7日目 雨と風
7月26日、7:00――!
そそくさとホテルを逃げ出してから(笑)、マップを仮想表示させたのでした。
(A:第3釧路市 B:第3苫小牧市 引用:グーグルマップ)
「今日の予定は苫小牧市まで。ルート距離は約370km。わざわざ早出した訳は言うまでもない。所要時間が推定10時間だからだ。余裕を取っておきたかった。でもこれでも、正直、キツイと思うんだ。申し訳ないけど、札幌市は明日ってことで了解してほしい」
「すみません……」
「今日は一段と寒いわね。またしてもタフな一日になりそう!」
「だね……」
そゆわけで――
僕らは国道3-38号、がらがらな北極海沿岸道を、北進し始めたのだった。
(参考:国道38号)
最初は饒舌だったオルも――
だんだんと口数が少なくなっていく。今更ながら、北海道の大自然の様相に、圧倒されているようだ。
僕も同様で、リヤカーの負荷もあるし、果たして辿り着けるか一抹の不安を感じていたりする。
天気は昨日以上に荒れ、ついには、みぞれが降り始めた。
「うそ……夏なのに……!?」
「こちらでは、そんなに珍しいことじゃないんですが……。それでも、珍しいですね……」
「アハ、けっきょく珍しいンじゃーん。ああ、試されているのねぇ。包帯のエナジー、持つかしら……」
全員、全身べちゃ濡れにされたのだった。
(参考:雨)
ところが――
道路が国道3-336号となり、日高山脈に近づくにつれて、徐々に、天気が回復してきたのだ?
正直、嬉しい――!
(参考:えりも岬へ)
出発から約5時間。12:00、ルート中間点、えりも岬到着。みんな、クタクタだった。
むちゃくちゃ風が強かった。運転した自分もそうだけど、リヤカー組、大変な思いを味わったようだった。
(参考:えりも岬)
折角だから先端まで歩いてみたけど……。いやマジで、体が吹っ飛ばされそうな、そんな強い風だった。
「地名の由来は! アイヌ語の『エンルム』、『エルムン』など、いくつかあるみたい! それぞれ“岬”、“ネズミ”という意味だそうだ――!」
「――!」
「――!」
せっかくの名解説も、風にかっさらわれてしまったのでした。
(参考:えりも岬先端)
根室地峡から遠く――さすがにこの辺りまで来ると、観光施設もそれと分かりやすく、まともな物になる。
そんな一店舗で昼食をとった。メニューは、お寿司と、どっちにしようかと悩んだが、誘惑に負けて熱いラーメンにしたのでした。
(参考:えりも岬ラーメン)
13:30。えりも岬出発。
すぐに、いい景色! リヤカー組から歓声が上がる。
(参考:えりも岬から出発。左右に海)
国道3-235号。苦行僧のごとき心持ちでひたすら走る……。
(参考:苫小牧へ)
※ ※
旅人同士、エールを送り合っている。
いいな。
なにか、光が見えた気がしたのでした。
(参考:コミュニケーション)
※ ※
リヤカーの旅、2日目。苫小牧市到着。事故がなかったことを神に感謝したのでした。
実感する。「ついに……ここまで来た……!」
本日のルート距離、約370km。
到着時刻は19:00。所要時間は12時間だった。疲れた……。
宿泊施設は、香さん、前日のVIP扱いを反省してくれたのか、安ホテルを選んでくれて。そこに一人部屋を三つ、取ってくれたのでした。
なんだか背の荷物が取れた気分。感謝の気持ちですよ。
食事は、ホテル1階の普通の食堂で、安い豚丼で済ませた。(そこそこ美味しかった。)
(参考:チープな豚丼)
部屋に戻っても、すぐに寝るわけにはいかない。明日の準備がある。
真っ先に、オルに“おやすみ”の通信を送る。
包帯を全解放してシャワーを使う。
香さんが手配してくれたCCCユニット。
単車のエナジーパック。
そこまでして、ようやく、ベッドに倒れ込むことができたのだった。
疲れた――




