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ラブレター編

初投稿です。結構ストーリーには自信があります。また、読んだ感想を聞かせて貰えると非常にありがたいです。

さて、今回は起承転結の「起」の部分です。今回の話だけでも推理出来るところは出来ると思うので是非考察などで楽しんでください!

僕は佐伯光太さえきこうた。今日からこの私立御幸みゆき高校に通うことになった一年生だ。ちなみに今現在は入学式の真っ最中。校長先生の話がもう十五分に差し掛かろうとしている。

誰だって入学初日はこう思うんじゃないだろうか。勉強についていけるかなと。あとあれだ。友達とかできるかなとか。中学の同級生は揃いも揃って近くの市立に行ったからな。だから同じクラスには顔見知りが一人もいない。いや、一人いたか。中学のときもいた橘さん。接点が全く無いけど。


初日は午前のみの授業だった。心構えとか、校則だとかを言われたあと、学級委員を決めた。もちろん僕は学級委員ではない。授業が終わって、一通り部活を見てまわった。帰り、なんの部活に入ろうか考えていた頃、制服姿でダンボールを抱えている女子を見かけた。背丈は僕より少し小さいから大体百五十五センチメートル位かな?(因みに僕は百六十三センチメートルだ)顔はダンボールで隠れているけど、うちの学校の制服じゃん。重そうだな。

「持ちましょうか?」

声に気づいた女の子は抱えていたダンボールの横から覗き込むようにしてこっちを見ている。ショートヘアでいかにも可愛らしいという印象がした。この顔は確か同じクラスにいたな。っていうかこの子・・・

「大丈夫です。これぐらい平気だから」

「いいですよ、僕、このあと暇ですし」

「・・・そういうことならお願いします。私は宇佐美うさみ 芽依めいです。芽依って呼んでね。あなたは?」

佐伯光太さえきこうたです。よろしく芽依さん」

そう言いながらダンボールを持ち上げる。何が入ってんだこれ。かなり重い。僕、中学のときは帰宅部だったけど、運動はできない方じゃなかったんだけどな。

「どこに持ってくの?」

「寮だよ」

「寮があるってことは野球部?」

なんて何も知らない振りをしつつ。

「ううん。探偵部」

あー。探偵部ね。知ってる知ってる。じゃなくって。

「探偵部?聞いたことないけど、どういう部なの?」

「簡単に言うとね、西桜幕高校の皆の困りごとを解決してあげるって部活だよ」

そうこうしているうちに着いたのは・・・そこそこ立派な一軒家だった。


「おかえり。で、頼んだやつは?」玄関のドアを開けた途端誰か飛び出してきた。ダンボールに手を伸ばしたとき、ようやく僕に気づいて

「んん、見ない顔だね君、誰?」

「私の代わりにこれを運んでくれたの」

よっぽどあのダンボールの中身が好きらしい。聞く耳も持たずにダンボールを自室?らしき部屋に運び込もうとしていた。

「あの人は二年の吉川義人よしかわよしと先輩。すごく機械に強いんだよ。ちなみにさっき運んでもらったのはパソコンって言ってた気がする。そうだ、ちょっと上がってかない?どうせこのあと暇でしょ?」

