代償〜誰が為に〜
こんにちは、初投稿ということで軽い自己紹介をしようかなって思っております、キング先輩です笑
キング先輩は高校のあだ名から取ってます
元から声が大きくよく声が大きいと怒られる
キング先輩です。
*注意点
まず初めにこれは小説ではなく脚本のようなものに近いですが読んでいただけると幸いです。
出来るだけ読みやすいようにしてるつもりですが読みにくい場合は大変申し訳ございません。
この作品は私が高校2年生の時に考え、書き上げた作品なので物語のちぐはぐさはあると思いますがご了承下さい!!
もし読んで頂けたのであれば是非感想をお聞かせて下さい!
ニュースが流れている。
一方で夢の中で翼の昔の記憶が蘇る。
雪村 2028年にドイツで発見されたC.H症は
6年経った今でも猛威を振るっています。
翼 お母さん、先生!お母さんは…そんな…
雪村 C.H症については未だに良くわかって
おらず治療法も移植しかないようです。
翼 お母さん死なないで…死なないで
雪村 3年前に全世界で制定された
「個人による心臓移植自由法」により
ドナーが増える一方で死者は後を絶ちません
翼 ……(心電図の音)え、お母さん?
お母さん?お母さんーーーー!!!
遊園地のベンチで座って寝てた翼が目を覚ます。
翼 は!ゆ、夢か。はぁーはぁー…
須藤 陽奈がトイレから帰ってくる
陽奈 ごめん遅くなったートイレ並んでたから
ってどうしたの?そんなに息上げて大丈夫?
翼 うん、大丈夫。昔の夢観てただけだから
陽奈 そっか
翼 陽奈がジェットコースター5回連続で
乗ってみたいって言うからだよ
陽奈 えー陽奈のせい?!
翼 陽奈のせい
陽奈 意味わかんない!
昔の事ってお母さんの事?
翼 うん。あの時にアレが出来てたらって思うんだ
陽奈 だからと言って見つかるかわからないよ
翼 俺が渡すよ
陽奈 は?!何言ってるの?
翼 って今言っても変わらないか
陽奈 でも陽奈よくわからないんだよね
C・H症?あの病気
翼 あの病気はトイフェルウイルスという
ウイルスが心臓内で繁殖してどんどん
機能を低下させていずれは停止させる。
ごく稀に記憶喪失が併発する人もいる。
記憶喪失に関しては未だに原因が
よくわかってないんだけどね
陽奈 さっすがー。医者目指してるだけあるねー
翼 これぐらいニュースで知れるよ
陽奈 はいはい。でも凄いね医者目指すなんて
翼 もう俺みたいに悲しい思いをする人を
出来るだけ多く減らしたいんだ。
陽奈だってデザイナー目指してるでしょ?
陽奈 目指してるよ。絶対なるよ!
翼 頑張れよ
陽奈 翼もね
陽奈 そんなことより今日は楽しかったねー
翼 そうだな。気分悪くなったけど
陽奈 何その言い方。陽奈は楽しかったのになー
翼 別に俺も楽しくなかったわけじゃないけど
陽奈 へー楽しくなかったわけじゃないか
随分上からなんだね
翼 そんなことないよ
陽奈 今日は付き合ってくれてありがとうございます翼様
翼 やめて
陽奈 翼様はほんとに優しいですね
翼 だからやめろ!(陽奈の口を抑える)
陽奈 ん、ん、つばっ、ん、んーーー
翼 もうわかったから
陽奈 それならよろしい!
翼 はぁーいつもこう
陽奈 何が?
翼 俺が陽奈のわがままを聞いてること
陽奈 陽奈わがままじゃないもん!
翼 逆にどこが?昨日の夜にいきなり明日遊園地行こっ!
って誘ったきたのは誰ですか?!
陽奈 そ、それは…
翼 あれ?誰でしたか?
陽奈 陽奈です…
翼 だよね?それでもわがままじゃないの?
陽奈 う、うるさい!駅まで競走だー!!
翼 ちょっと、誤魔化すなよ!
陽奈 別に誤魔化してないもんねー
2人は駅まで競争し陽奈が先に駅に着いた
そして駅の自動販売機前
翼 はぁーはぁー。信号はずるい
陽奈 ずるいとか言うなら無視すれば
よかったじゃん?
翼 出来るわけないだろ!だめだろ
陽奈 ほんと真面目だねー真面目じゃなかったら
モテるかもしれないのに
翼 か、関係ないよ!
陽奈 動揺しちゃって。じゃ!ジュースね?
翼 なんで?
陽奈 競走負けたから
翼 そんなの聞いてない
陽奈 言ってないもん
翼 なにそれ
陽奈 奢ってー奢ってー奢ってー
翼 あーもう恥ずかしいからやめろ
陽奈 早くー早くー
翼 もうわかったよ!
はい。どれにするの?
陽奈 うーん…
翼 はやくしてよ
陽奈 うーん…
翼 はやく。あーもうこれね
陽奈 あーーーーーー!!!!
翼 陽奈が早く決めないから悪いんだろ
陽奈 もう一本だー!もう一本買えー!
翼 知らないよ
陽奈 今回はこれで我慢してやる
翼 今回はってなんだよ
陽奈 んーーうまっ!翼これうまいよ、
翼 そう。それは良かったな
陽奈 翼も買いなよ。あっそれとも飲む?
翼 飲まない
陽奈 そっか。あ!もしかして今間接キスとか考えた?
翼 考えてない!
陽奈 なーんだつまんなーい
翼 すいませんね、これが俺なんで!
陽奈 はー出たよそれ
翼 うるさい、もう電車来るから飲み物直せよ
陽奈 うるさいなーわかってる!
2人は電車に乗りゆられる
陽奈の自宅前
陽奈 今日は楽しかったありがとう
翼 俺も楽しかった。すごい疲れたけど
陽奈 それまだ言う?!
翼 あーあ疲れた
陽奈 もううるさい!また誘うから!じゃあバイバイ
翼 バイバイ
2人帰宅する
陽奈の自宅
陽奈 ママーただいまー夜ご飯何ー?!
里香家の奥から歩いてくる
里香 おかえりなさい。
そんな大きな声で言わないでいいわよ
ちゃんと聞こえてるわよ
陽奈 じゃあなに?
里香 なにってなにが?
陽奈 ほらー聞こえてないじゃん! もうママも歳だね
里香 何言ってるのよまだ39よ
陽奈 え!まだ39だったの?
里香 そうよ。親の歳も覚えてないなんて悲しいわ
陽奈 そんなの覚えてるわけないじゃん、興味ないんだから
里香 陽奈が興味あるのは自分のことだけだもんね
陽奈 それは違うよー
里香 そうかしら。それじゃあ翼くん?
