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2日目 完

 岩内町から進路を東に取り、国道1-276号にて内陸へ。まずは平野を通り、ほどなく。道路を国道1-5号に乗り換えて、北上開始。稲穂峠へと山の中に入って行って――すぐに悔やんだ。

 停車する。


 いきなり、取り囲まれてしまったのだ!

 激しく後悔した。昨晩、そして今朝、テレビで“害獣予報”をチェックしなかったことを!

 濃度が薄い本州の感覚でいたし、何より気持ちに余裕がなかった。

 言い訳を並べ立てても、自分に怒ってみても、もう遅い。

 今――

 取り囲んでいるそれは、昆虫――何百何千という数のオンブバッタだ。

 それも、戦争ガスによって“毒化”された、体躯が茶色化し、手のひら大にまで巨大化したバッタ、だった。

 食性も、肉食に変わっていて。ほら――

 あの、カチカチとした口吻(こうふん)を見たらいい!(見たくはないだろうけどね!)

 僕らの包帯は強靱だが、数の暴力、最終的に食い破られる運命を、如実に知らしめていたのでした。

 輪が狭まった――


 僕は笑顔になると、後ろに声をかけた。

「どうやら、“その時”が来たようだ。さようなら、カオル。大切な人よ。永遠に愛してる」

 後ろから返答があった。

「ボクもだよ。最愛の人、ウカブ。さようなら、いつまでも、いつまでも――!」

 涙が流れた

 そうして、一斉に肉食虫に襲われて、僕たちのこの物語は、一巻の終わりになったのでした。



          〈完〉















 ――あれれ?

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