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H・R(ひょっとしたら・楽天的)

………うん?

寝ていたようだ。腕に頭を押し付けていたせいか、血の巡りが悪くなっていて、さらに赤くなっていた。

じめじめした、蒸されるような空気のせいだったか、机も大分曇っている。

教室。

教室中の生徒全員が席に着いている。

ある生徒は気だるそうに机に突っ伏し、ある生徒は机で携帯電話を隠しつつ熱心に文字を打っていて、ある生徒は熱心に教諭の言うことに耳を傾倒させている。

聞こえてくる教諭の張り上げた声。その声は戸惑いと、何故か、不安、焦りなどの色々なネガティブな感情が添付されていた。

「え~、ですからして」

「という訳で……」

「要するに……」

要領を得ない、決定的な一言を避けるような言い回しが続く。

はっきり言って不快だ。

言いたいことがあるのならハッキリと言って欲しい。

そういった不愉快な気持ちを燻らせていると、教諭は唐突に押し黙った。

しばらくの沈黙。

意を決したように教諭が口を開く。

「えー、今からですね、大変な、いや、非常識なことがあります。決して逆らわないでください。コレは皆さんのためなんです。ぶ、無事でいたいでしょ?ね、ね?」

スー、ハー。と深呼吸をし

「今から、ケースを配ります。配られても、絶対あけないでください。」

そういうと、急かされたように教室の外に教諭は出て行った。

それと入れ替わりに、スマートな黒いスーツを着込んだ、ガタイの良い男達が7人、ケースをたくさん抱えて入ってきた。

「今から配るケースを一人ひとつづつ配る。先ほどの教諭殿がおっしゃられたとおり、指示があるまでは開けないように」

最後に入ってきたヘッドセットをつけていて、周りよりも少し小柄で、どことなく高のような鋭利な印象を持たせる黒服が入ってきて、横柄にそう言い放つ。

その声と同時に、控えていた6人の黒服が、統率の取れた動きで同時にケースを配り始める。

ケースのサイズは大小形態さまざまだった。右隣のヤツの所にはスーツケース大の物が置かれ、その後ろのヤツにはその一回り大きい物が置かれた。

俺のところにも黒服が回ってくる。

弁当箱ほどの大きさのケースが渡された。ゴトリ、と重量感のある音がした。

この小ささでこの音、何が入っているのだろうか?鉄?鉛?……まあ、いいか。

「全員の回ったな。今から説明をする、人生長く生きたければ、聞け」

未だに意識を向けない生徒に怒気をはらませながら、小柄な黒服が言う。コレは何の講習会なのだろうか。いや、なら開けた場所に全校生徒とは言わず、同学年生を集めて言うはずだ。

「現在、校舎内に、性別、人種を問わず、多くの死刑囚を放った」

・・・一瞬、何を言っているのかを理解できなかった。

ようやく言っている言葉の意味を理解しても、それの真実味、現実味が沸いてこない。

なんのカマかけだろうか。この後に、これを元に発展していく人生論でも語るのだろうか?


パンッ!


乾いた爆発音。余韻を残し、徐々に小さくなり、消えていく。まるで、銃声のようだった。

瞬間、教室内は、悲鳴、喧騒でパニック状態となる。

どこから来た音だ?爆発の原因は?そもそも本当に銃声なのだろうか?

さまざまな疑問が浮上してくる。そして、喧騒に負けないように小柄な黒服が声を張り上げた。

「今のは拳銃の発砲だ。おそらく、死刑囚が撃った」

一気にその言葉のまやかし然としていたベールが消え去る。

教室内は、更なるパニック状態へと陥る。

唯一、何故か俺だけ落ち着いて、小柄な黒服を見つめていた。

「ケースを開けてみろ。その中に入っているもので、この学校を守って見せろ」

大半のものはパニックで話すら聞いていなかったが、俺を含め、比較的冷静だった数人はその指示に従った。

まあ、俺の場合は興奮交じりだったが。

金具をガチャガチャと回し、外し、ようやく開けた。

そこに入っていたのは

黒い塊。

人を殺す塊。

普通、俺たち日本人は触れることさえ出来ないであろう塊。

銃、だった。

バレルには、『P-22』と刻印されている。

ワルサーだ。確か、ドイツ製だったか?

