dart【名】【投げ矢、ダーツ】であいうえお小説
dart【名】【投げ矢、ダーツ】であいうえお小説
dress【名】【ドレス】:ドレスがたくさんあって悩む。
(全部、着たい……!)
ちらっと、隣を見るとそれを理解している彼の表情が見えた。
(本当にスゴイなぁ……)
今の私の表情は無表情に近い。だから、私の事を知らない人が今の私を見たら、無表情でドレスを眺めているだけのように見える。だけど、彼は違う。私のこの無表情に近いこの顔を見て、私の気持ちを理解してくれる。初めて会った時から、そうだった。きっと、彼との結婚もその時に無意識のうちに決めていたのだろう。だから、こうして、今、彼と共に結婚式の準備の一環として、ドレスを選びに来ているが、ドレスがたくさんあり過ぎて、どれも可愛くて選べない。他の人がどうやって選んでいるのか不思議だ。
私が、ドレスを眺めていると、彼と店員さんの会話が聞き漏れてくる。
「――全部は――」
「どれくらい――」
きっと、私の思いを代わりに伝えてくれているんだろう。だから、私は彼が戻ってくるのを大人しく待っている事にした。
しばらくすると彼が私に耳打ちしてきた。
「全部だと、相当時間かかるって。だから、5着に絞ってほしいって」
(全部試着する場合の時間まで聞いてくれたんだ……。うれしいな)
確かに、
altogether【副】【全部で】:全部でってなったら、すごい時間もかかるし、店員さんが一番大変だ。
(5着に絞れるかな?)
私は頷き、たくさんのドレスがある列へ向かって歩いていく。最初に目に入ったドレスからやっぱり、着たいと思う。でも、次のも着てみたい。そんな感じだと結局すぐ言われた5着になってしまう。私はたくさんのドレスがある列を何度も往復し、次の列、次の列とドレスを眺めていく。たまたま同じ列に来ていた彼の表情を見ると、なぜだか私より、ウキウキとドレスを見ている。
(なんで、私よりウキウキしてるんだろう……)
これだけ広い
room【名】【部屋】:部屋に所狭しと飾られているドレスたち。この中から、5着選ぶのって難しい気がする。それなのにウキウキしてる彼が不思議で、近くに行き理由を聞いてみた。すると、常に無表情の私が赤面する答えが返ってきた。
“だって、全部似合うからさ。しかも、その内、5着は実際に君が着たのを見られるんだもん。ウキウキするよ”
それを聞いた私は勢いよく、彼とは反対方向に
turn【自】【向きを変える】:向きを変える。
(この私を赤面させるなんて……)
嬉しさを隠し切れないのと、全部似合うと言われたことが嬉しすぎて、頬が熱を持つのがわかったから。
彼は私の顔を見ずとも今の私の気持ちなんてお見通しという様に、頭をポンポンしながら、「テレてるの? 可愛い」と言ってくる。
余計にテレてしまい、私は頬を両手で挟むようにして、しゃがみ込む。
「それじゃあ、これが1着目ね」
そういって、彼が店員さんを呼ぶ。
きっと、ドレスを着た私を見て、彼は私をもっと今以上に赤面させるに違いない。私は覚悟を決めて、店員さんと共に試着室の中へ足を踏み入れた。
読んで頂きありがとうございました。