陽奈 翼になんて一番ないよ
里香 あらそうなの、それで今日はどうだったの?
陽奈 楽しかったよ。ジュースも奢ってもらった
里香 それは良かったわね。
久しぶりのデートだったんでしょ?
陽奈 で、デートじゃないよ!遊んでるだけ!
里香 あら、そう?ずっとデートだと思ってたわ
陽奈 もういいから!ご飯!
里香 え、翼くんと食べてきてないの?
陽奈 来るわけないじゃん。まだ7時だよ?
里香 てっきり食べて来るものだと思って
用意してないわ。家にあるもの適当に食べて
陽奈 えーもう
里香 食べ終わったら捨てて
陽奈 はーい
里香 そうよ陽奈、日本で4人目の人
現れたんだってね
陽奈 何が?
里香 個人による心臓移植自由法よ
陽奈 あー3年前に出来たやつか
今日翼とも少しだけその事話したよ
里香 でもあれってどうなのかしらね
陽奈 だめだよ、せっかくの命なのに
里香 そうよね。まぁでも仕方ない人もいるのかしらね
陽奈 仕方ないとか関係ないよ。ご馳走さま!
里香 そうね、大切な命だからね
数日後…
翼は友人、草村 蒼と映画見に行くために
待ち合わせをしていたが時間になっても蒼は来ない
翼 蒼のやつ遅いな、時間過ぎてるぞ
蒼が遠くから笑顔で走ってくる
蒼 ごめんー!遅れちゃった。テヘッ
翼 テヘッじゃない。何時だと思ってる?
蒼 10時過ぎです
翼 集合何時だった?
蒼 9時です
翼 だよな。何してるの?
蒼 ごめんなさい
翼 はー誰かさんの為に映画館まで急がないと
蒼 そんなケチケチ言うなよ
翼 本当適当だな
蒼 お前が真面目すぎるの!
後ろから陽菜が姉の莉央と走ってくる
陽奈 お姉ちゃんー早くー
莉央 待って陽奈
陽奈 え!翼だ!
翼 あ、陽奈
莉央 翼くん久しぶり
翼 久しぶりです莉央さん
莉央 莉央さんってやめて昔みたいに莉央でいいよ
陽奈 で翼何してるの?
翼 今から映画見るところ
陽奈 本当に?!陽奈たちもそうだよ!何観るの?
翼 「人生は長い長い暇つぶし」
陽奈 陽奈たちも!
翼 へーそうなんだ
莉央 それじゃあ一緒に観ない?
翼 俺の友達居ますけどいいんですか?
莉央 いいよね?陽奈
陽奈 いいよ
蒼 陽奈ちゃんだっけ?翼と友達なの?
陽奈 小学校からの友達だよって誰?
蒼 ふん、俺、蒼、草村蒼よろしく!
陽奈 あ!君が友達の蒼くんか
蒼 え、俺のこと知ってるの?
陽奈 翼よく話してたから
蒼 なんて?
陽奈 えーとね
蒼 あーわかるよ皆まで言うな
蒼って奴はイケメンで優しくて文武両道で
非の打ち所がない完璧人間だろ?
陽奈 全然違う。ただのナルシで馬鹿でお調子者で
スポーツは出来るけど遅刻も良くするだめ
人間だって言ってた
蒼 それは言い過ぎなんじゃないのかな
陽奈 陽奈君のことよく知らないから
分からないけど翼が言ってた
蒼 翼ーーーー!!!!
翼 本当のことだろ
莉央 そんなことより早く急ぎましょう
4人は映画館に急いで向かって映画を見て満足げに
映画館から出てきた
蒼 面白かったー!!
翼 寝てた奴が言うなよ
蒼 たかが10分ぐらいじゃん!
陽奈 最後にタイトルの意味がわかるところよかった
蒼 え、どんな意味なの?
翼 お前わかってなかったの?
蒼 俺には難しすぎてわからん!
翼 そっか。さすが馬鹿
莉央 でもすごく考えさせられる内容だったね
陽奈 ねぇお腹すいたよーご飯食べに行こー
莉央 じゃあどこか食べに行く?
蒼 おーいいねーー!!行こうぜ!
翼 どこ行きましょうか?
莉央 何かいいところ知らない?
翼 桜ビルのところにインド料理屋があるん
ですけどそこはどうですか?
陽奈 インド料理屋行きたいー!
莉央 じゃあそこにしよ
陽奈 ほら行くぞー!
陽奈が何もない所で転びそうになる
陽奈 おっとっと危ないー
莉央 陽奈気をつけな
陽奈 はいはーい。ちょっと躓いただけ
蒼 陽奈ちゃんってどんくさいねー
翼 転けるなよ
陽奈 もううるさいなー、みんなして言わなくても
陽奈がふらついて倒れる
莉央 もう何してるの?
翼 はい。立てよ
陽奈 あ、ありがt…
陽奈は意識を失い道端に倒れ、翼は叫び、莉央は駆け寄り
すぐに救急車呼び近くの陽奈は病院に運ばれた
莉央 陽奈どうしたの?
翼 おい、目覚ませよ
蒼 陽奈ちゃんってなんか持病あるのか?
莉央 貧血気味かな
蒼 じゃあ貧血じゃないんですか?
翼 蒼、なんでお前はそんなんなの?
蒼 は?何が?別にただの貧血じゃないの?
翼 それはまだわからないだろ!もしかしたら
蒼 なんだよ。そんな怒るなよ
莉央 翼くん落ち着いて。陽奈は大丈夫よ
蒼 なんか気分悪いわ。俺帰るよ、じゃあな
蒼は気分を害して帰ってしまい病室には
気まずい空気が漂っていた。
そこに陽奈と莉央の母、里香が入ってくる
里香 陽奈!あ、翼くん、陽奈は?
翼 こんにちは、陽奈はまだ…
里香 え、陽奈!陽奈!起きて!
里香は動揺を隠さず陽奈をゆすりながら名前を呼ぶ
それを見て莉央は止めに入る
莉央 お母さん、お母さん!やめて!
何があるかわからないんだから!
里香 そ、そうね。ごめんなさい
莉央の制止のおかげで落ち着きを取り戻す
莉央 それでお父さんは?
里香 もうすぐ着くわ
莉央 そっか。仕事中だったはずなのに
里香 関係ないわよ!娘が倒れたのよ
親子で話しているそんな中陽奈が目を覚め
3人は一斉に声をかけた
陽奈 ん、ん、…
莉央 陽奈?!大丈夫?
里香 大丈夫?
