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8日目 継承の儀

 深夜、札幌市。ライトアップされた白い教会前――

 そこに、数え切れないほどのペスト医師の群、この国の神民たちが、集っていた。皆、何かを待ち望むかのように身動(みじろ)ぎもせず、真剣な雰囲気で前を注視し続けている。

 そんな沈黙の信者達から、今、どよめきが波のように起こったのだった。

 2階、広い、白いバルコニーに、一人の、所どころ金色で装飾された黒いペスト医師が、登壇したのだ。


 第3日本――日本神国。その、最高指導者、教皇――“新生”教皇その(ひと)だった。


 スポットライトが集中し、闇空を背景に鮮明に浮かび上がったその御姿は、会場のあちらこちらに設置された大画面テレビにくっきりと映し出される。その映像に向かって、両手を組み合わせる信者が多数、出たのであった。

 教皇は右手を挙げ、観衆に応え、そして黙らせる――


 ――ここからは、ショータイムだった。


 教皇はローブを脱ぎ捨てる。

 ブーツを脱ぐ。靴下を脱ぐ。

 白い、裸足になった。

 ズボンを脱ぐ。

 パンツを、するするすると脱ぐ。

 股間の、ホワイトアスパラガスの様な柔茎が丸出しになる。(それはリアルタイムでテレビにズームアップされる。)

 ベストを脱ぐ。

 ワイシャツを、はらりと脱ぎ捨てる。

 ああ、裸だ。裸……。

 つん、とした、エゾヤマザクラ色の乳首が丸見えだ。(勿論これも、詳細に映し出される。)

 息を飲んでガン見していた信者達が、再びどよめき始めた――

 教皇が最後の仕上げに取り掛かったのだ。

 帽子を脱いだのである。そして――

 やおら嘴マスク含む頭部の装備を脱いで、素顔をさらしたのだった。


「ふぅ……」愛らしいしぐさ、すんなりと垂れる黒髪、澄んだ菫色の瞳、桜色の唇――


 どよめきがひときわ大きくなる。それは――観客の期待を微粒子ほども裏切らない、まさに望み通りの、われらが天使――美少年の神聖なるオールヌードだった!

 教皇はふと、自分の姿に気づき――

 体中真っ赤になって、とっさに両手で胸と股間を隠し、ああ、後ろを向いて丸いお尻を見せる――

 それは返って扇情的で――

「キャッ!」可愛い声。


 今や神民のボルテージは最高潮――!

 興奮の坩堝(るつぼ)! そう、これこそ――

 戦争ガスの中で素裸でいられる――超常の力を有する、何よりの証!


 今。

 誰もが涙し、歓声を上げ、1mmでも近づこうと蠢き、涎を垂らし、熱狂している!


 もはや――

 何人も覆せない――

 盤石の――

 今代の教皇が、誕生した瞬間だった!


         ※     ※


 ――て、これ、ボク! 笑。ボクだよボクなんだよボク! 笑。


 平民の、涼月浮なんだけどね! 笑。笑。


 ボクだーーー! 笑笑笑!


 いや笑い事じゃないんだけどね――笑。


 とにかく――


“出来た”よ!!!

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