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部活始動

今回と次回はキャラ紹介回っぽくなります

新学期初日は始業式があっただけで終わったので、本格的な部活のスタートは明日からになる。

ただし、俺たちの「ファンタジーナイン研究部」は別だった。


「うわあああ!! どうしよう真弦! 部員が足りないよー!」

「勧誘でもするか? 俺は知らない人に話しかけるなんて無理だけど」

「姉さんのためなら私が……」

「弥生だけじゃなく飛鳥まで絡むと絶対にF9興味ない人が入ってきそうだから気持ちだけで大丈夫」


そう、この高校では同好会にするには部員が三人、部活にするには部員が七人と顧問が必要なのだ。

今のところ部員は二人。顧問はいない。同好会としても成立しない。


「ならさ、漫画・アニメ研究部にしたら? その方が集まるんじゃない?」

「天才か」

「さすが飛鳥だね!」


飛鳥の意見を受けて、俺と弥生はハッとした。

ファンタジーナインが好きすぎて俺たちは視野が狭かったようだ。漫画・アニメ研究部にすれば部員も集まりやすそうだし、ファンタジーナインの布教も捗りそうだし、あわよくばオタク仲間ができるかもしれない。


「そうするね! ありがとう飛鳥」

「姉さんの役に立ててよかった」


そして、その日は家の前で解散をした。




次の日。俺たちは、朝、昼休み、放課後をフル活用して、漫画・アニメ研究部のポスター貼りをしていた。

飛鳥か弥生が直接勧誘をするとファンクラブ二号になる恐れがあるので、面倒くさくても間接的にこだわる。

その努力は実った。校内にポスターを貼りまくったおかげか、放課後になると恐る恐るという感じで入部希望者が教室に来てくれたのである。


「失礼します……、漫画・アニメ研究部の石橋部長代理はいますでしょうか……?」

「あ、俺です」


部長は今のところ弥生だが、変わる可能性もあるし、何よりオタク(というよりは俺)は三次元美少女恐怖症を患っていることが多いので、オタクらしいオタクにはオタクらしいオタクの俺(部長代理)が対応する。

だんだん会社っぽくなっているのは気にしない。


「えーと、わ、私は夏川瑠璃なつかわるり、二年六組です…。あ、あの、入部希望です……!」

「あ、ありがとうございます! 部長代理の石橋真弦です。これからよろしくお願いします。これで同好会になれる…!」

「えーと…そうなんですね。おめでとうございます……」

「入部届け、受け取りました。二年六組ですね? 部室が決まったら呼びに行きますね」

「は、はい! 了解致しました」


新入部員は同級生女子だった。

残念ながら面識はないが、今日から部活仲間。

夏川さんのオドオドした言動や長めの前髪に一つ結びという、オタクっぽいオーラにすごく仲間意識を持てる。これはいいオタク仲間をゲットしたかもしれない。

俺が一人で喜んでいると、弥生もひょこひょことやってきた。


「はじめましてー、部長(仮)の秋葉弥生です! 瑠璃ちゃん入部ありがとう! 突然だけど好きなアニメとか漫画ってある?」


夏川さんは突然の美少女の登場にものすごく戸惑っているようだった。

共感しかできない。俺が夏川さんだったらこの状況に間違いなく失神する。

夏川さんは数秒間、困惑と驚嘆の混ざった顔をしていたが、すぐにオタクモードにギアチェンジした。


「私は漫画よりアニメ派です。基本アニメは放送されるものは全て観ます。今も一日十本くらいは観ます。私の個人的なおすすめは「要塞のパラドックス」です! ミステリーとファンタジーとSFが混ざったようなゴリゴリの少年漫画原作なんですけど、作画と音楽が美しくて……! もちろん他と被らない世界観と巧妙なトリック、魅力的なキャラクターに大量の伏線などがあって見応えもバッチリです! あれはもう芸術作品です! 世界丸ごと尊いです! あとはですね……」


夏川さんはスイッチが入ると止まらないタイプのようで、しばらくオタク用語なども使いながらおすすめアニメや推しのキャラクターの話をする。

他人の推し自慢は聞いているだけでも楽しいし、おすすめアニメはとても参考になった。いくつか観てみたいものもできた。

これは凄い逸材が入部してくれた。


「それでそこで私の推しが……あっ! …す、すいません!ついつい語りすぎてしまって……」

「ううん、大丈夫! 参考になったし、もっとおすすめアニメを教えて欲しいな! とっても話が面白かったよ」

「俺も同感だ。やっぱり他の人の話を聞くと世界が広がる」

「ほ、本当ですか……?」


語りすぎてドン引きされるというのは、オタクあるあるだ。俺も過去数回経験がある。

でも、同じくらい重篤なオタクの間でならそんな心配はいらない。むしろ分かり合える。


そして、俺たちは優秀な部員と部室を獲得した。

部室棟は広すぎて部屋が有り余っているので、同好会になれば部室がもらえる。少子化の数少ない恩恵だ。

部室決めは後日にするとして、今は結成の喜びを噛みしめたい。

二人も同じ思いだったようで、自然と笑顔になれた。


「改めて、漫画・アニメ研究部、結成です! これから楽しもうね!」

「はい!」

「おー!」

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