翼 陽奈起きて大丈夫か?
陽奈 大丈夫だよ。みんなうるさいよあれ?パパは?
里香 もう着くと思うわ
陽奈 そっか。ごめんね心配かけちゃって
まさかあんな所で倒れるなんて思わなかった
莉央 ほんとびっくりさせないでよ。貧血ぽいの?
陽奈 うん、多分ね。急にふらふらしてきたから
莉央 ならよかった
そこに正人が会社から急いで駆けつけてやってくる
正人 陽奈!陽奈は?!
陽奈 パパやっほー
正人 陽奈…やっほーじゃないだろ、心配したんだぞ
陽奈は屈託のない笑顔で笑っている
陽奈 ありがとう。でも全然大丈夫だよ?
里香 正人さん来たから先生の所行って来るわね
翼 じゃあ俺は何か飲み物でも買ってきましょうか?
里香 大丈夫よ
莉央 翼くんが行くなら私が行くよ
翼 でも俺より莉央さんがいた方が
莉央 陽奈は翼くんが居た方が喜ぶよ。ね?陽奈
陽奈 別にどっちでもいいよ。変わらないし
莉央 恥ずかしがって。じゃあごゆっくり
里香と正人は医者のところに行き、
莉央は飲み物を買いに出て行ったことで病室には
翼と陽奈の二人だけが残された
陽奈 なにお姉ちゃん!ごゆっくりって!
翼 どっか痛いところとかないのか?
陽奈 痛い!って所はないけど少し頭が痛いかな
翼 頭か倒れた時に打ったからだろ
陽奈 たんこぶ出来ちゃうよ
翼 たんこぶぐらいいいじゃんかよ
死ぬんじゃないんだから
陽奈 まぁね。翼が咄嗟に助けてくれたら
打ってなかったけどね
翼 あんないきなり無理に決まってるだろ?
陽奈 それをなんとかするのが翼でしょ?
翼 お前の中で俺はどういう存在なの?
陽奈 うーん…便利屋?
翼 なんだよそれ
陽奈 そういう事なんだよ少年!
翼 いきなり少年呼び言うなら青年な
陽奈 別にそんな事どうでもいいじゃん!
とことん真面目か!
翼 真面目真面目ばっかりそれしか言えないのかよ
陽奈 翼にはそれしかないんだよー べー
翼 そんな事ない
陽奈 へー他に何があるの?言ってみてよ
翼 そんな事自分で言う事じゃないだろ
陽奈 そうかな。陽奈は言えるよ?
陽奈はね優しくてスポーツもできて
友達が多くてそれに元気!
翼 小学生みたいだな
陽奈 はー?じゃあ翼も言ってみなよ?
陽奈はできるのに翼はできないんだー
翼 言えるよ!俺はあれだろ勉強出来て
スポーツもできて…陽奈の面倒をみてる
陽奈 最後の何?!陽奈が見てあげてるだから!
翼 どこがだよ。わがままばっかりのやつが
陽奈 翼だってそればっかり!うるさい!
二人が言い争っていると莉央が飲み物を買って帰ってくる
莉央 お待たせ。何言い争ってるの?
陽奈 翼が陽奈がわがままだって言ってきたから
莉央 それはそうでしょう
陽奈 お姉ちゃんまでーー
莉央 はいはい。お母さん達ももう帰ってくるよ
帰ってくるときに歩いてるの見かけたから
陽奈 そっかー
翼は気を利かせて帰ろうとする
翼 俺は帰ろうかな
陽奈 なんでー帰るなー
翼 わかった
里香と正人が先生の話を聞き終わり帰ってくる
陽奈 おかえり!でどうだった?
正人 陽奈、肺炎らしい。
ちゃんと治療したら治るらしいから
しばらくの間は入院だ、治療頑張ろうな
陽奈 肺炎かー。本当に?
陽奈はふざけたように疑った、陽菜には違和感があった
里香 本当よ。嘘なんかつくわけないでしょ
陽奈 ふーん
里香 どうしたの?
陽奈 いや別に最近息苦しかったから
莉央 それならなんで言わないのよ
陽奈 別にいいかなーって思って
翼 馬鹿かよ
陽奈 馬鹿じゃないもん!
翼 肺炎なら大丈夫だろ。じゃあ帰るな
陽奈 えー帰るのー。バイバイ
陽奈 肺炎ってどれぐらいで治るの?
莉央 どれくらいなのかな
正人が浮かない顔して何かと葛藤してる様子だった
それを里香は心配そうに見ていた
正人 やっぱりだめだ
莉央 お父さんどうしたの?
里香 正人さん…
正人 陽奈すまない。肺炎なんかじゃないんだ
正人は隠せなかった、陽奈の本当の病気を
里香 正人さん!言わないって約束だったでしょ?!
正人 すまない里香だが!必ず伝えないといけない事なんだ
それなら早い方がいいだろ
陽奈 パパどういう事なの?
正人 陽奈お前の病気は肺炎じゃないんだ!
今流行っている…
C.H症、クヴァール・ヘルツ症なんだ
陽奈は世界で流行しているC.H症だった。
C.H症は治療出来なければ致死率100%である。
しかし治療法は心臓移植ただそれだけの不治の病である。
それを聞いた莉央は動揺したが、陽奈はどこかわかっていたようであっさりしていた。
莉央 え、それって…
陽奈 そっかー。それじゃあ陽奈は…
里香 やめなさい!
今の時代ならなんとかなるかもしれないわ
陽奈 まだ4人しかやってないじゃん
余命って分かってるの?
正人 余命はあと半年だ
莉央 そ、そんな陽奈が…
正人 これからはずっと病院生活になるから
お父さん達は着替えを取りに行くけど莉央は残るか?
莉央 うん。残るよ
陽奈 いやいいよ。お姉ちゃんも行ってきて
莉央 でも
陽奈 行ってきていいよ!少し1人になりたい
陽奈は少し強く言った。
莉央 わかった
正人 それじゃあ陽奈行ってくる。
何かあったらナースコールするだぞ
陽奈 うん
3人病室から出ていき病室には陽奈一人になった
陽奈 半年かー短いな…まだまだやりたい事あるのに
将来の夢だってあるのになれないのかなデザイナー
もっと家族のみんなや翼と遊びに行きたかったな
でも!まだ助からないと決まったわけじゃないし
希望はある、頑張ろ!
病室を出た3人は話し合っていた
莉央 お父さん!
正人 なんだ?莉央
莉央 陽奈がC・H症って嘘だよね?!
正人 本当だ
里香 莉央私たちも信じたくないけどそうなのよ
莉央 陽奈にはまだまだ未来があるの!
