むねしげとの再会
しまづとむねしげの再会に言葉は必要ありませんでした。
漢と漢が戦いの終りに抱く思いを背にして、ただ涙あるのみでした。
一通り感動の再会をした後、その場のしまづの総大将よしひろがむねしげに質問します。
「この度はお互い大変だった、この難儀はまだ続いている、そこでむねしげ殿、国に帰るまでしまづとむねしげ殿が同盟してこの難儀に当たるのはどうであろうか?」
むねしげは即座に応えます。
「それは良き思案です、これから帰りに海賊や山賊が襲ってくるとも限りません、協力してことに当たりましょう!」
こうしてしまづとたちばな屋の同盟は即座に決まりました。
そうと決まったら準備が速いのが仕事の出来る男のしぐさ。
家族と最低限の荷物をもって海路からの脱出を図ります。
大坂から瀬戸内海を抜ける道は比較的穏やかでした。
(一応)今の時点では味方のもうりの与力であるむらかみ水軍は特別な妨害をすることなく瀬戸内海を通してくれました。
もっとも、水軍の中には血気盛んな者たちも多く、何度か襲撃に遭遇しました。
瀬戸内海でしまづとむねしげは何を話したのでしょうか?
お互い九州の武人で寡黙だったと思われます。
ただ、年少のいえひさだけは陸路で城を見たかったと駄々をこねていたようです。
やっと落ち着いたしまづの中ではお互いが何故関ヶ原にいたのか説明し合っていました。
としひさから説明を聞いたよしひろは関ヶ原に来たのはあくまで偵察の為で争いは厳禁だったことを聞かされました。
よしひろはそれを聞いて兄者は怒ってるだろうなあと寂しげに語りました。