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未定  作者: RIOU
一章
2/2

1



夏休みも中盤に差し掛かった蒸し暑い日。本日は、以前から予定していた、私と棗がともに買い物に行く日だ。

棗のセクハラは軽く流しつつ、手早く身支度を済ませた私たちは、現在モール街を歩いている。

今朝方、壊れてしまった目覚まし時計を購入することを予定に付け足し、店先々にある物品を物色していた。


「これで何個目だったかな…」

「先月分合わせて20個目です…ごめんなさい」

「まぁ、わざとじゃないから仕方ないか。去年に比べて数は減ったしな。偉いぞー」

「お姉ちゃん…(トゥンク」


頭を撫でてやると、もっとと強請るようにすり寄ってくる。

腹違いの妹である棗は、私とは違い、かなり容姿に恵まれており、10人が10人振り返るレベルである。

父に似ていないところを見ると、会ったことはないが、あちらの母親に似たんだろう。

私も母親似であるため、妹とはまったくと言っていいほど似ていない。

唯一似ているのは瞳の色だけだ。


「やっぱりお家デートにすればよかった。お姉ちゃんを見る視線がうざいです」

「いや、その視線は間違いなくお前に向けられたものだからな」


だからそんな血走った目で周りを威嚇するんじゃない。

可愛い顔が台無しである。


棗はその容姿ため、当然かなりモテる。

モテるのだが、残念なことに重度のシスコンなのだ。

その度合いは、私がいない世界など価値はないとま言い切ってしまうほどである。

私自身も、そんな妹に対して甘いなという自覚はあるので、朝のような砂糖菓子のような甘い雰囲気は日常茶飯事だ。


幼い頃、私の母親と父親は離婚。

離婚の原因は、父親がかなりのクズだったためだと、幼いながらも理解していた。

私自身は母に引き取られたが、離婚後あとすぐに蒸発したため、祖母のもとへと引き取られた。

厳しくも優しく育ててくれた甲斐あって、私は順調に人生を歩んでいった。祖母には感謝しても仕切れないな。


そんなある日、父親に連れられてやってきたのが当時7歳の妹、棗だった。

その時初めて知ったが、離婚の原因はの浮気だったらしい。

父親は離婚後、相手の女性と音信不通になったのだと言う。

しかしつい半年程前に、その相手が亡くなったと連絡がきたのだ。


父は連絡を受け、家族の元へ訪れたのだが、なんとそこで、相手には子供がいることが発覚。

血液検査の結果、まぁ案の定父親の実の子供であるという結果に。

クズだクズだと思っていたが、ここまでクズとは思っていなかったな。


相手の家族は他界していたため、父親であるものが棗を引き取るのは当然である。

が、育児や家事全てを母に押し付け、家に金すらまともに入れなかった父親に、当時7歳の棗など育てられるわけもない。

むしろ育てる気すらなかったのだろう。


棗は父親に連れられ、突然やってきた。

事の顛末を聞いた祖母は、大激怒。

当然である。


まぁ、家に教育費その他諸々振り込んで2度と、現れない関わらないを条件に妹を引き取って今に至る。


初めて会ったときは親の仇でも見るかのような嫌われ方だった。

目の前にいるのは、自分の母親を苦しめた存在の娘。

それだけで憎悪の対象になるのは誰でも想像できる展開なのだが、なぜこんなゲロ甘になったのかは不明である。


解せぬ。


「ところで、お姉ちゃん」

「なんだ、棗」

「さっきから見える黒い渦はなんだろうね」

「そうだな。心なしか徐々に近づいてきている気がするんだが」


他の通行人には見えていないのか、絵の具の黒い色をそのままぶちまけたようなドス黒い謎の渦が凄まじい速さでこちらに向かってきている。


このままでは確実に直撃コースだろうと冷静に判断する。

もっと危機感を持て?

いやいや、人知を超えたものに遭遇すると逆に冷静になれるものだよ。


私は妹を引き寄せ目を閉じた。

その瞬間、浮遊感に襲われ、荒れ狂う風の音を聞きながら意識を手放した。


所で、この状況下で私の胸をいじろうとした我が妹のブレのなさは賞賛すべきなのだろうか。






気づけば大分経ってましたね。

少しずつあげていきます。

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