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「妹」は全くレギュラー版と変わりません。

「千里~ご飯の時間ですよ」

お母さんが千里をだき、椅子に座らせる。

「やーい」

千里は満面の笑みで、足をばたつかせた。千代は額にはの字を作った。別に、千里は何も悪いことをしていない。だけど千代は嫌なのだ。

(ふん、いい気になっちゃって)

千代はまだ6歳なのにこんなことを思うなんて。千代は千里が生まれる前までは、妹が欲しくてたまらなかった。。赤ちゃんは顔もかわいいし、あまり笑わないから笑ってくれたらとてもうれしい。でもだんだん、両親が自分一途じゃないことに腹が立ってきた。そんなことにも気づかずのんきに過ごしている両親と千里に。こんなことを話している間にも千里の離乳食が運ばれ、お母さんが笑いながらスプーンで食べさせる。

(すっかり愛情注がれちゃって。自分でご飯も食べられない子に負けないわ)

そう思いながらとんかつをお替りする千代だった。


5年後の7月末。今日は、お父さんが3連休に合わせて3日お休みなので、千代の心は幸せで満たされていた。ピーンポーンとチャイムが鳴った瞬間、千代は飛び上がり玄関へ駆けてゆく。でもお母さんが先に行き、

「千代、すべてがお父さんなわけないでしょ。」

というと、高い声を出し外へ出て行った。

「なんだ。詰まんないの」

千代はソファへ寝っ転がると、じっと天井を見つめた。

「バカだねそんなこともわかんないの」

千里がソファの隣にきて、にやにやしながら言った。

「ねえね。これ読んで」

「ん?」

千代が体を起こしその本を見たときには目を疑った。

【未就学児でもできる!超簡単な算数の本】

「え、千里それ読むの」

「うん!」

千里は満足げに千代の隣に座った。

「いい?まずは足し引き算。ここに鉛筆が4本消しゴムが…」

千代が読み始めると、千里は真剣な顔で話を聞いていたが途中からつまらなくなったみいだ。

「ということを使うと、5+7は…ちょっと千里聞いてる?!」

一生懸命読んでいた千代もさすがにきづいたようで、少し怒った声を上げた。

「聞いてるよ」

まったく聞いてなかったくせに当たり前じゃんというような顔で言う。

「絶対聞いてないよ。もっと楽しい本にしてきなさい」

「や~だ、や~だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。ねぇねぇのばぁぁかぁぁ!!!!」

千里は大声を上げて泣き出した。千代はいらいらして、

「じゃあこれ読む?」

と千里の大好きな、赤ずきんを持ってきた。千里は顔を明るくして、

「よむ!絶対絶対読む!読まなきゃなくから!泣いておっかあさんに怒られるよ」

と、変なことを言い出したので千代はさっさと読み始めた。

「赤ずきん。むかし、むかしあるところに赤ずきんと呼ばれる女の子が…」

千代がそこまで読んだとき、ピンポーンとチャイムが鳴った。

「おっとうさん!」

さっき千代のことを馬鹿にしていたのに自分のことはまるで気にしないみたいだ。

「久しぶり!千代も千里も大きくなったね」

背の高いお父さんが家に入ってくる。

「もうお父さんゴールデンウィークにあったばっかりでしょ。」

千代が笑い半分で言った。

「3か月あってなかったら、そう思うもんよ」

玄関で繰り広げられたどうでもいい会話はリビングで見ていた、1人で育てているお母さんの心をちょっとだけいやす平和な時間だった。しかし平和の終わりは突然というものだった。

