15 持ち込み禁止物
「よく怒鳴りませんでしたねー、雨宮君」
「俺がキレたら、誰が中谷さんを止められるんスか」
ちょっと照れくさく思いながら、俺は石見さんの頭を撫でられたままでいた。そう、中谷さんはとっくにキレていた。超能力とかそういうものじゃなくて、物理的な力でカレースプーンを曲げて堪えている。
まぁ、敵みたいなものだけど良かったな、品川さん。ご子息を殺められないで。
「中谷さん、大丈夫?顔色、悪いですよ」
「……大声、苦手なんですよね」
「知っています。落ち着かないようであれば、面会室で食べますか?」
「……いいです、嵐君の隣りがいい」
確かに、中谷さんの顔色は悪い。過去に何かあったのだろうか。いや、そんなことを本人に聞くほど無神経じゃないつもりだけど。ていうか、俺の隣りってそんなに居心地良いのかな。まぁ、中谷さんが泣きもせず暴力を振るいもせず、品川さんを撃退出来たんだから良かった。そう、泣きもせず。泣きも、せず……?
「うー……嵐君、嵐君……っ」
「……怖かったな、もう大丈夫だから」
中谷さんは泣き出してしまった。キレたり泣いたり忙しい。大声が苦手と言っていたが、俺も大声は得意じゃない。それでも俺は男だし、中谷さんを守る立場に居なきゃいけない。色々と堪えていたが、中谷さんの涙で全てどうでも良くなった。
押し倒さん勢いで俺に抱き付いてくる中谷さんを見て、石見さんが微笑んでいた。これ、良いことなの?一応、年頃の異性同士なんですけど。でも、俺は中谷さんを抱き締め返す。恐怖で冷え切った中谷さんの身体を温める為に。




