだろうなと、ボクは少し口を尖らた。』


バッ「……貴様、どこから入ってきた!!」


オレダ[以下オレ]

「……いや!最初からいましたって!!」


バッ「まったく気がつかなかったが、貴様……まさか忍者か!?(以下ぶつぶつと訳が分から   ないことを言う」


ワト「はい!話が進まないから、バカなこと言わないで引っ込んでようね!?」


バッ「ヒデブッ!!」


オレ「……え、えっと、僕は。

モブコ先生の生徒で、オレダオレオ、と言います。」


ワト「先生……?」


生真「ああ、モブ子さんの職業はピアノ講師をしているようですね。

オレダオレオさんは、そのピアノの生徒さんのようです。」


バッ「……オレダくんは若そうだが、幾つなんだね?」


オレ「……20歳です。今年21です。」


バッ「なんだよ、タメじゃん?同級生に悪い奴いないって。

   ……君いいよ帰って。」


オレ「……え?あの僕、帰っていいんですか?」


ワト「ダメですダメです!!帰ったらダメですまだ事情聴取中!!」


オレ「……ですよね、でも、僕先生の側にいてあげたいので、聴取終わってもここにいてあげたいんですけど……ダメですか?」


バッ「ああ、いいよいいよ、いてもいいよ!子供は隅っこで体育座りしてていいよ!!」


ワト「……いや今自分が同級って言ったじゃねーか!!」


バッ「……いっちいちこまけー事を拾うんじゃありませんよ!」


[以下遠くで2人のやりとり]


モブ「警部さん……ほんとに、この人大丈夫なんですかねえ!?」


生真「奥さん、落ち着いてください。……大丈夫です、多分」


モブ「多分……」


生真「多分きっと。」


モブ「……多分きっと……」


生真「……はははは」


オレ「……先生、大丈夫です。僕がついてます。」


モブ「……オレオくん……」


『2人の普通でない空気をボクは見過ごさなかった。

そしてソッとそれをバッカーノさんに耳打ちする。』


ワト「(小声)……バッカーノさん、あれ。あの2人、どう見ても怪しいですよ。

しかもオレダオレオなんて主張強い名前ですし……」


バッ「どれどれ。……はーーーん!なるほどな。」


ワト「……犯人が分かったんですか?」


バッ「私にかかれば、簡単だ。このバッカーノの名にかけ……」


ワト「(間髪入れずに)いちいち他の探偵の殺し文句をパクって行くのやめろ!!(ばし」


バッ「あっふん!」


トオ「先ほども言いましたが、今日は大事な会議があって、社長……イッパンタロウさんの要請で、朝7時にチャイムを鳴らしました。

何度も鳴らしましたが、応答がなく……よく見たら施錠されていなかったため、中へと入り、社長が血を流して倒れているところを、発見した次第です……。」


生真「死亡推定時間は、昨晩……午後8時から9時の間。

死因は先ほども言いましたが、出血死……ですが、心臓まで達する傷により、動脈が損傷、即死だったと。

そしてその間、妻のモブコさんは……」


モブ「私は彼のレッスン中でした。」


オレ「はい、レッスンを受けていました。

それから一緒にレストランへ……先生と約束していたので……」


ワト「……約束、ですか?」


モブ「……はい。オレオくんが、実は先週のコンクールで優秀な成績を収めまして、そのお祝いを……。」


オレ「レストランはずっと前から予約してたし、僕らの顔をきっと覚えているんじゃないかな?ね、先生。

予約の時に僕がコンクールのお祝いだって言ったら、わざわざオーナーが僕と先生にって、結構いいワインを出してくれたんだよね?」


モブ「……ええ、そうね。あの時はもう9時過ぎてたけど、移動時間もあるから……アリバイにはなると思います。」


バッ「……アリバイ、ねぇ。」


オレ「……なんかありますか?」


バッ「あ、君はいいの。君は疑ってないから。顔からして純粋そうだし、やっぱ同い年だしね。

私的に、君は疑ってないから。」


オレ「……え?あの、……え??」


バッ「移動がどうのって言ったって、死亡推定時間の間はレッスンしてたなんてなぁー。

怪しいよなぁー。」


モブ「……え?」


オレ「……いや、先生は僕といたので、先生のアリバイは僕が……」


バッ「君はいいんだって!!ほんといいの。気にしないでね!

私が疑っているのは、君じゃないから!!」


オレ「……へ!?……で、でも、僕といたって……」


バッ「んもぉ、イケメンはなにしても絵になっちゃうやつー!

私もイケメンだけど、君も中々のイケメンだからね!

まーーーったく疑ってないの、ほんと。」


ワト「ファ!?イケメン関係あります!?」


バッ「なに言ってんだ!イケメンは正義って言葉があるだろ!?

私も小さい頃からおばあ様に『お前は可愛いから将来イケメンになるぞ』と英才教育を意受けてきた生粋のイケメンだ。

きっと彼もだ。間違いない。

そんなおばあさまの教育法に間違いはない。彼はいいやつだ。」


ワト「いやいやいや!!そんなのボクだって言われてましたし!!