私よりデザイナーの才能あるし
里香 もう死ぬしかないみたいなこと言わないで!
正人 莉央まだ死ぬとは決まってない
ドナーが見つかれば助かる
莉央 そんな簡単にドナーが見つかるわけないじゃん!
正人 そうかもしれない。だが信じるしかないんだ!
莉央 私が渡す、
里香 何言ってるの莉央!
莉央 私が5人目になって渡す!
正人 何言ってるんだ!
莉央 だって!信じるだけじゃどうにもならないじゃん!
里香 莉央が渡すなら私が渡すわ!
正人 里香!お前まで何を言ってるんだ!
里香 子供を守るのが親の役目でしょ?
娘の命を助けれるなら本望よ!
正人 それならお前だけの問題じゃないだろ
俺の娘でもあるだろ!
里香 正人さんは仕事をしてお金を稼いできてくれてる。
私はただの専業主婦どう考えても私が渡すべきよ
正人 そんなの関係ないだろ!新しく制定されたからって
そんな簡単に言うな!自分の命も大切にしろ!
莉央 簡単に言ってない!私は陽奈を助けたい!
陽奈は私の大切なたった1人の妹なの
里香 親より先に子供が死ぬなんて耐えれないわ!
正人 お前ら2人とも少し頭を冷やせ!
自分の命をもっと大事にしてくれ
莉央、里香が「個人による心臓移植自由法」をやると言い出し陽奈を助けようとするがそれを正人を止め、少しずつ冷静さを取り戻していった。
そして今日から須藤家の闘病生活が始まり、家族だけではなく翼も毎日病院に通い続けた。
陽奈 今日も来たんだ
翼 今日も来たんだって邪魔者が来たみたいな
言い方するなよ
陽奈 してないよ。別に毎日来なくていいよ。
陽奈は小さな声で「来ないでよ」と言ったが翼には
聞こえてなかった。
翼 来てほしいくせに何言ってるんだよ
陽奈 別に来てほしくないしー
翼 そうですか。まぁ暇だから来てあげてるだけだよ
陽奈 さいてー暇つぶしにお見舞いに来るなんて
翼 嘘だよ
陽奈 知ってるー。翼は陽奈の事好きだもんねー
翼 友達としてな
陽奈 え、陽奈は…
翼 陽奈はなんだよ
陽奈 召使いとして好きなのに…
翼 おい!
陽奈 嘘だよ。友達として好きだよ
まず翼は男として見れないもん
翼 俺だって!陽奈は女として見れない
陽奈 ひっどー!見ろよ!
翼 見るわけないだろ。馬鹿か
陽奈 はぁーつまんない
翼 はいはいすいません
なんだかんだ陽奈は翼が来てくれるのが嬉しかったが…
陽奈 で、差し入れは?!
翼 は?
陽奈 さ、し、い、れ!
翼 ごめん今日はない
流石に毎日持ってくるのは金銭面できついよ
陽奈 えー!差し入れないと死んじゃうよー差し入れー
翼 死なないから。
陽奈 陽奈死ぬー!
翼 死なないって
陽奈 死ぬもん…
陽奈は真剣な眼差しで翼の目をしっかりと見ながら言った。
あまりにも真剣だったので翼には不安が湧き上がった。
翼 おい、なんだよ。
陽奈 陽奈死ぬもん
翼 え、なに言ってんだよ!
陽奈 なーんてね!死なないよー
翼 やめろよ!真面目な顔して死ぬとか言うの信じただろ
陽奈 あ、ごめん。ふざけすぎたね
翼 いいよ。死なないよな?
陽奈 死なないよ。だって肺炎だよ?
肺炎なんか確実に治る時代だよ?
翼 そうだよな。早く元気になれよ
陽奈 うん。ありがt
突然、陽奈が咳き込み始め、翼は心配になり先生を呼びに行こうしたが陽奈はそれを止めた。
翼 大丈夫か?!先生呼んでくる
陽奈 だ…大丈夫。たまになるから
陽奈は嘘をついた。初めてだったのだ。
翼 そうなのか
陽奈 焦りすぎ。今日はありがとう
帰ってくれていいよ
翼 え、あ、でも…
陽奈 大丈夫
翼 誰もいないし
陽奈 もう少ししたらみんな来るから!
帰っていいって!
翼 あ、ごめん
陽奈に初めて帰るように言われた翼は驚きと不安の気持ちでいっぱいになり、病室前で帰れずにいた。
翼 帰れって言われても帰れるわけないだろ
陽奈大丈夫なのかな、本当に肺炎なんだよな
陽奈が肺炎であることに疑問をもった翼は携帯で肺炎について調べていると里香が歩いてきた。
里香 あら翼くん。今日も来てくれたの毎日ありがとうね
翼 里香さん…さっき陽奈が突然咳き込み始めて
本人は大丈夫だから帰ってって
里香 ほんと?!
翼 はい。あの、陽奈の病気って本当に肺炎なんですか?
里香は突然の質問に驚いた。
里香 ど、どうしてそんなこと聞くの?
翼は調べて気づいた。陽奈の病気は肺炎ではないことを
翼 肺炎って言ってたのに見た感じ入院した時と
全然変わった様子がなかったので
里香 それはそこまで重度の肺炎じゃないからよ
翼 本当ですか?ならどうして肺炎は感染する可能性が
あるのにこうやって見舞いに来れるんですか?
里香 そ、それも…
翼 里香さん!陽奈は本当に肺炎なんですか?
翼は里香に対して突き詰めた。
翼に本当のことを伝えずにいた里香はとうとう
陽奈の本当の病気について話した。
里香 翼くん陽奈本当は…C.H症なの…
翼 え…C.H症ってクヴァール・ヘルツ症の事ですか?
里香 黙っててごめんなさい
翼 そ…そんな陽奈も…陽奈も
里香 翼くんはお母さんの事があったから言えなかったの
ほんとごめんなさい
里香は本当のことを伝えた後胸が痛んだ、翼の母親もC.H症にかかり亡くなってしまったからだ。
翼 その、陽奈は自分の病気の事知っているんですか?
里香 知っているわ
翼 それじゃあ、助かる方法は移植しかないことも
里香 知っているわ。余命があと半年という事もね
翼 あと半年なんですか。
それまでにドナーが見つからなかったら
里香 その時は私が守るわ。私のこの命に変えて
翼 それって
里香 私の心臓を移植するわ
里香はまだ自分の心臓を渡すこと考えていた。
翼 そんなことだめですよ!陽奈には里香さんがいないと
里香 子供を守るのが親の役目なの
翼 でもそれで陽奈が生きても
里香さんがいなかったら誰が
里香 莉央と正人さんがいるわ
翼 そうかもしれませんが!
