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不審人物が侵入~職員は不在~

ガチャリ。

一瞬何の音だか判別できなかった。

「伏せなさいっ」

大澤に小声でせかされ、ようやく理解する。

「誰か、入ってきた……?」

そして、入って来るとしたら……

「ええ、黒服が言ってた『死刑囚』でしょうね」

「おい、どうするんだ?」

銃をいつでも構えられる様に持つ。流石にアレを見て撃つ撃たないだとかを躊躇するほど、俺は優しく無い。

それは大澤も同じだろう。いや、むしろ自ら向かっていって撃ち殺しに行くだろう。

「開いたドアは前方の方みたいね。……反対側のドアから出ましょう」

……うん?

「意外だな、お前なら打って出そうな感じなのに」

あの教室での異常性からして、彼女はバーサーカーにでもなっているのかと思っていたが、存外まともな精神状態なのかもしれない。

「失礼ねぇ、ちゃんと対策を練ってからぶっ倒すわよ。あと、『お前』って言わないで、イラつくから」

……やはり異常だった。誰かバーサク解除系の呪文持ちはいないものかなぁ……。

「ほら、いそぐわよ。あと、そのでっかいの上に掲げないように気をつけてね」

「……了解」

大澤の後に続き、ランチャーを上に揚げないように気をつけながら這う。

ガチャガチャ、と銃が音を立てる。

「……他のも音を立てないようにね」

「了解……」




……なんとかドアの前までたどり着いた。

「まだ、入ってきたんだろう奴はこっちまで来てないっぽいな」

「……そうね」

何か引っかかることがあるかのような、苛立ち混じりの声。

「出て、静かに、音を立てずに右へ歩いて。ある程度離れたら私が走るから、それについてきて」

「走るって、どこにだよ、いまさら教室には戻れないだろ?」

「私に当てがあるから、今のところは信じて」

……、今は信じるしか無いだろうな。

「わかった」

「よし、良い子ね。じゃあ、行くわよ」

大澤が扉を少し開いて体を滑り込ませる。それに俺も続いて……

「ふぐッ!?」

……行く前に、大澤が飛び退ってきて俺に体当たりを食らわせてきた。

それによって俺は後ろに倒れる。その上には大澤が一緒に崩れてきて、結果、俺の上に大澤が乗った状態になる。

俺の上に女の子が……、そんな状況でも無いのに変な気分になる。

これが童貞力かっ!

「何だ、いったい何の真似をして……」

首を起こしつつも心臓を高鳴らせつつも問いかけ……


命の危機だとようやく察した。


大きく開いてしまったドアの先には、黒い銃身の太い銃、と、それを構える白いスーツの男。

白いスーツの中のシャツは大きく開き、胸元を露出している。

「よぉー、羨ましい状況になってんじゃん」

ニタニタしながら開くその口元には品が無い代わりにピアスが付いている。

髪はポマードか何かでほぼオールバックのような形で固められている。

持って構えているモノ以外はホストだった。

だが、銃を持ったとたんホストでもヤクザでもない中途半端な存在になっている気がする。

「なあ、おい、羨ましいじゃねぇかよ、おい」

銃を構えるのはやめたが、こっちに銃は向けたままだった。

片手で握っている。

「そういや、アレ、みた?」

アレ、とはあの惨状のことをさしているのだろうか。

「アレ、俺がやったんだー。どう、面白かったっしょ?」

「……ッ!」

「んで、誰かに見てもらいたいなーって思ってよ、ずっとあっちで隠れてたんだ」

男が親指を廊下に向ける。その先には給湯室があったはずだ。

ハメられた、らしい。

「で、あんたらが一番最初の俺の展示会のお客さん。まあ、そっちの女の子はこっちに銃を向けようとしたからおもっきし蹴っちまったけどね、ふっははッ!」

そうだ、大澤だ、さっきから何のリアクションもない。

「おい、大澤っ!」

呼びかけ、揺する。

返事も、やはりリアクションもない。

「何だよ、俺に返事はしないで、女にはすんのかよコラ」

ズイっっと上半身を近づけてくる。

「なあ、おい、聞いてんの?」

銃で額を小突いてくる。

「聞いてる、聞いてるってば!」

流石に引き金でも引かれたら大変だ。

「なぁんでシカトぶっこくかな、おい、あ、まあ、仕方ねぇかー。俺恐いだろうしな」

ニヤけながら一人で勝手に納得し、銃を揚げる。

大澤はまだ気絶中。そして、そのせいで俺は身動きが取れない。

そして目の前には銃をこっちに向けたエセホスト。

……どうするんだこれ。

一息ついたので久しぶりに書いて投稿しました。遅れてすみませんね!

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