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第1話
2026年6月1日
俺の名前は阿部寛。あの有名な俳優を連想されては困る。ルックスだけは人並み以上に恵まれたかもしれないが、中身は組織に馴染みきれない、ただの会社員だ。
仕事が早上がりとなった夕暮れ、俺はペットショップにいた。
「お前は変わってるな」
同期の佐々木はあきれ顔でそう言ったが、結婚に興味がない俺にとって、犬との生活は子供の頃からのささやかな悲願だった。所帯を持てば、犬一匹自由に飼えなくなる、とすら思っている。
チワワやプードルのような、ありきたりな流行を追うつもりはなかった。俺が求めていたのは、もっと不器用で、どこか哀愁のある命――例えば、パグのような。
ガラスの向こうで不格好に座るパグを見つめていた時、背後から声が掛かった。
「抱っこしてみますか?」




