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大学生の青春と歌い手  作者: 鮎沢 美涼
初めての一人暮らしまで
1/2

一人暮らし

一話なので面白いシーンは少ないですが、二話以降に出会い、大学生活、友達に新人賞、妹の愛などおもしろくなっていきますのでよろしくお願いします!ブクマ等よろしくです!

 カタカタッカタカタッ

 軽快な音をたてながら、キーボードを打つ音だけが暗い部屋に響く。

「公介くん!ご飯できたから、降りてきて!」

 母が二階から大きな声で三階の自室にいる公介を呼ぶ。

 公介は母に呼ばれているが、ヘッドフォンを付け動画を観ているため、呼ばれていることに気づかない。

 数分後、なかなか下りてこない公介を呼びに母が部屋にやってくる。

「さっきから呼んでいるのにどうして無視するのよ!」

 母の怒気のようなどこか悲しそうな声が部屋に響く。

「あーごめん。動画観てて気づかなかったよ。すぐ降りる」

 そう答えると、いつものように母ー雪は二階のリビングに下りていく。

 またやってしまったか……。

 ここ最近はずっとこんな感じである。というのも、歌い手である白黒に夢中になってしまってから、ずっとこの有様である。

 歌い手ー世間では知らない人も多いが普通の歌手とは違い、動画サイトに歌ってみた動画を投稿している人のことを指す。

 白黒は歌い手の中でも人気トップクラスで、女性でありながら男性だけではなく、根強い女性ファンも多い。

 人気の理由は主に二つある。一つは歌が上手いのはもちろんのこと、高く綺麗な透き通る声とかっこよく美少年を彷彿とさせるかのような声を使い分けることができる。二つ目はそのルックスである。身長は150センチと小柄だが、どこか大人な雰囲気を持っている。髪はよく染めるので変わるが、金色がベースのセミロングで、貧乳だがスタイルは抜群。鋭い目つきはファンの心を掴んで離さない。

 白黒は歌ってみた動画を投稿しているだけでなく、趣味のゲーム配信やその声を活かし、声優など多岐にわたる活動をしている。年に数回ライブも行っており、ファンクラブを持つほどの人気である。

 そんな白黒の動画が更新される度にリアルタイムでつかさず観ているため、今回のようなことが起きてしまうのである。

 動画を観終わり、二階に下りてリビングの隣にある和室でご飯を食べる。

 ご飯はすっかり冷めてしまっているが、それでも雪のご飯はとても美味しい。

「どう?美味しい?」

 雪がリビングから公介に顔を覗き込むようにして訊く。

「まあ、普通かな」

 本当はすごく美味しかったのだが、素直においしいとは言えず、ぶっきらぼうな態度をとってしまう。

「あらそう。不味くないのなら、良かったわ」

 雪は微笑む。

 どうしてこのような態度をとってしまうのか。それは雪が、公介の実の母親では無い事が原因である。

 公介はご飯を食べ終えてすぐ、風呂に入ってしまうことにした。

 しばらくして風呂から上がり、公介は東京での一人暮らしに向けて、荷造りを始めた。

 公介は大阪に在住しているが、進学先は東京の大学を選んだ。

 ライトノベル作家志望の公介にとって大学は面倒で仕方なかったがこのご時世、進学しとくにこしたことはない。作家になれる可能性など微々たるものなのだから、当然といえば当然である。

 ではなぜ大阪から離れた東京の大学を選んだのか。それはもしかしたら、憧れの存在である白黒にあえるかもとか作家デビューすらしてないくせに、編集者が近いからといった浅はかで浮ついた気持ちからである。

(まあ、家族と過ごすのも息苦しいしな……)

 そんなこんなで、一週間後の引っ越しに向け用意しているのである。

 用意を始めてすぐ、誰かがコンコンッとドアをノックする。

「兄さん、入るよ?」

 そんな掛け声とともに黒髪ショートカットにパッツンで容姿端麗、凛とした顔なのだがどこか幼さを残す、そんな美少女が部屋に入ってくる。

 我が妹ながら、俺と違い顔立ちが良いなと公介は嘆息する。

 それもそのはずで、公介と妹である蓮季は義理の兄妹で、公介は父の蓮季は母の連れ子なのである。

「何しにきたんだ?蓮季」

「ちゃんと荷造りできてるかなと思って……」

 蓮季は心配性で面倒見が良く、公介を気にかけてくれる。

「今やっているところだったんだね。手伝うよ」

「私が手伝いたいだけだから、気にしないで」

「そうか。ならお願いしようかな」

 蓮季は言い出したら何を言ってもきかないので、公介は蓮季の言葉に甘えることにした。

 公介は嬉しく思い、蓮季の頭をなでる。

 えへへーと嬉しそうににやにやしている蓮季を見て、その喜び方はどうなんだと公介は苦笑いする。

 兄妹で荷造りを進めながら、会話を交わす。

「兄さん、来週にはこの家にいないんだね」

 蓮季は少し寂しそうな顔をしている。

 蓮季の表情に公介は気付いていたが、なんてことないように公介は応える。

「そうだな。心配事でもあるのか?」

「一人暮らしを始める原因が、この家の居心地が悪いからじゃないのかなと思って」

「違うよ。ラノベ作家を目指すのに出版社が近いからだって前にも言っただろ」

 蓮季に図星を突かれたが、公介は誤魔化して応える。

 公介は誤魔化せているつもりだな、蓮季から見れば、ばればれの嘘だった。

「そう……ならいいんだけど……」

 その一言から会話が途切れ黙々と作業が続き、荷造りが終わる。

「兄さんのためならなんてことないよ」

 そんな言葉を交わし、蓮季は自室にかえっていく。

 蓮季はブラコンではないはずだが、蓮季の兄への優しさ異常に強い気がする公介だった。

読んでくださりありがとうございます。

結構先の方までかけているので、小出ししていきます!

二話以降もよろしくお願いします!

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