「ああ、うんじゃあ」

これはなかなか好都合。

リビングルームに行くと、ソファーに座って喋っている二人が居た。男の人と女の人。

「ちょっと芽依。その男子誰?」

ソファーに座っていた女の人が話しかけて来た。鬱陶しそうな顔で。絶対嫌がられてる。僕恨みでもかってんの?まあ買っててもおかしくは無いけど。

「吉川先輩の荷物を運んでくれた佐伯光太君。せっかくだし上がってもらったんだ」

それを聞いて男の人が

「そうなのか。ありがとう光太君。俺は三年三組の中嶋優なかしますぐるだ。そしてこっちは俺の幼馴染で芽依ちゃんの姉の宇佐美舞依うさみまいだ。よろしく」

「よ、よろしくおねがいします」

やっぱりこの人カッコいいな。多分、結構モテる感じの人だ。

チラッと舞依先輩の方を見る。髪は芽依さんと違ってロングヘアで、はっきり言って目つきが怖い。凛とした雰囲気で、いかにも芽依さんのお姉さんって感じがする。

「まあゆっくりしてくといいよ。舞依もいいだろう?」

「・・・ええ別に構わないけど」

「せっかくお客さんが来てくれたのに申し訳ないんだが、依頼が来た」

声のした方を見ると長身の中年男性が居た。中年というとイメージしてしまうのは校長先生みたいな小太りの人だけど、この人は結構がっしりとしている。

「こんにちは光太君。俺は探偵部顧問の瀬良だ。そして残念だがもてなすことは難しそうだ。すまないね。せめてゆっくりしていってくれ」

「それなら見学させてください。ちょっと探偵部の活動がどんなのか気になって」

「そうか・・・じゃあ、見学ではなく体験ならどうだろう。こちらも少し人手に困っていてね」

「わかりました」

「それじゃあ人手も増えたことだし、今回の依頼の内容を説明しよう」


「依頼人は二年二組 原 亮子はらりょうこ。昨年度の卒業式、轟 とどろきてつ先生宛のラブレターを書いて職員室の机に置いたそうだ。返事がないままだったので今日轟先生に直接手紙の返答を聞いたが、手紙なんて知らないと言われてしまった。なので手紙は何故、どこに行ってしまったかを調べてほしいということだ」

殺人事件みたいなものかと思っていたから、かなり拍子抜けしてしまった。

「じゃあ俺はこれで失礼するよ。やることがあってね。夕食までには帰るから」

瀬良先生を見送った後、中嶋先輩が切り出す。

「よし、じゃあまずは役割を決めよう。一人は轟先生に聞き込みに行く。他は先生や生徒に聞き込み。聞き込みがある程度終わった人から寮に集合だ。いいか?」

「どうやって決めるんですか?」

「ジャンケンよ」

ジャンケンついでに全員の電話番号とメールアドレスを追加した。話の場にはいなかったけど、勿論吉川先輩のも。


─移動中─

「そういえば、なんで寮が一軒家なんですか?」

「あそこは本来瀬良先生の自宅なんだよ。そこを俺たちは使わせてもらっているんだ」

「他に部員はいないんですか?」

「いないよ。人数が多すぎると瀬良先生に負担がかかってしまうからね。それもあって、部員の募集はしてないのさ。よし、そろそろ別行動だ」

あ、そういえばなんで吉川先輩が寮に残っているのかを聞きそびれた。


ピンポーン

「よお。久しぶりだな善之よしゆき

「洋か。確かに久しぶりだな。前会ったのは一ヶ月ぐらい前か。まあ上がれよ。」

「おい、またカップ麺ばっか食ってたのか?」

「あーやっぱバレた?」

「ゴミ箱の中を見れば一発で分かるよ」

「流石元刑事。すごい観察力だ」

「元刑事か・・・」

「すまない。また思い出させたか?」

「いや、気にすんな」

こうやって喋ってると前を思い出すな。


三年前の秋───

「しかし洋はいい嫁さんをもらったな!」

「ほんとだよ。俺にはもったいないぐらいだ」

「俺もそんな奥さんをもらえてたらな子供を押し付けて別れるって、いつ思い出しても最低だよな」

「そういえば義人君は元気か?」

「幸い反抗期とかは今のところないね。反抗期が来てたら俺もう手ぇ付けらんないね」

「じゃあもう金の心配は無いってことだな?」

「おう。中々良い働き先が見つかったんだ。まあ少々ブラックだけど、義人のためだ」

「しかしよかったな。お前のその腕を評価してもらえる職場があって」

話を聞く限りは特に問題がある仕事じゃないだろう。よかった。こいつが本気を出せばサイバーテロとか余裕で起こせるからな。まじで。真っ当な職場で安心したよ。

「ごめん。そろそろ戻らないと」

「警察は忙しそうだね」

「ああ、近頃暴力団が勢力を拡大してきてるんだ。捕まえようと思ってもなぜかこっちの動きが暴力団に筒抜けなんだ。しかもどこから情報が漏れているのかも分からないから余計たちが悪い」

