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其の四

 其の四




 願いは叶った。この死神の尻尾は本物だ。かと言って何かが変わるわけでもない。なぜなら―――――。



「本物だという事は分かったけど、あたしに願いなんてないんだよなぁ。お前、何か願いはないの?」



 そう言って自分の膝の上を見る。そこにいるのは昨晩、彼女が死神の尻尾を使って生き返らせた猫だった。



 猫は「にゃーん」と一声泣くとまた眠りについた。



「気まぐれだな」



 ――さて、どうしたものか。他に願いか・・・・・。一つ目の願いは叶った。仮に願いが三つまでだとすると後は二つか。うーん・・・・・。



 彼女は次の願いを考える。



「やっぱ、ここは無難に金かなぁ」



 彼女には家族がいる。家がある。そして彼女はそれがあまり好きではない。



 誰にも干渉してほしくはないのだ。今はまだ中学生で金がない。だから金を貯めて、どこか遠くへ行きたいと幼い頃から思っていたのだ。



「でも死ぬんだったらそれも必要なくなるしなぁ。ま、最後に旅行ってゆーのも悪くないか」



 彼女はそう言い桐箱に視線を向けた。そして手に取り蓋をあける。



「ん?ちょっと待てよ。対象に触れないといけないってゆー、あたしの仮説が正しいなら、この場合はどうすればいいんだ?」



 つまり願いをする対象が今回はないのだ。



 猫を生き返らせた時は、死体という対象があった。しかし今回は何もないところから金を出さなければならない。



「そうか。簡単な事だな」



 彼女はおもむろに自分の財布から千円札を取り出した。



「対象を出すのではなく、増やせばいいんだ」



 これならば対象がある。触れられるのだ。彼女は死神の尻尾に触れた。そして千円札に触れ、言った。



「増えろ」



 この死神の尻尾は本物だ。それは確認済み。そして猫を生き返らせた時と条件を全く同じにした。叶わないはずがないと彼女は確信している。



 しかし、その願いは叶わなかった。



「なぜだ?これは本物だろう?全てあの時と同じ条件なのになぜだ?」



 彼女は腕を組み考える。



 ――あの時と違う事?何がある?対象が生物ではいといけないとかか?



「ん?生物?死体?死神?・・・・・ここから連想されるものは・・・・・いや、でもまさかな」



 彼女は自分の考えを否定した。



 それは難易度が極端な答えだったからだ。願いにも色々な種類がある。



 それはその中では一番難易度が高く、それだけは出来ないというものがほとんどだ。しかし死神の尻尾はそれだけを叶えてくれる。それだけを。



「死神の尻尾。死神。死神から連想されるものは一つ。それは死だ。死者の魂を狩る死神。そして死神の尻尾は死だけを対象とした物・・・・・という事か?つまり死者を生き返らせる事が出来る物。それだけしか出来ない物・・・・・」



 それが彼女の結論だった。



 死神の尻尾は死者を生者に戻すことが出来る。それしか叶えられる願いはないのだ。



「普通は一番難しい願い・・・・・それだけを叶える事が出来る・・・・・か。いやでもなぁ」



 別に生き返らせたいと思う相手がいない。



 と彼女は思ったのだろう。他人に興味などないのだ。それが生きていようが死んでいようが彼女にとっては等しく平等なのである。



「問題は・・・・・対価・・・・・だよなぁ」



 それだけが分からないのだ。猫を生き返らせた時に、何らかの形で対価が生じると思っていたが、今まで何も起こっていない。



 ――死者を生き返らせる・・・・・対価がない訳がない。何かを見落としているのか?それとも今から起こるのか?どちらにせよ対価は必ず生じると考えた方がいいなぁ。あぁめんどくさいな。本当まじファック。





 しかし対価は既に払われている。彼女はその事を知らないし気がつかない。





 ヒント六、答えが一つだとは限らない



 ヒント七、答えは二つある



 ヒント八、本当と嘘の答え 


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