ただざねの乱終結へ
みかわ屋のいえやすが仲介に本格的に介入することで事態は急に動き出しました。
まず、きよまさが危険を察知してただざねに対する援助をやめました。
これによってただざねは長期戦を行うのがとても難しくなりました。
それを眺めていたしまづのただつねはチャンスだから攻め込もうと意気込みましたが、よしひさはその意見をぴしゃりと封じました。
「ただつね、お前初戦での失敗をもう忘れたのか、これが敵の罠である可能性も考慮に入れずに人の上に立つことができるのか?」
よしひさの言葉に容赦はありませんでした。
「敵の罠とは何ですか?」
ただつねは怒りを抑えながらよしひさに聞きます。
よしひさは大きく一息吐いたあとにゆっくりと話します。
「ただざねの計略の可能性もなくはないが、むしろミカワ屋のいえやすの罠の可能性を考慮している」
若い、ただつねには思いもつかない発想でした。
ただつねの元にもいえやすの仲介の話は来ていました。
しかし、それはしまづの味方をするとただつねは考えていました。
しかし、よしひさはいえやすをそこまで信用していませんでした。
さて、いえやすに視点を移して見ましょう。
確かにいえやすはしまづを助けるために仲介するつもりでした。
しかし、彼もそれだけを考えていたわけではありません。
いえやすはなおまさに言います。
「たしかにしまづを助けると言ったが、それはしまづの態度次第だ。大人しく仲介に従えばそれでよし!もし欲張るようだったらもう少し苦しめてやろう」
そういうと、彼は山口屋のなおともを呼び、しまづの県に行くよう命じました。