其の八
其の八
ぼとりと何かが落ちた。
彼女はその落ちたものを両目で見る。
それは目玉だった。
紛れもなく自分の、彼女の目玉だった。それが目玉だと分かった直後に凄まじい痛みが右目を襲った。
「ぎゃっ・・・・・・ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
しかし落ちたはずの、なくなったはずの右目はしっかりと見えていた。
彼女の悲鳴を合図にそれは始まった。
死神の尻尾を使い切った代償が始まった。
彼女の皮膚はドロリと溶けていった。
皮膚はただれ落ち、次に筋肉、神経、血管、骨以外の全てがドロドロになり、彼女から剥がれていった。
彼女はその激痛に耐え切れずにのたうち回った。
そしてカーテンを力任せに引き千切り、その真っ黒なカーテンは彼女を包んだ。
そしてその激痛がおさまり、彼女はゆっくりと立ち上がった。生きている。激痛に悶えながらも彼女は生きていた。
否。
その表現は間違っている。
生きながらに死んでいる。死にながらに生きている。
彼女は窓に写る自分の姿を見て絶句した。目玉はない。なのに見えている。その骨だけに変わり果てた自分の姿が写っていた。
――な・・・・・んだこれは・・・・・。これじゃまるで、死神じゃないか。
彼女は骨だけの姿になり、真っ黒なカーテンがその身体を覆っている。その姿はどこからどう見ても死神の姿だった。
これが代償なのだ。
――誰だ?
死神の尻尾を使い切るという代償なのだ。死神の尻尾を使い願いは叶っただろう?
彼女の失われた目に写るのは自分と同じ姿形の死神だった。
つまりは私である。
私は死神だ。お前と一緒のな。
――死神?お前が?いや、あたしが?
お前は代償を支払わなくてはならない。その代償とは、死神になりこれから未来永劫にわたり死者の魂を狩る事。
――ふっ・・・・・ふざけるな。
ふざけてなどいない。願いを願い、願いが叶っただろう?これがその代償だ。生きながらに死んでいる。死にながらに生きている。お前の意識は途切れることはない。
――そんな・・・・・。あたしは死ぬつもりだったんだぞ?いっそ殺してくれた方が。
死を覚悟した者の前に死神の尻尾は現れる。お前はもう死ぬことは出来ないのだ。
――そんな・・・・・そんな・・・・・ありえない・・・・・ファック・・・・・ファック・・・・・。
死を受け入れている者にとって死は一番の不幸ではない。
むしろ幸福の部類に入るだろう。
死を願っている者から死を取り上げる。それが代償なのだ。
我々は意識を共有している。やり方は既にお前の頭の中にある。せいぜい代償を支払っていくんだな。
彼女は私のその言葉を聞くと崩れ落ちた。
彼女は、願いを願って、願いが叶ったが為に願いは叶わなくなったのだ。
死ぬという彼女の願いは永遠に叶う事はなくなった瞬間だった。
これが全ての結末であり答えだ。
彼女が答えにたどり着いていれば、彼女の願いは叶ったのだろうか。
いや、答えがわからなかったからこそ、願いが叶わなくなるのかもしれない。
答えなど見つけるべきものではないのかもしれない。
仮に、仮にだ。
もしもこれから死のうとしている奴がいるのならば・・・・・いや、この事実を知ってしまった者がいるとするならば気をつけた方がいい。
今、お前の
カカトの
後ろ には―――――
何
が
あ
る ?
終わり
最近ですね、寝ていてですね、眼が覚めるじゃないですか?それで意識も覚醒していない状態でですね、伸びをするわけです。するとですね、左のふくらはぎをツルんです。そして朝方に悲鳴をあげるんです水無月夜行ですこんばんわ。
そしてですね、最近ではそれに慣れてきて無意識で伸びを途中で止める水無月夜行ですこんばんわ。
えーっと、とりあえず完結ですね。ここまでこんな訳のわからない小説を読んでくださってありがとうございます。
そして問題は解けたでしょうか?
ちなみに語り部は最初から作者ではなく死神さんにしてもらいました。死神さんは暇なんですね。だからあんな変な問題を作るんです。
これはあくまでも予定ですが、そのうち気が向いたら「死神の尻尾2」を書きたいですね。
主人公は爽真直道くんです。なぜか生き返った自分といなくなった歪。自分が生き返った理由と歪を探す。そんなストーリーを考えていますが・・・・・書けるかなぁ。
ま、とりあえずですね。ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
実はSF作品をもう1つ書いてます。
「綺麗な妖精にはトゲがある」こちらも宜しければ読んでやってください。
それではここまで本当にありがとうございまいた。