家族を失うのがどれだけ辛いか!
それも自分のために家族を失ったって
知ったら陽奈は…
里香 大丈夫よ。陽奈は強い子よ
それに翼くんがいるじゃない
翼 俺じゃだめなんです!家族を失うなら
俺がいなくなった方がましです!
里香 何を言っているの?まさか翼くん
翼 里香さんは陽奈のお母さんです
翼また同じことを考えていた。
翼にとって陽奈はそれだけ大きな存在であり
大切な人だったのだ。
里香 だめよそんなこと!
翼くんがそんなことする必要ないわ!
翼 陽奈は俺の命の恩人なんです
里香 え?
翼 陽奈はお母さんを失った俺を暗闇から
救い出してくれた!
陽奈は暗闇を照らす光なんです!
陽奈にはこれからも生きて
他のみんなにも光を与えてほしい
里香 翼くん…それでもだめよ!あなたは!
翼 里香さん!俺はもう失いたくないんです
里香 それでも…
里香が翼の気迫に押されていると正人と莉央が来た。
正人 翼くんどうしたんだ
莉央 すごい大きな声だったけど
翼 あ、すいません
正人 何があったんだ?
翼 陽奈は俺が助けます!
もう翼を止めれる人はいなかった。
正人 すまないな。心配かけて
莉央 それより翼くん助けるってもしかして
翼 どうしたんですか?
莉央 だめだよ!そんなこと絶対だめ!
正人 まさか翼くん。だめだぞ!
翼くんまで何を考えてるんだ!
翼 正人さん!莉央さん!俺に任せてください
皆さんはこれからも陽奈の傍にいてあげてください
莉央 翼くんだって傍にいてあげて!
陽奈のわがまま聞けるのは翼くんだけなんだから
正人 翼くん。翼くんの気持ちは嬉しいが
そんな簡単に移植を選ぶのはだめだ
翼 簡単に選んでいませんよ、俺は本気です!
正人 翼くんは!陽奈の大切な友達だ!
翼 俺は友達なんかじゃありません
陽奈に憧れてるだけのただの高校生です。
あの、少しだけ時間をください
俺の最初で最後のお願いです
そう言って翼はまた病室の中は入っていった。
莉央 翼くん!お父さん!
正人 わかっている。絶対に翼くんにさせたらだめだ。
だが陽奈は必ず助ける。
病室に入った翼はいつもように声をかけた。
翼 陽奈大丈夫か?
陽奈は驚いた顔をした。
陽奈 え、なんで?帰ってなかったの?
翼 うん。帰れるわけないよあれ見ちゃったら
陽奈 なんでよ
翼 それにさっき里香さんから病気の事聞いた
陽奈 え、どうして
また咳き込む陽奈。
翼 大丈夫か?!
陽奈 うるさい!なんなんの!
帰ってって言ったじゃん!
翼 …帰れるわけないだろ
陽奈 帰れよ!呼んでもないのに
毎日毎日見舞いにきて!うざいんだよ!
何かが爆発したのか普段声を荒げない陽奈が声を荒げた。
驚きのあまり翼は何も言えずにいた。
陽奈 そんなに楽しい?!陽奈が全然良くならず
悪くなる所を見るのが!
陽奈が咳き込んでる姿見て心の中じゃ
笑ってるでしょ?!翼って結構最低なんだね
翼 そんなことない!
陽奈 だまれ!わかってるんだから!
陽奈はもう死ぬしかないって自由に移植できるように
なったからってドナーなんか見つかるわけないよ!
翼 わからないだろ
陽奈 わかるよ!もう要らないんだよ!
慰めの言葉なんかいらない!
そんな言葉くれるなら心臓をくれよ!
本当は陽奈は限界だった、それが爆発してしまったのだ。
これまでみんなの前では元気で大丈夫なフリをしていたのだ。
翼 わかってる
陽奈 分かってないくせに!もういいよ。陽奈は死ぬんだ
陽奈の目に光がなかった。本当に諦めたのだ助かることに
それでも翼は元気付けようとした。
翼 諦めるな!必ず俺が助ける
陽奈 だからそんな言葉要らないんだよ!
翼 陽奈がどう思うが俺は陽奈を助ける
陽奈 ほんとうざいんだよ!
正人 すまない翼くん。君の提案は受け取らない
正人達が病室に入ってきた
莉央 陽奈。これ陽奈の好きな
陽奈 うるさい!みんなして毎日来やがって
うざいんだよ!来るなよ!もう帰れよ!
家族にも当たってしまう陽奈。
莉央 当たり前じゃない!陽奈は大切な妹なんだから
陽奈 だまれ!口だけのくせに!
莉央 口だけじゃない!陽奈よく聞いて私の心臓をあげるわ
安心してもう助かるよ陽奈はこれからも生きて
デザイナーになって夢を叶えて
里香 何言ってるの?!莉央はそんなことしなくていいわ
陽奈は私が助ける。
ごめんなさいこんな辛い思いさせて
もうこの病院生活も終わらしましょう
私、陽奈の親でよかったわ
正人 お前たち何言ってるんだ。
その事については話しただろ
俺の心臓を渡して保険で入ったお金で少しの間は
生活すると決めたはずだ!
里香 だめよ!陽奈は私が助けます!
莉央 いや!私が助ける!
里香 それに正人さんは私達に駄目だと言って
どうして自分はいいのよ!
正人 それは!
陽奈 うるさい!!!もういいって!
無理なんだよ。陽奈は死ぬんだよ!
翼 そんなこと言うな!諦めるな!
必ず陽奈俺が助ける!俺の心臓を渡す
陽奈は生きろそして夢を叶えてくれ
皆が皆陽奈の為に命をかけようとしていた。
陽奈 翼のその優し過ぎる所がうざいんだよ!
翼 うざくてもいい!だってこの優しさは
陽奈、お前が俺にくれた優しさだから
この優しさは陽奈に返すよ
俺の最初で最後のわがままだありがとう
陽奈 なんでよ!なんでみんなして…
陽奈なんかのためにそんな事…
正人 みんな陽奈の事が大切なんだ
陽奈 大切なら居なくならないでよ!
心臓くれとか言ったけど居なくなったら
嫌だよ!陽奈みんなと一緒がいいよ!
陽奈はそう言うとこれまで見せなかった涙を見せた。
里香 陽奈…そうよね。一緒がいいわよね
莉央 ごめんね。一緒に頑張りましょう
正人 必ず見つけ出す。安心しろ
全員が納得したように見えたが
ただ一人まだ諦めてない者がいた。
陽奈 みんなありがとう
突然鳴り出す着信音。
翼 すいません、俺です。切り忘れてました。
と言い翼は電話に出た。
翼 どうした?