「・・・大変そうだな」

「ほんとだよ。あ、今の内緒な。話したらまずい内容なんだ」

「オーケー。誰にも言わないよ。じゃあまたな」


「おお瀬良、戻ったのか。またあれか?愛妻弁当ってやつ。いやー羨ましいね。うちの嫁とは比べ物にならない美人さんだし」

「そうか?お前の嫁さんも結構かわいいじゃねえか」

「そうなんだけど。やっぱりどうしても他と比べちまうよな」

「ところで、今回見つけたアジトってのは当たりだったのか?」

「クソ!またか!」

あーあ。課長また怒ってるよ。

「あれを見て当たりだと思うか?」

「全く。いやそんな気はしてたけど」

「さて。俺らも仕事をしますか」

「だな」


「やっぱり思い出してるな。ボーッとしちゃってよお」

「すまない」

「なんで謝る」

「そういえば今日佐伯光太君って子が訪ねて来たんだ」

「佐伯?おいちょっとまて。今佐伯って言ったか?」

「ああ。それがどうした?」

「気のせいかもしれないんだが、佐伯って───」

「なるほど」

「まあもしかしたらだけどな」

なら、いっそ探偵部に入ってもらった方が・・・

「じゃあな。また来るよ」

「おう」

優君辺りにメールをしておくか。



聞き込みと言っても特に行く宛もなく体育館前を歩いていた。

「よお。何してんだよ光太」

この声は千ヶ崎だな。

「いやー誰かと思ったらちーだったか。背が小さすぎて見えなかったよ。もういっそチビって名乗ったらどうだ?」

「うっせー!俺の名前は千ヶちがさき 火刈ひかるだ!今も昔もこれからも!」

こいつは俺の中学からの友達の千ヶ崎だ。背の順で不動の先頭の座を確立している。あだ名はチビを呼びやすくしてかっこ「ちー」と呼ばれている。

「それにしてもちー。この時間までいるってことはお前、もう部活に入ったのか?」

「いやまだ。体験入部ってやつ。バスケ部に入ろうと思っててさ」

「まじかよ・・・その身長で?」

「だからだよ。バスケ部って身長伸びるって聞いたから。目指せ身長2メートル!もうチビなんて言わせない!」

無理だろ。いや、ここは友人として見守ってやるべきか?

