5日目 寝坊
翌朝。ベッドの上で――
僕は自分のカラーを、オルは自分のカラーを、そしてオレ君はオルを前向き抱っこし密着し、オルのカラーを広げて自分の頭を、それぞれ通したのだった。
いちゃつく二人(俺&妹)を見て、微笑ましいような、逆にイライラするような、朝っぱらから名状しがたい思いを味わったのでした。
うん――
頭部の包帯を巻いて、リンケージ。マップを仮想表示させる。
(A:第2佐呂間町 B:第2根室市納沙布 引用:グーグルマップ)
「今日の予定はご覧の通り、根室市納沙布地区までだ。第2大陸最北端にあたる。ルート距離は約320km。所要時間は最短で、推定6時間半だ」
「“最短”てどういうこと?」
「途中、知床半島を横断だからね。最大の難所だよ。何があるか分からない」
「アハン……」
「寝坊しちまったし(笑)。今日は相当“巻き”で走らないと、着く頃にはまた暗くなっちゃうぞ」
「急ぎの旅じゃないんだろ? のんびり行けば? いくらでも世話するぞ」
オルの後ろから大尉殿が申し出てくれる。
僕は有難く思うも、首を横に振る。
「一日を精一杯走る、が、テーマなんだ……」
「う……ん……」
“ビッキーの目的?”を思い出したか言葉をつまらせる。やがて、きっぱりと、了解した、とでも言うふうに彼は頷いた。
「ただし――」
オレ君は告げる。
「知床半島対策として、俺の装備を変えさせて貰うからな。これは決定事項だ」
「了解」
そういうことになったのだった。




