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悪夢

作者: 玉毬

こんな夢を見た。


目が覚めた時、私は古びた遊園地にいた。周りには大勢の人間がいた。彼らに共通点のようなものは見受けらない。ただ一つ分かるのは、みな怯えた表情をしていること。


私は直感的に何か恐ろしい事が起きるのだろうと理解することができた。

そこまで把握したところで周りにいた人々が走り出した。


私は何が起きたのかわからず走り出すのが遅れてしまった。

何かに追われているような、何かが迫ってきているような気がして私も少し遅れて走り出した。


走っていると、後ろから大きな音が近いてきた。

先ほど走り出す前は何もいなかったのになぜ音が鳴り始めたのかと思い振り返るとそこには前を走っている人と同じくらい大勢の人間が、やはりおびえた表情でこちらに走ってきた。


しかし。どうやら私の足は遅いようですぐに追いつかれてしまった。


そんな時、前に多くのアトラクションが見えた。

それもそうだ。ここは遊園地なのだから。だが、私にとっては致命的な障害となってしまった。


このままいくとメリーゴーラウンドに突き当たってしまう。しかし、私は多くの人に囲まれて方向転換も移動こともできない。

その場で立ち往生することになってしまった。



人々が過ぎたあと、また走り出したがどこにも人影が見えない。しかし、追われている感覚はするので走り続けていると、私は森の中に入っていた。

いや、森というほど道は凸凹ではない。ちゃんと道があり、その道はコンクリートでできている。いや、レンガだろうか。とにかく、硬い地面なのだ。そして、道の周りには葉でできた壁があり、道沿いにいろいろな石像や噴水のようなものがある。


その道をそのまま進むと目の前に白い四角形の建物が現れた。その建物は中規模な会社のオフィスのようなもので、周りの雰囲気と全くあっていない。いわば浮いた存在だった。しかし、中に他の人たちがいることを確信していた。


私は警戒しつつも中へと進んだ。中にはエレベーターがあり二階へ行けるようになっていた。

エレベーターで二階へと上がると、大きな部屋がいくつかあった。その中の一つに他の人達が集結していた。だが、よく見ると最初よりもだいぶ人数が減っていた。ざっと見積もっても100人には及ばない。みな怯えていて、息をひそめている。中には泣いている人までいた。


私もそこで隠れていようとしたが、どうも胸騒ぎがする。

私の五感が、心が、頭が今すぐここから離れ、この先の建物に隠れろと言っている。

私はなぜだかここにいる人を移動させなければいけないと思った。そして、声がけをしてみるとほんの少ししかついてきてくれなかった。

このままではここにいる人が死んでしまうとわかっていたが、後を放置して建物を出た。



すると建物の中からけたたましい悲鳴と共に大きな何かが建物を壊しながら中に入っていくのが見えた。何かは階段やエレベーターを壊すと、二階の人々を次々に襲った。


私はついてきた仲間になど目もくれず、建物から続く道をひたすらに走った。



すると目の前に大きな館が現れた。その館に隠れやり過ごそうと考え、館の扉に駆け寄り、そして、開けようとした瞬間、後ろから引っ張られた。

私は逃れようとしたが、その努力もむなしく、割かれ、食われ、そして、殺された。


最後に見たものは、人とも獣とも物ともとれる者と、これまですれ違った見知らぬ人々の顔だった。「ああ、そういえば私は足が遅いのだったな。」

最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。

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