蒼 なぁーご飯食べに行こうぜ!20時半集合な!
翼 え、20時半集合?でも…
陽奈の事を心配する翼だがそれを感じた陽奈が答えた。
陽奈 大丈夫。行ってきていいよ
蒼 でもってなんだよ、無理なの?
翼 大丈夫、いけるどこに集合する?
蒼 じゃあいつもの店で!
翼 いつもの店ね、じゃあ後で
電話を切る翼。
翼 すいません。蒼とご飯食べに行くことになりました。
陽奈 行ってらっしゃい。
翼ありがとう…あとさっきは…ごめん
翼 おう。だからもう諦めるな
陽奈 うん
翼 よし、陽奈想像しろ!
病気が治って退院したら何がしたい?
陽奈 え、いきなり?うーん…
また翼達と映画見に行きたい!
翼 行こう!蒼にも言っておく
陽奈 それと20歳になったらお酒飲んでみたい
翼 気がはやいだろ
陽奈 あと2年だよ?
それとこの前は食べに行けなかったから
今度は4人でご飯食べに行きたい!
翼 好きなだけ食べていいぞ!
陽奈 本当?!
翼 当たり前!
陽奈 じゃあ焼肉がいい!もちろん翼の奢りで
翼 わかったよ。バイトしておくよ
陽奈 それとまた2人でスペースランド行きたい!
翼 ワンダーランドの方じゃなくてあんな所でいいのか?
いつでも空いてるぞ?
陽奈 うん。スペースランドがいい!
帰りはまた駅まで競争ね?
翼 次は負けないからな
陽奈 また陽奈が勝つもんねー
翼 させるかよ
陽奈は屈託のないあの笑顔で楽しそうに話していた。
陽奈 それと…それとね…
翼 大丈夫だ。任せろ!やりたい全部やろう!
だから退院するまでに考えておけよ
陽奈 …うん。ありがとう。翼は優しいね
翼 言っただろ。この優しさは陽奈がくれた優しさだって
陽奈 なにそれ…優しさなんてあげられないよ
翼 ううん。俺は陽奈からもらったよ
陽奈 そうかな
翼 そうだよ。じゃあ、また明日
そう言って足早に翼は蒼との約束の店に向かった。
陽奈 翼、まだ言いたい事あったのに
みんなさっきはごめんなさい!
里香 大丈夫よ、仕方ないわ
莉央 陽奈の気持ちを考えてあげれなくてごめんね
陽奈 陽奈ねみんなの前では元気に振舞ってる
つもりなんだけど本当はすごく怖い…
怖くて怖くて仕方ないもし死ぬかもしれないって
思ったら怖くて夜も寝れなくてずっと泣いた
ねぇ陽奈死にたくないよ
また涙を流した陽奈の手を姉の莉央が握り締めた。
莉央 大丈夫!陽奈は絶対に死なせない。
お母さんとお父さんもなんとかしてくれるはず!
正人 そうだ。病気だからしてあげれる事に限りがあるが
1人で抱えるなもっと俺達を頼っていいんだ
俺達は家族なんだから。
陽奈 お父さん、お母さん、お姉ちゃんありがとう。
一方、翼は蒼との待ち合わせの場所に着いたのだが
また蒼は遅刻している。
翼 蒼のやついきなり電話で誘ってきたのにまた遅刻かよ
これが最後になるかもしれないのに
蒼 ごっめんー!おばあちゃん助けててさ
翼 嘘はいらない
蒼 嘘じゃねぇよ
翼 そうですか。ほら何頼む?
蒼 はいよ。なんか今日いつもと違うな
高1からの付き合いでずっとそばにいた蒼は
翼の覚悟に違和感として気づいたのだった。
翼 そう?
蒼 なんだよ。何かあったのか?
翼 ないよ
蒼 お前はわかりやすいんだよ
翼 何が?
蒼 高校からの付き合いだけど恋人か!ってくらいずっと
一緒にいる事からわかるんだよ!
翼 気持ち悪い
蒼 はー?そんな言い方ないだろ
翼 こんな言い方しかない
蒼 で、何があったんだよ
翼 何もないって
あまりにもしつこい蒼に対して翼は苛立ちを覚える。
蒼 嘘つくなってあるんだろ?
翼 何もないって!
つい口調が強くなってしまう翼
いきなりのことで蒼は驚く
蒼 なんだよいきなり
翼 あ、ごめん。本当に何もない
蒼 そっか。じゃあ俺から質問する
突然な蒼の質問が始まった。
翼 なんだよ質問って
蒼 昨日の晩飯何だった?
翼 昨日の晩飯?えーとなパスタだったな
蒼 ほーパスタか。じゃあ次は今日何かあった?
翼 だからないって。お前もしつこいな
蒼 そっか。それじゃあ2日前は?
翼 2日前は…覚えてない
蒼 覚えてないんだ珍しいね記憶力のいい
翼が覚えてないなんて
翼 記憶力がいい俺だって忘れることぐらいあるよ
実際珍しかった。普段の翼なら1週間前のご飯まで覚えているほど記憶力がいいのだ。
蒼 そうだよな。じゃあ陽奈ちゃんって元気なのか?
いきなり質問が変わって準備してなかった翼は動揺した。
翼 え、ど、どうしてそんなこと聞くんだよ?
蒼 だって一応倒れた時に一緒にいたし
あれから陽奈ちゃんの話聞いてないから
前はよく陽奈ちゃんの話ししてたのに
翼 べ、別に元気だし蒼が気にすることじゃないよ
蒼 ほんとわかりやすい
陽奈ちゃんに何かあったんだろ?
特に興味はないけどな面白そうだから聞いてやるよ
翼 興味がないのはいいけど面白くはない
陽奈が今どんな状況知らないくせに
蒼の言い方に腹が立ちついカッとなってしまう翼。
蒼 おいおいどうしたんだよ。
ごめんよ俺が悪かった。
で陽奈ちゃんがどうしたんだ?
翼は蒼に本当のことを伝えようが迷ったが
本当のことを伝えた。
翼 陽奈はクヴァール・ヘルツ症になったんだ
蒼 クノアール・ヘルツ卿??なんだそれ
翼 誰だよそれ、クヴァール・ヘルツ症
6年前に発見された病気だよ
移植以外に助かる方法はないんだ
蒼 へーそうなんだ。で見つかりそうなのか?
翼 そんな簡単に見つかるわけだろ!