赤いスーツを着た有名な怪盗が同社の銃を使っていたはずだ。

傍らにはマガジン、そして、型は知らないが、手榴弾もあった。

同考えても一般公立高校の教室の、机の上にのっている代物ではない。

ふと、他のやつは何を持っているのか気になり、見渡す。隣のヤツは、黒い、流線的なフォルムのライフル。SFにでも出てきそうなそのライフルは、F-2000だったか?付属の拡張パーツ類も多々あるようだった。ちなみに、手榴弾はないようだった。

その後ろのヤツは、ゴツい、これまた黒いライフルだった。確か、SCAR、みたいな名前だ。前のヤツとおそろいのメーカーだった気がする。

少しはなれたところで、いきなり筒がそびえ立った。

いや、あれはRPG、いわゆるロケットランチャーだ。

誰かが掲げたのだ。

既に弾頭はセットされていて、いつ発射されてもおかしくはない。

薄ら寒い。あんなものがこの教室内で発射されたらその時点で大惨事だ。

明らかに、今、異常な事態を目の当たりにしている。

いや、夢か。

どこの世界に、次元に、机の上にライフルやハンドガン、手榴弾、ロケットランチャーを置き並べる学校があるんだ?夢だ。夢決定。

ありえない。ありえない。

視界の端に、ヘッドフォンに話しかけている黒服がいた。

良く分からない、日本語以外の言語で会話している。

日本人なら日本語でしゃべりやがれ。そう、俺は良く分からない、夢だという認識から来る一種の自暴自棄で、黒服の一人に銃を向けていた。エラの張った男だった。銃を両手で持ち、安定させ、照準を黒服の頭部に合わせる。

吹っ飛べ。

火薬の爆ぜる音と、一瞬の閃光。そして両腕に伝わる確かな反動(リコイル)

一瞬だった。エラ黒服の頭の一部が削り取られ、散った。

ピンク色に、真紅が混ざった『モノ』が壁に張り付く。

それが非常に愉快に感じられた。まるで、スライムで遊んでいたときに、壁に投げ、ビターン!と張り付いたときと同じ、快感混じりの楽しさだ。

可笑しい。

笑える。

「ぶっ、くふっ、ふひ、ふひひひはははははっはははあははあっ!ひゃっはははふははははぁ!ぶははっははははははっ!」

次の瞬間には、大声で、狂ったように笑っていた。

ああ、可笑しい。

・・・あれ?周りの奴らが俺を見ている。

その顔はいずれも恐怖と嗚咽で歪んでいる。

気持ち悪い顔だ。

お前らもスライムになりたいか?

______アレ?気づいたら黒服に詰め寄られていた。周りに4人。

その次の瞬間にはその4人により、押さえつけられていた。______




______立川が狂った。いきなり銃を黒服の一人に向けて撃っていた。撃たれた黒服は脳みそや血をぶちまけて倒れていた。あれが人間に詰まっていた・・・

「うっぷ……」

もう少しで吐くところだった。

考えるな、見るな!

今はあれから目を離そう。それより立川だ。

気がついたら立川は、黒服数名に押さえつけられていてぐったりしている。

黒服たちは一見冷静だけど、よく見ると、怒気が滲み出している。

当然だ、仲間が殺られているんだ。

他の黒服たちも、いつの間にか懐から拳銃を取り出して、油断なくこちらを威嚇している。

今は何もしないほうが良いみたいだ。

ひとまず、黒服らを刺激しないよう、おとなしくしてよう。

・・・だとしたら、暇になる。

まあ、周りを見渡すくらいはいいだろう。

意識的にさっきのアレを見ないよう、辺りを見回す。

大半のクラスメイト達はさっきのハプニングでパニックになりかけていたが、黒服たちがモノを出してからは、そのモノに恐怖して、大人しくしている。

何が起ころうとも、結局は恐怖に勝てないものなのか。

だが、その中にはイレギュラーがいた。

右隣の席の大澤だ。彼女は熱心に長い筒、ゲームでよく見るロケットランチャーをいじっていた。どうやら使い方を模索しているようだ。

すでにロケットランチャーの『ロケット』の部分は装填されてて、多分、もう撃てる状況だ。

さすがに右隣でそんな事されてたのなら、黙ってるわけにはいかない。

「おい、大澤!」

声を潜めて話しかける。

「・・・なに?」

大澤も幸い状況を理解してか、小声で応答してくれた。まあ、ランチャー片手では理解してるかは大分怪しいけど。

「おまえ、なにやってんだよ!?そんなもん、いじって!」

「なんでって、興味があるからだけど?」

「はぁ!?」

わけが分からない。なんで女子高生がロケットランチャーに興味を持つんだ?

ああもう!本当、俺はカオス空間にでも迷い込んでしまったのだろうか・・・。

「ねえ佐久間くん」

・・・。ん?

ああ、俺のことか。一瞬誰のことかわからなかった。それほどまでにパニック状態に陥っているのだろうか・・・。

「この状況、チャンスよ?」

「は?」

何を言い出すんだこの阿呆は。

「・・・どこからどうみてもピンチにしか見えないけど。」

「狭い視野。残念な人ねー。」

「おまえが異常なだけな気がするんだけど……。」

立川に続いて大澤まで狂ったのだろうか?

「だって・・・」

「せっかくの人を殺せる機会、とでも言うんじゃないだろうな?」

大澤が押し黙った。いくらなんでも冗談が過ぎたか。反省。


「………何だ、分かってるじゃない。」


間違いなく俺と臨席している『大澤みな』という固体は、狂っていた。


前に書いてたものは暖めておくとして、今はこの妄想駄々漏れなこいつをどうかお楽しみください。 誤字脱字多いですな・・・

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