美しくないもの
俺は皆川鮮。容姿端麗、成績優秀の完璧モテ男である。
今日も女の子とデートをし、一人暮らしであるため部屋に連れ込みしっぽり楽しんだ。
「鮮くんバイバイ♪」
今日のデートの相手である菜々緒ちゃんが手を振って去っていく。
彼女がいなくなったのを確認した俺は部屋に隠してあるカメラをとめる。
フフッ…今日も録画できたぞ。
チップを取り出しPCに繋ぐ。
おぉ~♪オレ天才。最高に撮れてるぜ!!
三時間ほどかけてやっと編集が完了しDVDに焼く。
これで500人か。さすが俺♪
DVDをケースにしまい箱に詰めた。
一仕事終えた俺は疲れたためシャワーを浴びることにした。
男でありながら美しいボディ。すべての女を魅了してしまうのではないかと思うぐらいの美しさだと思う。
「ララ~ん♪」
いかん!調子に乗って鼻歌なんぞ歌ってしまった!
よかった…ひとり暮らしで…。
「私は聞いてましたよ」
見知らぬ少女がいた。
「だ、だだだだだ誰だお前!!」
「はい~押尾きりかです♪」
「なんだか知らないけど…不法侵入だぞ!?はっ!さてはお前も俺に食って欲しいのか?タオル一枚なんてさそってるんだろ?」
「あははは~。やだな~お風呂ですからこの格好のだけですよ~。それに…」
なんだ!?さっきまでヘラヘラしていたきりかの雰囲気が急に変わった。
「あなたを“お仕置き”しにきただけですから」
体が熱い!俺が…俺じゃなくなっていく…俺は意識を失った。
美しくないもの
~お仕置きしちゃうから♪シリーズ~
作:大柳 朱
目を覚ました俺は体がいつもと違うことに気がついた。
なぜか体が重い。まるで…脂肪が付いたみたいに。
重たい体を無理やり起こし洗面所へと向かう。
とりあえず顔を洗おう。
顔もなんだか大きくなったような…。
顔を洗いタオルで拭き取り鏡を見ると…
髪はボサボサ、脂肪にまみれた醜い女が立っていた。
意識を失う前までシャワーを浴びていたため当然裸である。
えぇ!?なんだこれ!?俺が女?ていうか醜い…どうしてこうなった…。
「うわぁあああああ!!」
声も美しいとは言えない…。
俺は男を捨てたどころか美も失ってしまった。
「あら~気がつきました?」
「き、きりか…」
「あら~醜くなりましたね~」
「ふっざけんな!」
「キレられても~これはお仕置きですし~頑張って鮮やかになってください。醜い鮮ちゃん♪」
「うぅ…」
「あ~お洋服とかはタンスに入ってますからね~。では私はこれで~」
ちょっといじめすぎましたかね?
でも鮮ちゃんが悪いんですよ~女の子に恨まれるようなことばっかりするから~。さてさて私視点はこれくらいで♪
「くそぉ…」
あれから一週間が経った。
俺は美を取り戻すためにダイエット等を始めた。
しかしどんなに動いても腹がすいて結局は食べてしまい減らない。
ただでさえ女の体だというのに・‥。
「ほっほっほっほ!」
現在俺はマラソンをしている。
ダイエットには有酸素運動がいいらしい。
そして最近CMで知ったのだが、ヘ●シアを飲むことにした。
いや~すばらしい!
俺が女になってから二週間過ぎた今では少し体重も落ちてきた。
最初は100キロだったのが今は95キロだ。
やはり太っている時の方が減りが早いらしい。
ん?あれは・‥
いつも走るコースに今日は前に菜々緒ちゃんがいた。
菜々緒ちゃんは友達と楽しそうに話しながら反対側から歩いてきている。
俺の今の体重では避けることは困難。
どうにか避けてくれないと・‥。
思いも虚しく菜々緒ちゃんは俺とぶつかり、俺は転んでしまった。
「うぅ…」
「なにすんのよ!うわ…キモ…」
え!?菜々緒ちゃんが!?清楚だけどビッチな菜々緒ちゃんが…。
「ご、ごめんなさ「あっちいけ!」」
「…」
俺は嫌われてしまった…。それどころかキモイって…。
全てに恵まれた俺が今は…くそぉ!
ダイエットをはじめて一ヶ月が経った。
菜々緒ちゃんに暴言をはかれて以来俺はよりダイエットに励んだ。
おかげで体重も80キロになった。
だが問題が新たにできた。
それは夏休みが終了し、大学にいかなくては!!
あぁ…これからどうすればいいんだ…。
大学は明日から。俺はどうすれば…。
翌日、俺は大学へ行った。
どういうわけか俺は生まれた時から女になっており何の問題もなかったが、デブ女としていじめにあいつつある。
周りの連中は俺をブタとひそひそといい、あるものは直接言ってくる。
こうなるともぅ俺の精神は崩壊しそうである。ていうか半分壊れとるわ!!
俺…俺…美しくない…
美しくしくな~いぃいいいいいい!!
終わり
●あとがき●
こんにちは、大柳朱です。今回はお仕置きしちゃうから♪シリーズの第二弾として書かせていただきました。
お仕置きしちゃうから♪第一弾にコメントしていただいた皆さんありがとうございます。
今回はとある方の提案に基づいて書いてみました。
我ながら性転換後がブサイクなのは新しいなぁ~と思いました。
普通はブサイクが美少女とかですもんね(笑)
これからもよろしくお願いします。
あとがきはこのくらいで…
◆おまけ◆
俺がお仕置きされてから一年が経った。
今ではすっかり痩せ、美貌も取り戻した。
ここ一年間女でいてわかったが、自分はかなり酷い男だった。
それに気づいたきっかけは恋だった。
まさかこの俺が男に恋をするとは驚きだ。
最初に恋をした相手が二股野郎でかなりムカついた。
きりかにお仕置きされてしまえ!と。
けど、そいつのしていることと俺のしてきたこととを比べると…俺の方が圧倒的に最低だった…。
まぁおかげで気づいたのだから少しだけ感謝している。
それよりも今は彼氏がいるからいいのだ。
「おい鮮。誰と話してるんだ?」
「なんでもないわよ♪」
「ふ~ん」
「ほら!いいから行くわよ!」
「行くってどこに!?」
「ないしょっ♪」
俺…私は今、幸せた。
私が幸せになれるのが嘘みたいだけどね。
私は悠斗の手を引いて走り出した。
おわり