蒼 でも見つからないと陽奈ちゃん死ぬんだろ?
翼 そうだよ。わかってる!
蒼 どうするだ?当て見つかりそうなのか?
翼 あと半年しかないんだ。いや、もう半年もない
陽奈には時間がないんだ!
蒼 そんなこと言っても見つからないものは仕方ないだろ
翼 でも今の時代にはまだ4人しかやってないけど
あれがある。
蒼 あーそうだな。お、おい!翼お前まさかそんなこと
考えてないだろうな!
翼 そのまさかだ
翼だけはまだ諦めていなかった。
蒼 やめとけ
翼 やめない
蒼 やめろ!
翼 絶対にやめない。昔陽奈に助けてもらったんだ
今度は俺が助ける!
蒼 だからって自分の命を捨ててまで
助けるものじゃないだろ!
翼 助けるものなんだよ!陽奈は…陽奈は!
生きるべき人間だ!これからも生きて
夢を叶えて多くの人に光を与える人なんだよ!
蒼 なんだよ光を与える人って陽奈ちゃんは神か
なんかか?!違うだろただの人だ
翼 誰も神とは言ってない!でも陽奈には元気を
与える才能があるんだよ!
蒼 それに生きるべき人間?笑わせんなよ!
そうじゃない人間がいるみたいじゃないかよ!
翼 いるんだよ!みんなみんな命は平等だ!
命に優劣なんてない!
じゃあ人は何を食って生きているんだよ?!!
蒼 なんだよそれ、豚や牛、魚とかだ。だからなんだよ
翼 それには命はないのか?
豚や牛とかには命はないのかよ!あるだろ?!
蒼 そんなもの当たり前じゃないか生き物なんだからよ
翼 じゃあどうして人はそれを簡単に殺して食べる?
命は平等じゃないのか?!
蒼 そんなこと言われても仕方ないだろ!
俺が人が生きるためには殺して食べるしかないだよ!
翼 生きる為ならいいのか?
じゃあ自分が生きる為なら人も殺していいのかよ?!
蒼 それは違うだろ?それぐらいわかるだろ?!
翼 何が違うんだよ!わかんねぇよ!
人だからか?それとも犯罪になるからか?
蒼 …違うものは違うんだよ!
翼 だから何が違うんだよ!人は知能を得て
他の生き物より優れているからって
他の生き物の命は軽く扱い自分達
人の命は重く扱うそのくせ命は平等だと
綺麗事を言う。これのどこが平等なんだよ!
ただの人間のエゴじゃねぇか!
なぁ…教えてくれよ…命は平等ってなんだよ
もう俺わかんねぇよ
蒼 別に軽く扱ってないだろ
動物愛護団体とかあるじゃないか?!
翼 でも法律じゃどうだ?
動物愛護法があるけど動物を殺した場合
懲役2年以下、人を殺した場合懲役5年以上
見てみろよ、これが真実だ!
命は平等じゃない命には差があるんだ
蒼 だからって言ってお前が命を捨てて
陽奈ちゃんを助ける理由になれないだろ!
翼 だから言っただろ?!陽奈は生きるべき人間で
俺はそうじゃない人なんだよ!
親のいない俺にはもう何も失うものがない
蒼 なんでだよ!なんでそこまでするんだよ!
お前が居なくなったら俺は…俺は!
お前は失うものがなくても俺はお前を失いたくない!
あのお調子者の蒼が普段見せない弱い姿を見せたが
翼の覚悟は固かった。
翼 もう決めたんだ
蒼 なんでだよ!もう決めたとか言うなよ!
お前はこれからも生きて俺と一緒に楽しく
過ごしていけばいいんだよ!
命に差があるなら俺はお前の命の方が大切だ!
だから…だからやめてくれ…
翼 ごめん、無理なんだ…
蒼 そこまでする必要はないだろ
なぁ本当に無理なのか?
翼 無理なんだ
蒼 だめだ。絶対にさせない
そんな事絶対にさせない!
翼 するよ。どれだけ止められても俺はする
だから蒼これからの陽奈は頼んだ
蒼 断る。あんなわがままな子頼まれるかよ
翼 そんなこと言ってちゃんとやってくれるのが
蒼だってわかってるから。頼んだよ
蒼 断るって言ってるだろ
翼 素直になれよ
それにこうやって会うのも最後になるだろうし
蒼 嫌だね、絶対またご飯食べに行ってやる
翼 ありがとう
そして本当にこれが蒼と会う最後になった。
この帰りの道中での「草村 蒼」の事故死によって。
陽奈 ねぇお母さん翼ってどうして
あそこまでしてくれるんだろうね
里香 どうしてかしらね?陽奈の事が大切なんでしょ
陽奈 大切かー
莉央 陽奈は翼くんの事大切じゃないの?
陽奈 そうだねー大切とか考えた事ないからわかんなーい
莉央 それじゃあ、翼くんと陽奈の立場が
逆だったら陽奈はどうしてた?
陽奈 今のこの状況?そうだなー死んで欲しくないかな
ドナーが見つかるように神様にお願いするかな
莉央 それは大切ってことでしょ
陽奈 そうなのかな
里香 莉央そろそろ行くわよ
莉央 わかった
陽奈 行くってどこに行くの?
里香 おばさんの家よ。今日はおばさんの家で
誕生日会するらしいわ
陽奈 えーいいなー陽奈もおばさんの家行きたーい
里香 治ったら行きましょうね
莉央 本当おばさんって元気だよね。陽奈みたい
里香 そうね。それじゃあ大人しくしておくのよ
何かあったら先生呼んでね
陽奈 大丈夫だって!もうすぐ翼来るし
里香 それなら良かったわ
陽奈 じゃあバイバーイ
陽奈 早く翼来ないかなー今日の差し入れ何かな
陽奈 く、苦しい、早く…きて、
突然苦しくなった陽奈はすぐにナースコールを押した。
陽奈 助けて…翼、助け…て…
苦しみ続ける陽奈の元に
翼が来たが陽奈は気を失ってしまう。
それから1時間は経っただろうか。
陽奈が目覚める様子はない。
翼 陽奈…目を覚ましてくれ…
そしてまた1時間ほど時間が経った時陽奈が目を覚ます。
陽奈 ん、ん、んー
翼 ひ、陽奈!大丈夫か?!
陽奈 だ、だれ?
翼 え、何言ってるんだよ俺だよ
陽奈 本当に誰?
翼 もういいって起きろー
陽奈 やめてっ!さ、触らないで
陽奈は何故か翼のことを拒絶した。
それにどこか他人行儀である。
陽奈 あ、ごめんなさい。
でもいきなり君が触ろうとしてきたから
翼 君って本当に俺が誰かわからんみたいな
言い方するなよ
陽奈 わからない。君は誰?
