表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

山ン本怪談百物語

踏切

作者: 山ン本

 カンカンカンカンカンカンカンカンカンッ!



 大学生の夏、友人が住むアパートへ泊まった時の出来事。


 「うるせぇなぁ…」


 友人が住む部屋はアパートの2階。俺たちは深夜遅くまで酒を飲みながら、ゼミの愚痴や就職活動の話題で盛り上がっていた。


 時間は深夜3時過ぎ。気がつくと俺は、床に寝転がったままの状態で眠っていた。外から踏切の警報音が聞こえてくる。



 カンカンカンカンカンカンカンカンカンッ!



 「はぁ…今何時だよ…」


 こんな時間に走る電車が存在するのだろうか。たぶん回送電車か踏切の点検を…



 カンカンカンカンカンカンカンカンカンッ!



 静かな夜に、大きな警告音が鳴り響く。


 「あぁ…またか…」


 近くで眠っていた友人が目を覚ました。友人は立ち上がると、窓の方へ向かってゆっくりと歩きだした。


 「おい、どうしたんだよ」


 「いや…気にしないでくれ…よくあるんだ…」


 友人が窓の鍵を外した。そしてそのまま勢いよく窓を開いた。



 カンカンカンカンカッ…



 踏切の警告音が止まった。俺は窓に近寄ると、外の様子を確認した。


 「あれ?電車…」


 アパートの近くに、小さな駅と踏切があった。駅の電灯は消え、線路は伸びきった草で荒れ果てている。


 「ここ、廃線なんだって。でも来るんだよ、電車…」


 友人はそう呟くと、何事もなかったかのように窓を閉めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] うーん。ゾッとさせますね。 友人の仕方ない、諦めてる感も伝わります。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