表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

1話 「メス転生」その二




「そう、この世界はランクが絶対なんだ。」




そう言われた途端、俺の頭の中に18歳までのメスの記憶が流れてきた。





〜メスの住んでいる小さな村から歩いて数キロ、ポリエントの城下町〜


メスの前を両親が歩いている。周りを歩く人の格好に比べて、メスたちの服装はみすぼらしい。

メスの父であるケルンが、「今日はメスの10歳の誕生日だ!思い切って豪華な鶏肉を食べよう!」とメスに笑いかける。

母のクゼンも「良いわね!料理研究家の腕が鳴るわ!!」とガッツポーズをしている。






「売んねぇよ。麦でも食ってろFランクごときが。」


吐き捨てられた。


「お金はあります!」とお金を見せるケルン。

クゼンも「息子の誕生日なんです。なんとか分けていただけませんか?」と頭を下げる。


しかし両親の必死な訴えに肉屋は目もくれない。

頭を下げる両親をケルンはじっと見つめていた。


「あの〜。」


振り返るとそこにいたのは一人の男性だった。

男性は、「鶏肉を買いたいのですが、まだ余っていますか?」と尋ねる。

身なりの整った男性は、ステータスと唱えステータス画面を表示させる。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


名前:ブラヒム

ランク:D

体力:150

攻撃力:200

防御力:200

魔力:50

職業:ポリエント兵団,第三団長

スキル:[『スキル』は非公開になっています。]


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


ステータスを見た途端、肉屋の店主の態度が変わった。

「Dランク様でしたか!どうぞどうぞ、この鶏なんて丸々太っていて焼いたら絶品ですぜ!」

と裏から一段と大きい皮を剥いだローストチキン用の鶏を持ってくる。


「では、その鶏とそこの一番小さな鶏をください。」と言って二羽のローストチキン用の鶏を購入した。


そして、ブラヒムは鶏を持ってケルンの前に立つ。

「息子さん誕生日なのでしょう?良ければ一羽もらってください。」

その言葉にケルンは息子と嫁の前にも関わらず涙を流した。


「よ...よろしいんですか?」と声を詰まらせて聞くケルンに、

「もちろん。ですがこのままだと息子さんの誕生日に相応しくない。」



そういうとブラヒムは小さい鶏の足を引きちぎり...『地面の砂をたっぷりとつけて』メスの前にしゃがみ、満面の笑みで...

「坊や、はいあーん。」と土と砂だらけの生肉を口に近づけた。



瞬時にクゼンがメスを抱えてブラヒムをキッと睨みつけた。

それを見て、ブラヒムはニヤケながら、

「なんだよ?Fランクが肉を食べれるんだぞ?それなのに俺様にお礼のひとつも言えないのか!この最下位ランク風情が!!」

と、ブラヒムがメスを抱えたクゼンに殴りかかる。



ドカッ!!!と鈍い音がした。クゼンとメスを庇ってケルンが殴られたのだ。

殴られた腕は腫れ上がり、不自然な形に曲がっている。それでも、ケルンは顔色一つ変えずに笑顔で鶏肉の足を手に取ると、

「ありがとうございます!息子に生肉はまだ早いので私が代わりにいただきます。」

と砂のついた生肉を食べ始めた。ジャリジャリと音を立てて食べるケルンを見て、周囲の人々はクスクスと笑い出す。

そして笑顔で食べきると、

「お陰様で今晩は豪勢な夕食になりそうです。この鶏はいただいてもいいんですよね?」

と真っ直ぐにブラヒムを見つめる。


ブラヒムは、高笑いすると

「Fランクはすごいなぁ〜。生肉まで食えてしまうのかぁ〜。」

とケルンをジッと見つめ、

「気持ち悪い!さっさと鶏肉を持って消えろ!!」と怒鳴った。



走り去るメス達を見つめているブラヒムに「お父さん!!」と声を掛けて少年が走ってくる。

ブラヒムは笑顔で少年に抱きしめ

「イブラ!今日はおっきな鶏を買ったぞ!誕生日のお祝いをしよう!」

と並んでメス達と逆側に歩いていく。






帰り道、クゼンは悲しい表情を浮かべながらも、メスを見て

「メス!今日はローストチキンだからね!!たっぷり食べて大きく育ってね。」

と笑いかけた。

「僕たちFランクは助け合って生きていかなくちゃならないんだ。もしメスがFランクになっても、父さんが助けてやる。その分、他のFランクの人も助けてあげるんだよ。」

とメスの頭の撫でながら笑いかけた。







「どうだった?新しい君の過去は?」


...最悪だ。


「最悪なのは、前世も一緒だけどね。でもこの人生は変えられる。」


どうすればいいんだよ。


「君に僕の力を貸そう。その力で今回の人生は成功してみなよ。」


いいのか?


「その代わりに手伝ってもらいたい事があるんだ。」


...?


「僕は元々『フェウス』というモンスターとセットで本来の力を発揮できるんだ。

とてつもなく強い鳥でね。天空に住んでいるんだけど、どうやら地上に落ちてしまったらしい。」


それで?俺はその『フェウス』っていうモンスターを探し出せばいいのか?


「その通り。そのフェウスはまだ子供らしいんだけど、生憎僕は大人のフェウスしか知らなくてね。...おやそろそろ限界らしい、じゃあがんばって!」


...は?おい!どうやって見つけ出せばいいんだよ!!おい!!!!




目の前の炎が段々と消えていくと同時に、目が覚めていく感覚がある。

炎が消える直前、炎が呟いた。




「あっ、言い忘れてたけど3年で見つけられなかったらこの世界滅亡するから☆」





えっ?はああああああああああ!?!?!?!?!?




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