プロローグ2
「ハァ……ハァ…………。嘘だろ。」
頑張ってきた。ひたすら頑張ってきた。
肩身の狭い思いをしてきたのも!大学に行けなかったのも!!会社での立場がないのも!!!
全部、全部俺のせいじゃないのに……。
「なんなんだよ、なんなんだよこの世界は!!!!!」
叫びながら、燃え盛るアパートに駆け込む。
止める人がいたのかなんて分からない。そんなのどうでもよかった。
どうせ俺の事なんて誰も見ていない。誰も気づいてくれない。
死んでもいいと思った。死にたかった。もう何も残らないならそんな世界いらなかった。
自分の部屋の前まで来た時、声が聞こえた。
泣き叫ぶ声だ。
「どこーーー!ねぇ!!ママーーーーー!!」
泣き叫ぶ女の子には見覚えがあった。
朝、ギリギリの時間に家を出る時だけ会う小学生の女の子。
同じ2階に住んでいるのにろくに挨拶しなかったな。
なんて、今考えることじゃない。あの子ももう間に合わない。
間に合わないんだ。
1回に降りる階段の天井が、焼け落ちて今にも崩れる。
間に合わ……
あー!!!!!もう!!!!!!!!
「ねぇ!君!立てる!?」
しかし、こちらの問いかけに答えずに、泣いている。
聞き続けるよりも行動に移した方がいいと思い抱きかかえ走り出す。
「いくよ!!!君だけは必ず助けるから!!!!」
どうせ、終わってしまうし何も残らない人生だ。
最後くらい誰かを救って死にたい。
泣き叫ぶ子供を抱きかかえて階段をおりる。踊り場に差し掛かったその時だった。
轟音をたてて天井が落ちてくる。
咄嗟に子供を1階へ押し出す。
子供は衝撃で尻もちを着いたみたいだが無事だ。
良かった。
瞬間、俺の体は天井の下敷きになった。
熱い、痛い、あつい、いたい、アツイ、イタイ!イタイ!!アツイ!!!!イタイ!!アツイ!!!!イタイ!!アツイ!!!!イタイ!!アツイ!!!!イタイ!!アツイ!!!!
どうせなら一瞬で死にたかったが、そうもいかないみたいだ。身体が焼けていくのがわかる。
段々と痛みがなくなっていく。
暖かい。
俺は天国に行けたのだろうか?
「ねぇ、君。」
声が聞こえる、誰だろう。天国ってやっぱあるんだな。
あのー、ここ天国ですか?
「あ、ごめん。君もしかして天国に行きたかった?申し訳ないんだけど君の天国行き。僕が断っちゃった。」
は?
「僕は炎、消えない炎のソル・フレイム。君をスカウトしに来たんだ……というか、もう確定事項なんだけど。」
え、ちょっ。……何言ってんの?てか、炎?喋ってる!?
目の前には、燃え盛る炎。炎はとたんに口に変形して流暢に喋り出す。
「いやぁ、君の世界の僕ね?ちょっと窮屈でさ。ほら!君の世界魔法とかないじゃん?だから、存在明らかに出来ないっぽくて笑石とかガス?っていう気体に分散しているんだけど……分散していた一部が暴発しちゃったらしくてさ。」
いや、いやいやいや話ついていけてないんですけど!?
「巻き込んで、殺してしまったから。せめてもの償いで天国に送ろうとしたんだ。」
え、俺天国行けたの?じゃあなんで!!俺はこんなよくわかんない火の話聞かされ
「悔しくない?」
……。
「君の人生みたよ。酷いね〜。両親も親戚も職場も世界も。全てが君を拒絶しているみたいだ。」
うるさいよ。
「こんな世界に居続けるぐらいだったらむしろ良かったんじゃないか?」
うるせぇよ!!!何がわかるんだよ!!!一生懸命嫌われないように、目立たないように生きてきたつらさが!炎なんかに何がわかるんだよ!
「やり直したくないかい?」
……。
「今度は別の世界で。」
……出来んのかよ。
「僕の方の世界においで。こっちの世界には君たちにとってゲームの中でしかない魔法がある。魔力の強さが全てだ。」
どうせ、俺はその世界でも
「君には特別な力を与えよう。他の人にはない、君だけの力だ。その代わり、君には頼み事がある。」
……なんだよ。
「この世界の……もう時間が無い。単刀直入に言う。まずははじまりの草原で鳥を見つけて仲間にしろ。そこから全てが始まる。新しい世界で頑張っておいで。」
ちょっ、おい!あれ?なんか眠くなって……きて