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第1話 私の願い

「はあ……」

 登校中、私は大きなため息を吐いてしまった。

 特に友達もいないし、親しい人もいない。いわゆる『ぼっち』というやつだろう。


 ブイイイィィィィィン

 近くで木を切っているのだろうか、チェーンソーの稼動した音と

「さて、朝っぱらから仕事でもしますか」

 呑気な男性の声と

「痛い、痛い、助けて! やめて!! お願い、きゃあああああああああああああ」

 まだ幼い少女の声が聞こえる。

 何故だろう。私には動植物の声が聞こえてしまう。

 どうして私だけに聞こえるのだろう。私に聞こえたところで何もできないのに……

「ごめんね、何もできなくて」

 ぼそり、と呟いた。まだ幼い少女に向けて。


 私って、なんで誰の役にも立てないんだろう。頑張っても何も出来ないんだろう。

 どうしたら誰かの役に立てるんだろう。


 なんて考えても無駄なのかな……

 ぼーっとしていると小学生とぶつかってしまった。

「あ、ごめんね。怪我とか、無い?」

「うん、だいじょーぶ。お姉ちゃんありがとう!」

 たたたっと女子児童は足早に横断歩道の向こう側にいる友達らしき子の方へ向かっていく。

 だが、その女子児童が渡った横断歩道は


 赤だった。しかも大型トラックが彼女に迫っている。

「危ない!!」

 咄嗟とっさに体が動いた。自分でもあり得ない、という位の速さで。

 どすん、という鈍い音が聞こえたと思えば、次の瞬間私は地に伏していた。

 重い体を少しだけ持ち上げて、さっき突き飛ばしたと思う彼女に目をやる。

 突き飛ばしたせいで少し膝をすりむいているようだが、大事には至らず、無事だった。よかった……

 私、役に立てたかな……?


 神様、もし、生まれ変われるなら、もっと沢山の人の役に立てるよな人に・・・

 薄れゆく意識の中、ただ、それだけを願った。

3月17日

少し修正しました。


5月31日

さらに読みやすいよう修正をしました。

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