第6話 前向きに
男の子?
確かに今そう聞こえた。なるほど、性別を選べないってこういう事なのか。
生まれたばかりでぼんやりとする視界の中の天井を見つめながら考えた。これからどうしよう。今まで女の子として生活してきたからなぁ……
そうそう、さっきからなんか息苦しいような……
「先生大変です! 赤ちゃんの首にへその緒が巻き付いてます!!」
別の看護婦の声が聞こえた。
へえ、そんな場合もあるんだな。
「この子か!?」
とても近く。いや、頭上で先生と思われる声がした。
私じゃないか。
待って、生まれてすぐ死んじゃうなんてあんまりじゃないか。
なんて考え事をしていると、だんだんと意識が遠のき元からぼやけている視界もさらにぼやけてきた。
どうしよう。このままだと本当に死んでしまう。
「ぬうん!!」
先ほど頭上で聞こえた声がまた聞こえてきた。それと同時にふわりと浮く感覚に襲われ、首の回りがピリッとした。
いったいなんなんだ……あれ、苦しくない。
「先生、魔法成功ですね! お母さん、赤ちゃん無事ですよ。良かったですね!」
この世界には魔法があるのか。いやいや、それよりも助かって良かった……
「ええ……先生、有り難うございます。良かった……本当に良かった」
優しい声が響いた。これが私のお母さんの声かぁ。
なんて考えてると、
「おぎゃ~~~~あぁ~~~」
と、やっと自分の声がする。
「はい、元気な女の子ですよ」
男の子は、別な赤ちゃんだったんだ。安心。
「ところで、もうお名前は決めてあるんですか?」
「はい」
母親と先ほどの看護婦の会話が聞こえてきた。
私の名前かぁ……なんだか不思議だな。
「あら、良ければ聞かせてくれます?」
「この子の名前は、ナノ。ナノ・ヴァネッサよ」
……同じ名前。なのに、響きが違うのはなぜだろう。不思議だなぁ。
同じ名前で違う苗字(?)で生きていくのは、ちょっと慣れるまで大変そう。
今度の人生は、前向きに生きていこう。
そう心の中で誓ってみた。
期末テストのためしばらくお休みさせていただきました。すいません!
これからもがんばっていきたいと思います。
ちなみに私は、首にへその緒が巻き付いて生まれてきたんだと母から聞かされました。
7月6日
第6話って入れるの忘れてました。