ヤンデレ?妹
二話では蓮季の公介も知らなかった姿が見られます!
入学式まで残り二日、旅立ちの朝。
公介は東京で暮らすために実家を出る。ドアを開け家を出ると、閉めたドアが開き後ろから声がかかる。
「公介!どうして何も言わずに出て行こうとするんだ!」
父が眉間に皺をよせて怒鳴る。
「まあまあ、そんなに大きな声を出さなくてもいいじゃない。公介くんなりに思うところがあったのよきっと」
雪さんが父ー権蔵を諫める。
「そんなのは関係ない!」
「父さん!その辺にして!兄さんも挨拶ぐらいしていくべきだよ!」
「すまん……。また何かあったら連絡するよ」
「絶対だからね。用事がなくても連絡してよ」
わかったと返事をし、父と母には目も合わせず歩きだす。
「いつでも帰ってきていいのよ」
背中越しに雪が囁く。公介は一瞬立ち止まったが、見向きはせずそのまま歩きだす。
大阪駅に到着し、のぞみ号のチケットを購入後、特に変わったことも無く乗車する。
新幹線が出発して数分経過した頃、携帯からピコンと音が鳴る。
公介はゲームの通知だろうと思い、タブレットを見ずに持ってきていたラノベを読み続ける。
……ピコンピコンピコンピコピコピコ!
通知音が信じられない速度で鳴る。
公介は何事かと読んでいた本を置き、ポケットから携帯を出す。どうやら妹からメールが来たようだと、内容を確認してみる。
『兄さん、もう駅には着いた?』
『もしかしてまだ乗れてないの?何かあった?』
『まさかとは思うけど、無視してないよね?』
『もし、もしだよ。無視してるなんてことがあったら、どうなるかわかってるよね兄さん…』
(いや、怖っ!こんなキャラじゃなかったはずなんだがな……)
公介は急いでメールを返そうと文字を打つ。
『すまん、気づかなかった。問題なく新幹線に乗れているよ。後、ちょっと怖い』
返信すると、すぐに返信がくる。
『無事ならよかった。次からはすぐに返信してよ!最後のは半分冗談だから』
(半分冗談って、もう半分は本気だったのか。どうなるところだったんだろうか)
これ以上考えるのはやめておこうと思い、ゾッとしながらも、了解とだけ返信しておく。
その後ラノベを読んでいると、作中で過度なブラコン妹が登場した。この本に登場する妹が、途中でヤンデレ化したが、最後は大好きなお兄ちゃんと結ばれ、ハッピーエンドで幕を閉じた。
物語中盤、妹がヤンデレ化したときはどうなることかと思ったが、作中の妹はそこを除けばすごく可愛く表現されていて驚かされた。
さすが妹物のラノベを書かせたら右にでる者はいないと言われる大作家、伏書先生だなと公介は感心する。
作中のヤンデレ妹をみて一瞬頭に蓮季がちらついたが、きっとそんなことはないはずだと自分に言い聞かせて、これ以上考えないようにする。
新幹線が到着し、電車で家まで向かう。
三話からは憧れである歌い手の白黒ちゃんと出会います!
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