「千里、千代。明日どっか出かけるか。」

「海!」

千里が大きな声を出した

「海はちょっと混んでるから無理かな」

行先も決まっていないのに、お父さんがあることをいう

「二人とも。お土産を買ってきたから、これどっちか選んで。」

お父さんが取り出したのは、金シャチ型の最中と外郎。

「お父さん!また違うの買ってきたの?次は同じの買って着てって言ったでしょ!」

「いやいや、ひとつのほうがとくべつかんあるじゃん?」

お父さんがとぼけたように言う。

「こんなん箱のほうが多いんだから、同じの買ってきてよケンカするんだから。」

お母さんがそういったときにはもう遅かった。

「わたし、あんこ嫌いだからこっちがいい。」

千代が外郎を取り上げた。

「あ~。ちさともあんこ嫌い~。そっちがいい!」

千里が届くはずのないものにジャンプする。

「千里はあんこすきでしょ!すぐ真似する嘘つき野郎」

「すぐ真似する嘘つき野郎!」

「困ったもんねぇ。千代、お姉ちゃんなんだから譲ってあげなさい。」

お母さんがやさしくいったが、それは逆効果になって千代の心に響いた。

「千代は嘘ついて嫌いって言ってるだけだもん。嫌いだったら食べられないけれど、好きではないだったら食べられるでしょ。もし私が譲ったら、二つとも千里のになるわ」

お母さんとお父さんは困ったように顔を見合わせた。二人は下の子なので上の子の気持ちがわからない。二人には優しい姉や兄がいたので、下の子が譲ってもらうのが当たり前だと思っていたからだ。

「もし、千里が11歳になったとしても譲らないで譲ってもらうばかりなんでしょ?そんなん後に生まれたもん勝ちじゃん!」

千代は負けずと声を上げた。

「千代!いい加減にしなさい!たった一つのお菓子でこんなにもめることないだろ。千里もあんこ嫌いって言ってるんだから。さっさと譲れ」

お父さんもついに怒り出した。でも、千代はめげなかった。

「なんで私が譲らなきゃいけないの?」

「でも千代。もし妹に毎回譲ってもらうお姉ちゃんがいたらどう思う?」

お母さんはまだ起こってないが、見た限り明らかに我慢しているという感じだ。

「別に私は毎回なんて言ってないし。でも譲ってもらうこともあるんだったらそっちのほうがいいと思う。」

お母さんとお父さんは深くため息をついた。ところで少しの間忘れられていた千里は、姉と両親の言い争いに巻き込まれてただ茫然としていた。

「千里、譲ってあげて。千里はお汁粉が好きなんだから、あんこ嫌いなわけないでしょ。嘘つかないで。」

やっと呼ばれた千里は、噓がばれたかとあきらめて別の作戦をとることにした。

「ちさとは、あんこよりお持ちのほうが好き!ういろがいい」

「二人ともいい加減にしなさい!お菓子でこんなにもめないで。譲らなかった人は、そのお菓子お母さんがもらうわよ」

「私、お菓子だけでもめてるんじゃない。ずっと我慢してきたんだよ。そんなこと全然わかってくれないから、そのことも含めて今言ったの。私の気持ち、まったくわかってくれない。千里が生まれる前までは楽しかったのに」

声をつらせながらしゃべっているうちに、千代の目からは涙があふれだした。

「千代、そんなこと言わないで。お母さんだって千代の気持ちわかってるわよ」

「じゃあ、あんなに怒らないでしょ!」

千代はお母さんに怒鳴り返すと、走って自分の部屋に引っ込んだ。

(もう何もしたくない)

お父さんは人が快適に暮らせるような開発をしている。さっきは単身赴任といったが実際にはいろんな地方の人々の感覚を得るための旅行だ。千代はそのまま眠りについた。両親が千代を呼びかけたが返事をしなかった。

千代は夢を見ていた。

「千代、お父さんが新しく発明した快適枕だ。」

「これで快適に寝れるの?」

千代はお父さんに怒っていたことも忘れているようだ。

「そうだが、それだけではない。この枕はその人の体温や脳から感情を読み取り、硬さや温度を自動で調節する。AI機能搭載だから、だんだん学んでより快適になる。さらに、リラックスモードにすると感情を読み取った後脳にリラックス効果を与える電気を出しその人はストレスがちょっとだけ和らぐ。」

「すごいね。私もお父さんみたいになれるかな」

「ああ。でも勉強しないと…」

夢の中のお父さんがこの言葉を言いかけたところで千代は夢から覚めた。

「勉強か。考えたことなかった」

これまで受験とか気にせずにいた千代はなぜか心がソワソワする。

「お父さんみたいになれるかな」

千代はそわそわした気持ちのままリビングにもどり、美味しく最中を食べた(結局千代が譲った)。その後千代はさっきのことを両親に謝ると両親も悪かったと言ってくれた。千代が納得いかないような表情なので両親が尋ねると

「ねえ、私今からでも受験できるかな」

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