表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/47

5日目 失恋

 四人いっしょにお風呂から上がり、体を乾かした後は、超恥ずかしがる香様を元気づけながら、「出来るできる!」廊下を部屋まで歩いたのでした。


 部屋にはすでに布団が二組、敷かれていて。(襖を隔てた隣の部屋にもそう、敷かれているのだろう。つまりこちらの部屋が自由国側としたら、隣は帝国側だ。)

 そこで“違う国”の兄妹同士でチーム分けをし、互いに相手が見えるように、それぞれ布団に座ったのだった。

 親睦を更に深めるレクリエーション。マッサージの時間である。

 向こうのペアはオルとオレ君。

 僕のパートナーは、ああ、憧れの香様だ! いい匂いの柔らかい香様を前向き抱っこし、開脚させ、ヨーイドンで、全力で揉みほぐし始めた。

 香様は恥ずかしがり屋、ご自分の姿を全て見られて、見せられて、さらには敏感質な方のようで、たちまちに息も乱れていく。

「そこ、いけないわ! あっ……アン! アン……ハァンハァンハァン……!」

 いくらも経たないうちに香様が負け(?)を必死に訴え、つまり自由国組、僕&オル兄妹の勝ち(?)となったのでした。

 負けチームにはバツゲームが必要だろう? てことで定番、オレ君と香様には並んで立ってもらい、後ろを向いて丸いお尻を見せて、ご自分のお名前を“尻文字”で書いて貰うことにしたのだった。

 手を叩き(はや)し立てる!「――“す”の字はどう書くの~~♪(笑)」

「こう書いて、こう書いて、こう書くのゥ~~♪(真っ赤)」

 歌に合わせながら、あの大尉殿とその妹御が、のぼせ気味になりながら自ら白い細腰をくねらせる。楽しくて楽しくて、何度も対戦を再開したのだった。

 結果、何度も勝ち、オレ君&クッシーさんペアを悶えさせ続けたのでした。

 遠慮なしに笑い合った!

 ああ――面白かった!


 まぁ、これらの騒動が“きっかけ”になったに違いない。

 大尉殿が、シリアスに香様を見つめたのだ。


「香、愛してる。結婚してほしい」


「はい、お受けします。わたくしも愛しております……!」

 二人、手に手を取り合って――

 隣の部屋に入っていく。やがて、襖の向こうから、二人の愛の営みの音が、聞こえ始めたのでした。


 うん――


「彼は僕だから……」小声。

 オルが抱きしめてくれる。

「試合に勝って、勝負に負けた、ネー」

 苦笑いだった。的確すぎる。

 オルが小首を傾げた。

「この頃は、お得意のエー・エイチ・オーが、出なくなったぞ?」

「旅をして、人間的に成長したんだろ……君が、だ」

「カブちゃんのくせにナマイキだー」

「それ、名台詞よな」

 隣から、押し殺した香様の悦びの声が聞こえてくる。

「……聞き耳を立てながら、ボクを代わりにしてくれてもいいんだよ?」

「AHO……」

 布団を被り、就寝したのでした。


 翌日。7/25。

 一人、座敷の中に立ちながら、赤い目をした裸の大尉殿は、ご意志を表明されたのでした。

「貴様ら二人が北海道に所在の間は、付き添うつもりであったが……」

 つまり、ここからは香様と二人っきりで旅したい、ということだった。

「すまん」

「了解だよ。今まで助けられた。ありがとう」

 男の子二人は万感の思いでキスを交わす。(見た目妹だし、なんだか弟のようにも感じるし、何より自分自身だし、つまり全く問題ない。)


 こうして僕とオルは、再びS-A150Vの2ケツのペアになって、(外にまで出てくれた)僕たちの兄妹自身に見送られて――

 涼しい空気の中、こころ暖かく、根室地峡をスタートしたのだった。

挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