めちゃめちゃしまづ
とくがわから使者としてなおまさがしまづの県に来ました。
なおまさはまずオーナーであるよしひさに会いに行きました。
よしひさは礼儀正しくなおまさを向かい入れました。
そこまではなおまさの予想通りでした。
「今日はよしひさ様にいえやす様からの言葉を預かってきました、詳細はこちらの書状に」
書状の中にはいえやすからの業務提携の提案が事細やかに書いていました。
この書状を見たよしひさは顔色一つ変えずにこう言いました。
「ありがたい申し出です。部下と相談して決めたいと思うのでしばらく時間をください」
そういうとなおまさを食事の席に招待し、とても丁寧な接待をしました。
なおまさの中では脈ありだが、言質は取れなかったという感想でした。
次になおまさはしまづの社長、よしひろの所に行きます。
よしひろもまた礼儀正しく、また親しみを込めてなおまさと相対しました。
「はるばるしまづの県までよくきてくださいました」
なおまさはよしひさの時と同じ口上と書状をよしひろに渡しました。
よしひろは少し迷いを感じる表情をしましたが、言葉ではこう返しました。
「興味深いですが、仲間と相談して決めたいと思いますので時間をいただきたい」
なおまさの中では少し硬い感触を感じました。
その後は宴会となりましたが、よしひろの開く宴会はなおまさにとっても心地よいものでした。
最後にただつねのもとに向かいました。
ただつねは前の二人と違い、最初から大歓迎の雰囲気でした。
ただざねの乱のときにいえやすが味方してくれたのがよほど好印象だったのでしょう。
「なおまさ殿よくぞおいで下さいました、このただつねかつての恩義を決して忘れておりません、なんなりと申されよ」
なおまさは前の二人と同じように口上と書状を見せます。
「相分かった、しまづは全力を挙げて協力しますぞ!」
なおまさとしては最高の返事ですが、念のため質問をしました。
オーナーと社長はまだ相談させてくれとおっしゃってるのに、大丈夫なのでしょうか?
「ちっ!」
ただざねは舌打ちをしました。
なおまさは内心、しまづ大丈夫か?本気で心配になりました。