表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見た目100点の美少女に囲まれて激アツ展開を迎えています  作者: ケイト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/26

これは練習だから大丈夫


 俺は今、ホールに居ない。

大学から少し離れた静かなカフェにいる。

近くにホールはあるけれど、あれは明らかにぼったくり店だな、行く価値がない。

 

「おっそいな、あいつ」

 

そもそも、俺がここに来たのは巡がここを指定したからなんだが、その本人がまだ来てない。

ホールで待ち合わせする時は遅刻とか絶対しないのに、もう三十分も遅れてやがる。

 

「やほ」

 

コーヒーのおかわりを頼んでいると、ようやく巡がやってきた。

髪の毛が少し跳ねてて、服もいつもより適当な感じがする。

さらに女の子とは思えないような大あくびをしながら俺の対面に座り、コーヒーを注ぎに来た店員にカツサンドとアイスコーヒーを注文している。

 

「なんか言う事あるんじゃあないか?」

 

「む、わかった、一口だけね」

 

「いや分けてもらう量の話はしてねぇよ?」

 

巡は意味がわからないって顔をして、それから表情が変わらない。

え、これ本当に分かってないの?


「今日はこんな所に来てもらって悪かった、センパイ」

 

「俺から相談したい事があるって言い出したんだから気にすんな」

 

「うん、だから遅刻したのも、あとここの会計も大目に見て欲しい」

 

「おま……ちゃんと相談乗ってくれたらな」

 

「よし、巡ちゃんが聞いてあげましょう、さぁどうぞ」

 

奢りだと分かると、巡は腕を組み、表情は。

"さぁどんとこい!"

って言ってるみたいに、少しイラッとする表情に変わった。

 

「実は」

「センパイがあてらを振ったって話からするの? それともあてらに刺されそうになったって話から?」

 

コイツ……知ってんのかよ。

つーかこの感じ、やっぱり。

 

「お前、あてらが勘違いしてる事に気づいてたろ」

 

「うん」

 

「この間いきなり俺の彼女だって言い出してめちゃくちゃだったんだぞ? もっと早く言ってくれれば良かったのに」

 

「何回も警告したのに気づいてなかったのはセンパイ、全部センパイが悪い」

 

「直接言ってくれよ!」

「直接言ったら、センパイはあてらと付き合ったの?」

 

「それは……ただ驚いたから」

 

「私はあてらの親友。だから彼女に何回もセンパイは好きだって言ってないって警告した、でも、思い込んだあてらは私の言葉を聞いてくれなかった。そして、センパイもあてらを可愛いって言ってたし、私から見ても好いているような感じがした」

 

カツサンドとコーヒーが運ばれてきて、彼女は一口それを頬張った。

それをコーヒーで流し込み、少しだけ遠くを見る。

 

「このまま行けば、本当にセンパイがあてらに惚れて、勘違いが勘違いじゃなくなるかもしれないって思った。だから何も言わなかった、これでいい?」

 

「わかんねぇけど……まぁ、わかったよ」

 

「それ、どっち」

 

「どっちもって事」

 

「それでセンパイ、あてらを彼女じゃないって振ったみたいだけど、あてらは彼女候補にはならないの?」

 

「彼女候補って言われても……今はそれどころじゃねぇんだ、学費を稼がかないといけない。仮に彼女ができたとしてもろくにデートも出来ないし、パチンコで稼がないといけないんだから……彼女ほっといてパチンコだぞ? ちょっとヤバいだろ」

 

「ふーん、つまり、デート先がホールかつ隣で打ってくれるような人じゃないとダメって事?」

 

「一緒に打ってくれたらそりゃそれが一番だけどさ、彼女に割ける時間が殆ど無い今は作ろうと思わないよ」

 

「あてらはセンパイを諦めたの?」

 

「……諦めてないどころか、惚れさせてやるって直接宣言されたよ」

 

「ふーん、彼女作るつもりないのに、そこであてらに彼女作る予定はありませんって言わなかったんだ」

 

あの空気で言えるかっての!


「悪い男だね、センパイ。あてらを弄んで楽しんでる」

 

「言い方悪っ! 学費の問題が終わればちゃんと向き合うっての! ……それに、その」

 

「何?」

 

「あそこでそんな事言ったら、ブスリって……ありそうだったし」

 

「あり得るね」

 

「ありえちゃいけないんだけど」

 

「だからあてらの機嫌は損ねないようにね、特にあの財布センパイと付き合うなんて言い出したら葬式の主役になっちゃうから」

 

柚月と?

……いや、うん、無いだろそれ。

 

「さてと、行こっか」

 

「行くって……どこに?」

 

「え? 買い物、言わなかったっけ?」

 

「何も聞いてないんだけど」

 

「なら今言ったから、先に外出てるね」

 

見ると巡のカツサンドは全て無くなり、コーヒーは空になっている。

……いや、1つくれるんじゃ無かったのかよ。

 

「遅い、女の子を持たせるなんて言語道断」

 

「お前の支払いしてんだろうが!」

 

「やれやれ、そこはごめんなさいした方がポイント高いのに」

 

巡はスマホの画面を見せる。

そこにはなんともまぁオシャレな服や食べ物が映っていて、見るだけでお腹いっぱいになりそうだ。

 

「ここ行くよ」

 

「……用事終わったからもう打ちに行きたいんだけど」

 

「考えてみてよ、これはあてらに刺されないようにする為の、デートをする時の練習。自分の命よりもパチンコに期待値ある?」

 

「それはそうだけど……ハァ、お前明日は空いてる?」

 

「明日? 何で」

 

