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荒野の魔術師  作者: イルカ
9/12

決意

すみません、しばらく更新が止まってました。本日一気に三話投稿します。

 僕は結局、魔術師になる決意をした。

 そして、村を出ることになった。


 タカバネによる母さんの説得のあと、夕方畑から帰ってきた父さんにも、母さんが同じ説明をした。

彼は寝耳に水な話に驚いていた。

しばらくは沈黙が食卓を支配した。


 正直、僕は突然こんな大事を持ち込んで両親に申し訳なかった。ここまで育ててくれたのに。勝手に飛び立つようで。しかしその申し訳なさを言葉に出しては言えなかった。育ててくれたからこそ言うべきでないと思った。


 最終的に父さんは、

「おまえのやりたいようにしなさい」

 と言って、僕の頭をくしゃくしゃと撫でた。


 やりたいこと。


 僕の意思は既に決まっていた。父さんはそれを、後押ししてくれたのだ。この先、魔術師になることが逆に安全なら、なるしかない。それにもともと魔術師に興味はあったのだ…例えタカバネの脅し、いや説得がなくても僕は魔術師になったかもしれない。


 魔術師になる話に初め猛反対した母さんも、その時には納得しているようだった。でも本当に、僕が魔術師になること、村を出ることを伝えると、

悲しげな微笑を浮かべて「そう」とだけ言った。



 両親と話が付いた夜の翌朝、

もちろん、僕は兄弟たちにも僕が家を出ていくことを話さねばならなかった。ただ出ていくのではなく、家族にはきちんと事情を話しておかないと害が及ぶ可能性がある。

 

 ダンとイーニャは小さすぎて分からなかっただろうけど…。きょとんとしていた。それでいて僕が出ていけば後になってわんわん泣くんだろうなと、胸が痛んだ。


 案の定というか、姉さんは怒った。

「突然何言いだすのよあんたは!そんな急に村を出て魔術師になるですって?あんたまだ十歳でしょうが」

 怒り方、似ている母娘だな…なんて思いながら、笑って見せた。


「別に、今生の別れって訳じゃないよ…」

きっと当分帰れないだろうが…。それに帰れない危険性もある―――

「…村にも帰れるし」


姉さんの低い声が遮った。

「魔術師って、戦争になったら戦わなきゃならないんでしょ」


 ギクリとする。姉さんは鋭く僕を睨んでいた。


「あんたは言わなかったけど、タカバネさんが前に教えてくれたの。そういう危険もあるってこと。

あんた、心配させたくないのは分かるけどさ。色々と誤魔化すのも大概になさい! そこがあんたの悪いところなのよ。私はそこらも含めてあんたが心配なの!…死んじゃったら何て誤魔化す気?」


 三白眼の姉さんの後ろで、じっと母さんが僕を見詰めている。姉さんは母さんの言いたいことも代弁している…そんな二人の表情だった。


「―-あとね、あんたの所為じゃないのは分かる。だけどやっぱり勝手じゃないの! 畑の手伝いどうすんの。ダンたちはまだ小さいし、あんたがいなきゃ…」

 そして、突然姉さんは涙をこぼした。静かに泣いていた。


またも心臓がはねた。

姉の泣き顔なんて見慣れているはず。なのにいつものように慰められない。ふと感じた。僕を大切に思ってくれている…家族のこの涙は宝物だと。

 嬉しいような、悲しいような。身勝手への申し訳なさよりも、心配される嬉しさが心を占める辺り、

僕はどうしようもなく甘えたがりだ。転生したばかりの頃、本当は家族ですら信用していなかったのに。でも今は、暖かい家族があることが、ただ嬉しくて…






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