9日目 飛行機
7月28日、早朝の札幌駅。
ここで、オルとお別れだった。
オルは第3新千歳空港まで列車で行き、そこから飛行機で一気に東京、自宅に帰る。
昨日――
僕ら兄妹は、病床の涼月浮を見舞った。そして――
この国の兄の“その姿”に、妹は――甚大なる精神的ショックを被ってしまったのだった。
家に帰る。パパ、ママのところに戻りたい。
そう訴えて、涙を流したのだ。
望みを叶えてやるしか、できることはなかった。
慰めは、浮君はやがて回復する、という見立てであるということだ。
この国の涼月家が車を出す、と申し出てくれたが、断った。
タッシィさんから、個人的に、超能力者の薬と、親愛のキスをもらったのが、せめてものことだった。
オルを後ろに乗せて、早朝の暗い、寒い空気の中、駅まで走り――今に至る。
(参考:札幌駅)
空港行きの列車を見送った後、僕は駅蕎麦で朝食とし(美味しかった)札幌を旅立ったのだった。
(参考:札幌駅)
(参考:駅蕎麦)
すべて、快調だった。
まだ暗い内に走り出し、風切る走行中に日の出を迎えるとき、「フッ……漸く世界がオレに追い付いたか」という醒めた思考が沸き起こる。
自慢の愛機、S-A150V。カラーはイケてるブラックさ。右側片側だけに……自分の黒バッグ。空いてるんだぜリヤシート……。
背中が、寒かった。
「もともと、一人旅だったんだし……!」
そう声に出した。
応えてくれる人はいない。