「今日はそのデートの練習に付き合ってやるから、明日は俺に付き合え、熱い店あんだよ」

 

巡はクスクスと笑いだして、それなら頷いた。

 

「うん、わかってる。ちゃんと付き合うよ」

 

「よし! ならさっさと終わらせるか!」

 

「デートの練習とは言ったけど、いきなりデートを終わらせるかって意気込むのはどうかと思う」

 

まず来たのは……男が一人で絶対に入れないような服の並ぶ綺麗なお店。

売られている服の中にはこの間あてらが着ていた服もあって、確かにこの店の空気はあてらにぴったりだと思う。

 

「ってあの服高っ! あてらこんな高いの着てたのかよ」

 

「この店の服は可愛いものが多い、女の子らしさをアピールするにはぴったりな服しか置いてない」

 

「ほぇ〜、うわこの服高っ! これは……高っ!!」

 

「センパイ、あてらが同じ服着てるの見たことある?」

 

巡に言われて思い返す。

初めて会った時から今まででのあてらの服装は……。


「見たこと無いな」

 

「あてらは少しでもセンパイに可愛いって思って欲しくて、勘違いだけど、センパイの彼女として笑われないようにって気を使ってた。会う度に服を変えて同じ物は使わない、こんな努力をしてたのは全部センパイの為」

 

「それは申し訳ねぇな……そうだ、お前から普段着でいいって言っておいてくんね?」

 

「何も分かってないね、センパイ」

 

そう言いながら巡は色々な服を手にとり、値札を見て戻す作業を繰り返す。


「巡、お前もこんな可愛い服が好きなのか?」

 

「……別に、好きじゃない」

 

はっはーん。

はい、分かりました。

コイツさてはあてらの服装見て自分も着てみたいって思ってやがったな!


「それに、私の体型だと似合わないでしょ」


「着てみないと分かんないって、ほら試着してみろよ」

 

「……笑わないでね」

 

「笑わねぇよ」

 

試着室に入っていった巡の表情……めちゃくちゃ嬉しそうだったな。

憧れてたけど、自分一人だと試着する勇気が無かったとか?


 巡には世話になってるし、コイツとなら金を稼ぎ切るのは不可能じゃない。

本来なら期待値ないけど、仲間へのお礼はプライスレスだ。

 

「笑わないでよ、笑ったら、殴るから」

 

「だから笑わないって、それでどんな感……じ……」

 

「……なに」

 

女児向けアニメに出てきそう!

なんかこう、白とピンクの服の雰囲気と巡の身長の低さが絶妙にマッチしてる。

えっと……なんか魔法少女のステッキとかない?

あ、ランドセルとか似合いそう!

 

「そんなに、見つめないでよ、変態センパイ」

 

「お前めちゃくちゃ似合ってんじゃん! あてらとは違うベクトルだけど、お前はお前で超似合ってる!」

 

「あり……がと……」

 

いやー、これは凄いな。

別にロリコンとかじゃないけど装備品を完璧にした巡を見てみたいね。

 

「お客様、非常にお似合いです!」

 

いつの間にか背後に店員がいた。

コイツ、いつの間に……。

 

「そのタイプの服は着る人を選びますが、非常に似合っていて、もぅここまで着こなせる人がいるとは驚きなんです!」

 

「そう、なの?」

 

「はぁい! 彼氏さんも大変気に入っているみたいですし、彼女さんはどうですか、着心地悪くないでしょう?」

 

「彼氏じゃありません!」

「彼女じゃない」

 

「あー……成る程成る程、コホン、では彼氏さん」

 

いや彼氏じゃないって言ったじゃん。

 

「こんなにも可愛い服が似合う可愛い人を自分の彼女にできたら幸せじゃないですか??」

 

「可愛くなんて……」

 

巡の発言は無視され、店員が目に輝きを宿して俺に詰め寄ってくる。

 

「女の子のハートを掴む為に必要なのはプレゼントです! それも本人が望むものをプレゼントするのがベストなんですが、普通にしてたらどんな物が欲しいかなんて分からないですよね?」

 

「いや結構分か」

「そう、分からないんですよ! だからこそ、今がチャンスなんです」

 

聞けよ。


「それにはっきり申し上げますが、ここまで可愛い女の子はそうそう見つかりませんよ? 考えてみて下さい、彼女が他の男と楽しそうにしてる所を……」

 

他の男と……。

 

『巡、今日のホールはあそこでいいよな?』

 

『完璧。センパイと違って情報の精度高い』

 

『あんな奴の事は忘れろ! いいか、俺と一緒に』

『うん、パチンコで、いっぱい稼ご』

 

「それは困る!」

 

「ですよね! だったらここは服をプレゼントするべきです、この服で振り向いて貰えるとは断言しませんが、少なくとも他の所に行ってしまうリスクは減らせるに違いありません」

 

「必要経費……って事ですか」

 

「そうです、どんなに期待値があっても投資しないと利益が得られないように、最初は自腹を切るのが普通なんです」

 

言われてみればそうだ。

巡の情報の精度は高い。

さらに抽選に負けた時にはどこに行くのかとか、狙い目の台の決定、そして損切りの決定も素早い。

巡が居ないとかなり……期待値的にマイナスだ。

 

「センパイ?」

 

「巡……」

 

情報料だ。

必要経費だ。

そう、これは仕方ない出費だ。

それに……めちゃくちゃ似合ってるし。

 

「わかりました、お会計お願いします」

 

「せ、センパイ!?」

 

「はいありがとうございます! あ、そのまま着て帰ってくださいね、今日着てた服を入れる手提げ袋はご用意いたします。それで合計が………」

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