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第五話 山村渚1
「お疲れ様でーす!」
元気に挨拶して、ファミレスを出る。彼女は週3日、このファミレスでアルバイトをしている。時刻は23時、家に着く頃には0時を回ってしまうだろう。最近、ハマっているのはマッチングアプリだ。恋人探しで始めたが、今ではあまり真剣に探しておらず、いろいろな人とメッセージで会話するのを楽しんでいる。ただ、直接会うとなると話は別だ。正直、男性と二人きりで会うのは怖くて、誘われても何かと理由をつけて断ってしまう。
家について早々にシャワーを終えるとベッドにダイブする。マッチングアプリの画面を開くと数十件ものいいね、が届いていた。
「カズさんか、なんか地味」
最近は恋愛対象でない人からのいいねも承諾している。話してみると意外と面白いことが多いからだ。バイトの疲れもあって次第と眠くなってきた。一ヶ月前に旅してみたいとバイクを買ったが、実は全く乗っていない。
「明日はバイクに乗って海にでも行ってみよう」
そんなことを考えながら、渚は眠りについた。