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2日目 スタート!

 まずは市内の国道1-227号をゆっくり目に走る。体の調子が出て来たところでスピードを少し上げる。道も、国道1-228号に切り変わった。左手にはキラキラとした函館湾。空は上天気で、背中はしっかり柔らかいし(笑)、気分も盛り上がってくる。なに、だれも聞いちゃいないさ、二人して遠慮なく歓声を上げた。イェーーッ!

 海が、函館湾から津軽海峡に変わって、国道に、同業者(とおのり)ライダーが目立ってくる。

 最初は恥ずかしかったものの、一度やってからは平気になった。なにって、ピースサインさ。笑。

 さすが北海道。本州じゃ考えられない、返答率なんと90パー以上で、これはまことに手軽な、そして最良なコミュニケーション手段なのだと実感した。

 走行を安定させて、僕は左手を斜め上に突き出してピース。

 オルは右手を斜め上に、左手を斜め下に突き出してピース。顔は肩越しにちょっとだけ見せて――

(ハンドルの数も合わせて)“阿修羅ピース”を息ぴったり完成させて、さすが兄妹だなぁと改めて自覚したのでした。

「アハハハハハ!」


 出発から約2時間。9:30、松前町(まつまえちょう)白神岬(しらかみみさき)到着だ。

 北海道大陸全体としても最南端の地。旅の門出に相応しいかと思って、休憩も兼ねて立ち寄ってみたのだ。

 白神岬。緯度的には、本州最北端である青森県・大間岬よりも更に南に位置している。

 対岸の津軽半島・竜飛岬(たっぴざき)とは約19kmの距離で、今のように晴れていれば眺望が可能だ。

 風が吹く。波の音がする。

「本州とサヨナラなのよ……」

 オルが演歌のようにつぶやいた。


 ところで、ハードバッグ片側一個だけピンクの、ブラックな単車に二人乗りってだけで他の観光客の注目を集めていたのだが。

 端末カメラで記念写真撮るため頭部を透明風船にしてからは――

 さぁ二人とも、モテて仕方なかったのだ。

 それも子供からオッチャンまで。男女問わず。中でも男性は特にしつこい。笑。

 無遠慮に、イケイケやん写真撮らせてー、とか、今日はどちらまで? とか、守ってやるから一緒に走るぞ、とか、とかとか……。

 あるいは知らん顔しながらお腹やお尻に触ってこようとしたり。

 正直困ってしまったので、お構いなくと、断りつつ早々に立ち去ったのだった。

 結局、カバーの巻き、は緩めなかったし、色も変えなかった。なんか、矜持だ!

 でも自衛のため、今後対外的には、兄妹ではなくカップルとして応対することを申し合わせた。

 旅の空のもと、オルの奴、晴れ晴れと面白がっていたのだった。

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