5日目 知床遠望
ラップして――
コテージを出て、駐車場に来て驚いた。オレ君の乗機が、大型バスに取り変わっていたのだから。
「10式機動戦闘車という。見た目はこの通りノッペラな箱型車両だが、いざという時、スイッチ一つで武装むき出しの“ロボット”に変形する。まさにスペシャルな一台なんだ」
「いつの間に……」
「昨夜の内に用意させた」「ぬう……!」
恐るべきは帝国軍の組織力、だった。そして――
「カブちゃん、ボク、こっち乗るね!」
当然のように瞳をキラキラさせているオルだった。
「ぬう……!」
大尉殿はニコリ、と顔を向け、
「車内は安全、快適ですよ……」
解放してもいいよ……。
下心ありありの言葉を口にしたのだった。
うん――
さぁ、天気良好! 7/24、9:00――!
国道2-239号を北へ、発進だ。
(参考:国道239号)
相方は特殊バス、てことで、こちらが先行した。
先行ってことで気持ちが揚がったか、昨日以上のペースで飛ばす。
能取湖のほとりを突っ走り――
(参考:能取湖)
網走市海岸部を快調に通り過ぎる。
『ピポッ』通話が入る。
『――ねぇ、博物館網走監獄は見学しないの?』
こちらが答える前にオレ君が答えた。
『貴様らの国と違って我が帝国に監獄の博物館は存在しない。あるのは本物の刑務所だけだ。なんなら見学の手配をしてやらんこともないが、まず、甚大なる精神的ショックを被ることになるであろうと、赤心から忠告させてもらう』
『パス』
『懸命な判断だ』
これで、この話題は終わったのだった。
「……」
※ ※
網走市から道路は国道2-391号となる。
『ねぇ、あの遠く、あれが目標?』
『そう、知床連山。左側の方、主峰は羅臼岳。標高は1661mだ』
『高いと、遠くからも、良く見えるのね……』
『そうだね……?』
「……」
(参考:知床連山)
※ ※
国道2-244号、斜里町の平野の中の、長々とした直線道路を走る……。
なんて言うか、小学生が、ノートに鉛筆で直線を引くとき、物差しを使うんだろうけどさ。北海道の物差しは、ひと目盛りが1kmあるんだと思うよ。
そんなこと思ってるうちに、道路番号が2-334号に変わった。
やがて、国道は平原地帯から海へと進路を向け――
(参考:オホーツク海)
そして海沿いとなり、いよいよ半島の先端へと延びていく。
揚がる――! 飛ばす――!
(参考:オホーツク海)
オホーツク海は、明るい青色が明るいまま更に青みを増した感じで、とても美しかった。
半島中央部。半島横断路の南側の麓のドライブインに到着。サロマ湖スタートからここまで2時間半、だった。
駐車して降車して、オレ君、さっそく――
「地名の由来はアイヌ語の『シリ・エトク』『シリ・エトコ』から。“陸地の突端部、岬”という意味だそうだ」
解説する。対してオル、
「……北海道おおよそにおいて、単純に名付けた、て感じ!」
「だナ」
というわけで、ここで昼食休憩になった。大尉殿の奢りで、キンキ焼き定食(3500エン。時価)を頂く。大変美味しかった。
極ピ巻きの僕と妹は、実際、大勢の、(実用服姿の、)第2日本一般観光客の注目を集めていたのだが、最凶(と言おう。笑)の守護神、大型軍用車を駆る武張った姿の大尉殿のおかげで、やたら静かに過ごすことができたのでした。
旅行客は(普通だったら)ここの港から、北側の港を結ぶ、半島周回フェリーを利用するのだそう。
その意味でも僕らは、相当目立っていたようだ。
さぁ、ここから山の中へ!
(参考:山へ)
道路は、高みへと、僕らを登らせるのであった。
(参考:峠へ)




