決意
すみません、しばらく更新が止まってました。本日一気に三話投稿します。
僕は結局、魔術師になる決意をした。
そして、村を出ることになった。
タカバネによる母さんの説得のあと、夕方畑から帰ってきた父さんにも、母さんが同じ説明をした。
彼は寝耳に水な話に驚いていた。
しばらくは沈黙が食卓を支配した。
正直、僕は突然こんな大事を持ち込んで両親に申し訳なかった。ここまで育ててくれたのに。勝手に飛び立つようで。しかしその申し訳なさを言葉に出しては言えなかった。育ててくれたからこそ言うべきでないと思った。
最終的に父さんは、
「おまえのやりたいようにしなさい」
と言って、僕の頭をくしゃくしゃと撫でた。
やりたいこと。
僕の意思は既に決まっていた。父さんはそれを、後押ししてくれたのだ。この先、魔術師になることが逆に安全なら、なるしかない。それにもともと魔術師に興味はあったのだ…例えタカバネの脅し、いや説得がなくても僕は魔術師になったかもしれない。
魔術師になる話に初め猛反対した母さんも、その時には納得しているようだった。でも本当に、僕が魔術師になること、村を出ることを伝えると、
悲しげな微笑を浮かべて「そう」とだけ言った。
両親と話が付いた夜の翌朝、
もちろん、僕は兄弟たちにも僕が家を出ていくことを話さねばならなかった。ただ出ていくのではなく、家族にはきちんと事情を話しておかないと害が及ぶ可能性がある。
ダンとイーニャは小さすぎて分からなかっただろうけど…。きょとんとしていた。それでいて僕が出ていけば後になってわんわん泣くんだろうなと、胸が痛んだ。
案の定というか、姉さんは怒った。
「突然何言いだすのよあんたは!そんな急に村を出て魔術師になるですって?あんたまだ十歳でしょうが」
怒り方、似ている母娘だな…なんて思いながら、笑って見せた。
「別に、今生の別れって訳じゃないよ…」
きっと当分帰れないだろうが…。それに帰れない危険性もある―――
「…村にも帰れるし」
姉さんの低い声が遮った。
「魔術師って、戦争になったら戦わなきゃならないんでしょ」
ギクリとする。姉さんは鋭く僕を睨んでいた。
「あんたは言わなかったけど、タカバネさんが前に教えてくれたの。そういう危険もあるってこと。
あんた、心配させたくないのは分かるけどさ。色々と誤魔化すのも大概になさい! そこがあんたの悪いところなのよ。私はそこらも含めてあんたが心配なの!…死んじゃったら何て誤魔化す気?」
三白眼の姉さんの後ろで、じっと母さんが僕を見詰めている。姉さんは母さんの言いたいことも代弁している…そんな二人の表情だった。
「―-あとね、あんたの所為じゃないのは分かる。だけどやっぱり勝手じゃないの! 畑の手伝いどうすんの。ダンたちはまだ小さいし、あんたがいなきゃ…」
そして、突然姉さんは涙をこぼした。静かに泣いていた。
またも心臓がはねた。
姉の泣き顔なんて見慣れているはず。なのにいつものように慰められない。ふと感じた。僕を大切に思ってくれている…家族のこの涙は宝物だと。
嬉しいような、悲しいような。身勝手への申し訳なさよりも、心配される嬉しさが心を占める辺り、
僕はどうしようもなく甘えたがりだ。転生したばかりの頃、本当は家族ですら信用していなかったのに。でも今は、暖かい家族があることが、ただ嬉しくて…
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