3日目 朝
朝、6時。ベッドから裸の上半身を起こし、テレビを見る。
『天気は晴れ。大気成分は、窒素78%、酸素16%、戦争ガス5%です……』
『害獣予報です。各地方の各種出現確率はご覧の通りです。十分にお気を付け下さい……』
石狩、留萌、宗谷の各地方は、程度良好のよう。一安心した。
二人してベッドを出て、カラーを首に掛け、声を合わせて思念を言葉にする。
「ラップ!」
出来上がりは今日も、旅の意気地のライン丸出し、極ピ巻きだ。これ、頭部を膨張、透明にすると、見た目、さながら自然裸から特殊裸に変身したみたいで、いやいや特殊裸ってなんだよと、可笑しくなって笑ってしまう。
「一人で何ウケてんのよ? 変な人ね」
「じゃあ、今日のルートだ」
「もう!」
オッパイを揺らして、じゃれついてくる。適当にあしらい、マップを仮想表示させた。
(A:小樽市 B:稚内市宗谷 引用:グーグルマップ)
「ルートを説明するよ……って、『ご覧の通りです』としか言いようがない」
「シンプルね。いよいよ“北上”、て感じがする!」
「ルート距離は約370km」
「アラ?」
「うん。昨日よりか楽できると思うよ。その分、観光に回せるかもだ。所要時間は、走りだけで、8時間半くらい」
「7:00出発なら15:30着、てことね?」
「理解力の高さには驚かされる」
「じゃ、今日は余裕をもってスタートしましょ」
返事も待たずに包帯を全解放してしまう。特殊裸から自然裸だ。僕は戸惑い、言葉を口にする。
「遅い時間帯だと、渋滞に巻き込まれるとか、色んな“リスク”が生じるんだけどなぁ」
言いつつも、自分も全解放だ。こんなとき、オルは聞く耳持たないだろうから。
「ちょっとでも、体力を付けてもらわないと。コツはね、チャンスのときにチャンスを重ねるの!」
「格言、『困難は分割せよ』の逆パターンだね。了解だ……」
ベッドに横になり二人、それから小1時間ほど、体力養生に努めたのでした。
再び、おはようのキスからやり直し。
再び、二人してラップして、またしても笑う。
「だから何ツボってんのよ――アハハ!」
朝の食事も皆の注目のなか、平然と頂き――
チェックアウト。
ああ、天気良好! 7月22日、8:00――!
ホテルを出発したのだった。