1日目 上陸
軽量級バイクの弱点は、長距離走行すると酷く疲れるって点だろうか?
家を出て約8時間半。岩手県・安代JCTにて、左分岐の東北道ではなく、道なりに八戸自動車道に進行してしまう所だった。やばかった。おかげで一瞬で目が覚めたよ。
そこからはもう素直に管理運転サービスに任せた。青森市に下りてからはナビの指示に従い、観光も諦めて、直に、青森フェリーターミナルに到着した。
手続きして乗船だ。虎縞模様した包帯の係員の誘導に従って走り、船内の下層階の駐輪エリアに愛機を預ける。自分は上層階へと階段を上る。さすがにシーズンだ。白黒黄色、青に緑に赤、果てはパーブルゴールドまで、沢山のカラフルなミイラ男、女の、旅行客がいた。親子連れやら一人旅やら。探せば同じ年頃のライダー仲間もいたかもしれない。
14:00、出港。僕は船出のロマンを味わうことなく、2等席である広間の一角に陣取り、堪えきれずにごろんと寝転ぶ。頭部を透明膨張させ、プライバシーのため色をスモークにし、たちまちの内に寝てしまったのだった。そして、寝たと思ったら船内放送に起こされたのだった。え、到着?
17:00、函館港入港。僕はスモークを透明に直し、疲れも忘れて勢いよく立ち上がるとデッキに出た。や、こればかりは見逃せない。だって――
だって北海道は今回が初めてで! ああ、徐々に迫り来る港町の光景に胸が一杯になった!
何だよこの特別感!?
船で揺られて来たからか、まるで外国に来たみたいで――
これが旅なんだなぁ、非日常の世界なんだなぁ、と気分が盛り上がった。
着岸。愛機と共に下船。おお!? つまり、おめでとう、初上陸だ。天気、晴れ。気温、適度。湿度、良好。なにもかも最高だ! またしても感動が胸に広がったのだった!