たけだかつよりの憂鬱
名門たけだ、先代しんげんがしんげん餅を開発して勢力を伸ばしたまさに老舗です。
しかし、しんげんから後を継いだかつよりは憂鬱でした。
彼のいるたけだの左には今絶好調のとくがわいえやすがいます。
右上にはうえすぎが、右下にはほうじょうが存在感を発揮しています。
早い話が周りが敵だらけなのです。
かつより自身はしんげんに劣らぬ優秀な経営者でしたが、時が味方してくれません。
一時期はうえすぎやほうじょうと業務提携をしましたが、途中で仲違いして両方との関係が悪くなりました。
また、しんげん餅をさらに食べやすくするために新府餅を開発し、大規模な新工場を建てたのまでは良かったのですが、完成前に台風が来たために工場は破壊、やむなく新府餅を断念することになりました。
「どうしてこうも運が悪いのか?」
かつよりが嘆くのも仕方ありません。
でも嘆いていても仕方ないので、かつよりは前に進む道を選びます。
彼は今一番勢いのあるとくがわいえやすを関ヶ原の主要な敵とみなし、なけなしの予算と社員たちを率いて決戦に臨みます。
一方とくがわから見ると背後に敵がいるのはよろしくありません。
「なおまさ、どうしたらよいと思う」
いえやすは若いなおまさに尋ねます。
「たけだは少数とはいえ精鋭、ある程度背後に備えるのは仕方ない事でしょう。ですが同時に味方を増やして関ヶ原をとくがわ優位に進めることが肝要ではないでしょうか」
いえやすも同意見だったらしく満足してうなづいた。
「よし、ひきつづき味方を増やすのだ!日の本の隅々まで味方を増やしてとくがわが覇権を握るのだ!」