「まあ・・・頑張れよ。じゃあこれで」

「ん。光太はどの部活に?」

考えてなかったな。・・・まあ候補は二つほどあるけど。

「秘密」

「ケチだなぁ」

「ケチで悪かったな」


メール。吉川先輩からだ。

『あと20分そこらで雨が降るから降ってないうちに帰って来てねー』

まずい。このままだと友達と喋ってただけって報告することになる。


僕が帰ったころにはもうみんな帰っていた。吉川先輩もいる。

聞けば芽依さんも何も情報を得られずに帰ってきたらしい。

「ほんと何しに行ったのよ全く。ああ、轟先生はそんな手紙は知らないって言ってたわ」

「え?それはおかしい。ふじ先生に聞いたら誰かが手紙を轟先生の机に置いているのを見たから、不審に思ってすぐ轟先生に渡したって言っていたぞ?」

「おかしいわね」

「つまり轟先生か藤先生のどちらかが嘘をついているということですか?」

「そういうことだ。冴えてるじゃないか光太君。よし、舞依と俺でもう一度聞いてこよう」

「優さん。明日にすれば?雨今日のうちはやまないしさ」

「忠告ありがとう吉川。だけど善は急げだ」

「ほんとに行くの?明日にしましょう。面倒臭いわ」

なんか気まずいな。

「なら僕が行きましょうか?」

「おお、それがいい!良い経験になるんじゃないか?」

「・・・はぁ。わかったわよ!行けばいいんでしょ?その子に務まる訳ないじゃない」

そう言うと舞依さんは出ていってしまった。

「ナイスだ光太君。うまく行ったよ。三人は待っててくれ」

最初から僕に行かせる気はなかったのか。


「藤先生。また少しお話をお聞きしたいのですが」

「ええ、いいわよ。で、今度は何を?」

「先程手紙を先生に渡したと仰られておりましたが、中身はご覧になりましたか?進路のことが書かれていたのですが。」

「見てないわ。でもなぜ進路のことを轟先生に?」

「申し訳ないのですが、それはお話できません。貴重なお時間ありがとうございました」

「大丈夫よ。頑張ってね」

「ああ、最後に。このことは誰にも話さないでもらえますか?」

「わかったわ」

うーん。嘘はついていないだろう。手紙の内容を間違えて言っても特に反応はなかったから手紙の中も見てない。ということは・・・

「そういえば。轟先生の家、結構遠いのよね。確か鶴松市って言ってたような。」

「そうですか。大変そうですね」

今、鶴松市って・・・



「轟先生ならついさっき帰られたぞ」

「そうですか。ありがとうございます」

最悪ね。ジャンケンに負けるわ雨は振るわ轟先生は帰ってるわ。ほんとついてない。

雨の中走ると余計濡れるのよね。帰ったのはついさっきらしいけれども。私、優ほど走るのが速くはないのに。

「はぁ・・・はぁ・・・」

居た。けどさぁ。まだ距離があるうえにタクシー乗ろうとしてるし。

届くかな、声。

「轟先生!」

「・・・またか。なんだい?」

良かった、届いて。めっちゃ嫌そうな顔するじゃない。

「はぁ・・・さっき・・藤先生が・・・先生の机にあった手紙・・・・先生に渡したって言ってたらしいんですけど。嘘ついてませんか?」

「・・・はぁ。わかったよ。言えばいいんだろう?そうだよ。確かに藤先生から誰のだかわからんラブレターを受け取った。あれはかなり気持ち悪かったね。学校のゴミ箱に捨てたよ。もういいか?急いでるんだ」

最低ね。あなたのほうが気持ち悪いわよ。聞きたいことは聞いたし、もう帰りましょう。

「鶴松市の・・・まで」

「───っ!?」

まさか。


「あ、お姉ちゃん帰ってきた」

「どうだった?こっちは嘘をついているような反応はなかったよ」

「・・・でしょうね」


「なるほど。それは聞かせられないな」

「ひどい!いくら何でもそんなこと・・・」

「ならこうしよう。轟先生はちゃんと手紙を受け取った。だが、生徒との恋愛は禁止だから気持ちに応えることはできないと言っていた。言おうと思ったが申し訳なくて言えなかったと。そうすればとりあえずは大丈夫じゃないか?」

「そうね」

「じゃあ俺から瀬良先生に今回の事を伝えるよ」

「すまない光太君。気分を悪くさせてしまっただろう」

「いえ。大丈夫です」

「そういえば、さっき瀬良先生からメールが来たんだよ。光太君に探偵部に入る気はないかと聞いといてほしいって」

これは都合がいい。

「僕も丁度探偵部に入りたいと思ってたんです。でも、大丈夫ですか?食費とか」

「問題ないよ。一人くらい」

「賛成!同い年の人が居ると心強いし」

「私は反対よ。面倒を見る暇なんてないもの」

「俺は賛成だね。人手不足だし。僕が面倒を見ればいい。吉川は?」

「どちらでも」

「三対一だ。舞依もいいね?」

「・・・わかったわ」

「決まりだ。帰ってきたら先生に報告するよ」

「ありがとうございます」

「光太君。携帯が鳴ってるよ」

「ほんとだ。ちょっと席を外します」

父さんからか。

「もしもし・・・・・うん・・・うん・・・・優しい人で助かったよ・・・この調子で・・・うん・・・じゃあそろそろ切るね」


「皆さん。今日はありがとうございました。今日はとりあえず帰ります。さようなら」

「そうか。気をつけて」


如何でしたか?まだ今回だけだと分からない事が殆どですが、話が進むにつれて謎も解かれていくので是非次回も見てください!

次回もこの時間に。

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