ひでよしの抜けたさんさん商事
さんさん商事はひでよしの引退によって新体制になっていました。
ひでよしの親戚衆となったミカワ屋のいえやすとみつなりたちひでよし子飼いの衆智による体制でした。
「ただつねめ、よくもやってくれたな!」
こう言って怒っていたのはっみつなりでした。
みつなりとただむねはうまが合う関係でした。
「ただつねはいまどうしている!」
みつなりはよしひろに怒気を込めて責め立てます。
「ただつねは佐倉島にて謹慎しております」
よしひろは冷静に答えます。
「おのれただつね、このままで済むと思うなよ!」
みつなりは静かな怒りを抑えつつ、決意を固めました。
一方そのころミカワ屋のいえやすはよしひさと手紙のやり取りをしていました。
この手紙をはこんだのはとしひさ率いる新生やまくくり衆です。
手紙の内容は大体このようなものでした。
「ただざねはしまづの謀反人であるただむねをただ除かんがために義挙に出ました、みつなりの差配があまりにただむね達の派閥に甘く、しまづに厳しいためにこのような事故が起きたのです!これはあくまでみつなりのミスでありただざねは先を考えて悪の芽を取り去ったにすぎません、どうか寛大なご処置をいえやす殿におねがいいたします」
この手紙はさんさん商事やみつなりが嫌いなよしひさらしいものでしたが、その一方で反みつなりと見られていたいえやすにたいしての信頼を明らかにした内容でした。
いえやすは彼らしく慎重に「返事は後日送ります、それまでお待ちいただきたい」と口頭でとしひさに伝えました。
こうしてとしひさはその言葉を胸にしまづの県に帰っていきました。
ひでよしの隠居はこうしてしまづの運命を左右することになります。