近所のまーこちゃんにも将来が楽しみって……ってなんですかそのかわいそうな子を見る目は!!」


バッ「ごめん、私は嘘をつけないんだ……!」


ワト「バッカーノさんのバカーーー!!!(ばし」


バッ「いや、いてっ!!暴力!やめて!!きゃー!」


[以下遠巻きに2人のやりとりの、後]


オレ「……先生は、なにもやってません!」


ワト「……なんで言い切れるんですか?」


オレ「……僕が、証人だからです」


バッ「いや、君はホントいい子だなぁ……こんな犯人庇って……」


モブ「え、私犯人じゃな……」


トオ「……え?奥さ……まさか……」


モブ「いや、違うわ、私じゃありません!!」


バッ「貴様は黙ってろ!!夫殺しといてのうのうとイケメンに庇われて!(舌打ち)

こんな若いイケメンにここまで庇ってもらって恥ずかしくないのか!!」


モブ「……え?いや、私は……!」


バッ「もうはっきり言っちゃえよ!私がやりました、ってさ。」


モブ「え、だから、私……やってないんです!!」


バッ「もうこっちは分かってんだよ……、みなまで言わすな……、な?」


モブ「いやだから、私は……!」


オレ「……違う!!……違うんだ……!先生じゃない!!……オレが殺した……」


オレモブ以外の全員「「「え!?」」」


モブ「……オレオくん!?」


オレ「オレが先生の旦那を、殺したんだ!!」


ワト「え、まさかの?……まさかの自供!?」


バッ「……えー?」


モブ「オレオくん……!!どうして……?」


オレ「この旦那は先生に暴力を振るってたんだ……!

警察に行っても夫婦間の問題だって取り合ってくれなくて……先生が自由になるには……オレ達が結ばれるには、こうするしかなかった!!」


モブ「オレオくん……!!(泣き崩れる」


オレオ「あの日レストランの予約時間前に、先生の旦那に会いに行ったんだ。

そして、暴力を止めるように説得しようと思った。

だが、オレと先生の仲を疑った旦那さんが逆上して……包丁を出してきたから……。

オレは大人しくかえるフリをして、包丁を奪い、後ろから……。

ああ、先生、オレは、なんて事を……!!」


『うなだれ、膝をついたオレオ。

それに寄り添い、泣き出したモブ子さん。

シーンと静まり返った部屋に、2人のすすり泣く声だけが響いていた。』




バッ「……あ、あーね?そう言うことね?」


ワト「……絶対分かってなかったでしょ……!」


バッ「バッ……貴様私を誰だと思ってる!!名探偵バッカーノ様だぞ!!」


ワト「……あーまたこのパターンだよ!!」


生真「いやぁ、今回も名推理でしたね!お手柄ですよ!!

今回は前回より早いタイムで犯人をあげることができました!

本当に、バッカーノさんには頭が上がりません。はははは!」


トオ「……あ、あのお……」


生真「すごいでしょ?バッカーノさん。」


トオ「……はぁ……」


生真「あの人ね。

犯人を見事に外しまくって、逆に犯人が痺れを切らして自供するという戦法の探偵さんなんですよ。……新しいでしょ?」


トオ「……それは、新しいのでしょうか……?」


生真「警察としてはものすごく助かってます!あの人のお陰で犯人が簡単に捕まえられますし、犯人も自分からやりましたー!!って言うから、タイミングにもよるんですが、自首として罪も軽くなったりとかね。犯人にも優しい探偵だと有名なんですよ!」


トオ「……左様ですか……」


生真「見事に今回もホシが自首したので、早急にこの事件も終わりです。流石検挙率100%!

まぁ奥さんは彼が犯人だということは知らなそうなのでね。彼も情状酌量が認められそうですしね!」


トオ「(生真面目の話を切るように)……あの、私はもうこれで……行っていいですかね?」


生真「ああ、今日のところは!また事情を聞くことがあると思いますので、その時は署の方へ。」



『トオリは生真面目警部に軽く会釈をすると、ドアから廊下へと出て、ゆっくりと歩く。エレベーターを押し、下へとボタンを押すと、ギリギリのところで閉まるドアに飛び込んできた二人組に押され、端へと避ける。

横目でその2人をチラリと見つめたが、探偵と呼ばれた男は、その連れの男にこっぴどく説教をされていた。

それをのらりくらりと探偵が明後日の回答で交わしているようにも見えた。

いや、これが彼の本質……本音なのだろうか……

もう会うこともない、奇妙な探偵とその助手を見つめたまま、なんとも言えない気持ちで、開いたドアから急ぐように出て行った背中を見送った。』


ワト「バッカーノさん、殺人事件とかもう、危険手当!!バイト代はずんでくださいよ!!」


バッ「仕方ない時給を1円50銭あげてやる」


ワト「50銭ってなんですか!?ねえ!!」


バッ「ワトソンくん!行くぞ!!次なる事件へ!!」


ワト「ボクはワトンソウジだ!!あんたの助手なんか絶対やめてやる!!」


バッ「ワトンソ!100円!!ねぇ、100円拾った!!」


ワト「10円ならまだしも……はぁ、交番に届けますよ……!」


バッ「ヤァーだ!ヤァーだなのー!これでうまい棒買うのぉ!」


ワト「あーやだほんとに!面倒見きれない!!絶対!やめてやるからなああ!!」


(声が遠くなっていく)








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