翼 本当にわからないのか?
陽奈 ごめんなさい。本当にわからない
翼 そんな…記憶喪失まで
陽奈はごく稀言われる記憶喪失まで併発してしまった。
陽奈 えっ陽奈が記憶喪失?!
誰かわからないけどそんな嘘言わないでよ!
翼 自分の名前は覚えているのか
陽奈、あ、須藤さん君が覚えていることって
何がある?
翼は陽奈のこと思って名字で呼ぶことにした。
陽奈 陽奈が覚えてること?どうしてそんなこと聞くの?
翼 いいから教えてほしい
陽奈 うん、あれ?待って全然思い出せない
翼 何か覚えてることない?
陽奈 自分の名前家族の名前ぐらい後は夢!
翼 そっか…翼って名前は覚えてないかな?
陽奈 翼?覚えてない。そんな人知らない
翼 じゃあどうして今、病院にいるのかも覚えてない?
陽奈 あ、ここ病院か!どうして陽奈病院にいるの?
翼 ただの肺炎だよ…ただの肺炎
陽奈 肺炎?
翼 そう肺炎。でももうすぐ良くなって
退院できるんじゃないかな?
陽奈 そうだとしても君は誰?
翼 名前?…つば、司だよ!
自分の名前を嘘をつく翼。
陽奈 司くんか、いい名前だね!
それでどつしてここにいるの?
翼 あーたまたまだよ!
陽奈 たまたま?じゃあどうして陽奈の名前知ってるの?
翼 あ、えーとそれは…
陽奈 それは?
翼 友達の見舞いに来てる時に
よく名前を見てたからかな
また嘘をつく翼。
陽奈 へーそうなんだ。
翼 うん
陽奈 もしかして司くんって陽奈のストーカー?
翼 え?!は?!!
陽奈 たまたまって言ってるけどたまたまだけで
そこまで知ってるかな?
翼 本当にたまたまだよ!
決してストーカーじゃないから!
陽奈 まぁどっちでもいいや!
翼 あ、そっか
突然なストーカー疑惑に焦ってしまったがなんとか
誤解は解けた。
陽奈 あ、そうだ!丁度いいから話し相手なってよ!
翼 いいよ
陽奈 じゃあねー司くんの夢って何?
翼 俺の夢はい…ない!
陽奈 えーないの。つまらないね
陽奈はねデザイナーになりたいんだ
翼 へーそうなんだ
陽奈 デザイナーになって陽奈の考えたデザインを
街で見ることが夢なんだ!そしていつかは陽奈の
デザインで街をいっぱいにしたいんだ!
翼 諦めずに頑張れば必ず叶うよ
陽奈 うん。司くんも夢見つけなよ?
翼 頑張って探すよ。
でも夢じゃないけど大切な人を守りたいかな
陽奈 大切な人を守りたいか
じゃあ医者とかは?大切な人だけじゃなくて
多くの人を助けて守れるよ?
翼 医者か…いいかも
陽奈 うん!司くんは医者になりなよ!ってこんな事
初めてあった人に言われてもなんだよって感じだよね
翼 ううん。俺の夢医者にするよ。
叶うかわからないけどね
陽奈 諦めずに頑張れば必ず叶うよ
翼 それさっき俺が言った
陽奈 いいじゃん!別に!
2人は笑った、翼は声出して久々に笑った気がした。
翼 ねぇ須藤さんは死ぬのって怖い?
陽奈 なにいきなり
翼 いや、俺の知り合いにさ移植しないと
死ぬ子が居てその子に自分の命を犠牲に
自分の心臓を移植するって言ってる子がいたから
陽奈 なにそれ!絶対そんなことダメだよ!
病気の子が悲しむよ
その子に言っておいてそんなことしちゃだめって!
翼 わかったよ
陽奈 死ぬのが怖いなんて当たり前だよ
だから私達は死から目を逸らすために
毎日楽しい事を見つけて生きていくんだよ?
翼 死から目を逸らすために楽しいことを見つけるか
須藤さんってちゃんと考えてるんだね
陽奈 何それひどっ!それに出来れば死にたくないよ
でも死があるからこそ今を楽しもうと
思うんじゃないかな?
翼 そうだね、今日が最後でもいいように
陽奈 そう。今日が最後でもいいように
毎日毎日全力で生きていくの!
翼 うん。じゃあ、そろそろ行くよ
陽奈 えーもう?バイバイー
また来ていいからねストーカーさん
翼 だからストーカーじゃないって!バイバイ
ストーカーの疑いはまだはれてなかったようだ。
そして翼は部屋を出る前に最後に一言だけ
言って出ていった。
陽奈 ん?どうしたの?
翼 陽奈、これからも楽しく過ごせよ、楽しかった。
ありがとう
陽奈 え、ちょ!今陽奈って…それに楽しかった
ありがとうってなに?
時は経ち半年後
いつもの日常が戻っていた
陽奈 寒いー
莉央 今日の気温0度らしいからね
陽奈 お姉ちゃんカイロ持ってる?
莉央 持ってるけど?
陽奈 ちょっと出してみて
莉央 どうして?
陽奈 いいから!出してみて!
莉央 いや!絶対陽奈盗るから
陽奈 盗らないよ。借りるだけだよー!
莉央 良いように言わないで
持ってきてない陽奈が悪いんでしょ
陽奈 なんていう姉なんだ。
まだ退院して1週間ぐらいの子に
カイロも貸してくれないなんて
莉央 はぁーもうわかった。はい貸してあげる
陽奈 やったーー!!!暖かいー生き返るー
莉央 遭難してる子じゃないんだから
陽奈 いいじゃん!
莉央 はいはい。それより遅いね
陽奈 うん。遅いーー!!遅刻ー
莉央 陽奈が言えたことじゃないでしょ
陽奈だって今日用意遅かったでしょ
陽奈のせいで待ち合わせにギリギリだったし
陽奈 もうまだ言うの?!
うるさいなーケチケチ言うなよー
莉央 うるさくない
陽奈 うるさい
翼(司)が遠くから走ってくる。
陽奈 あ、司くん!遅い!
翼 ごめん遅れて。電車乗り過ごしちゃった
陽奈 何やってんのーじゃあさっさと行こっ!
莉央 そんな急がなくていいよ
陽奈 だってお腹すいたもん!
早くインド料理屋行きたいのー!
莉央 はいはい。わかった
翼 相変わらずですね
莉央 そうね、元気は元気だけどね
陽奈 あ、羽だ!!
翼 汚いからやめろ
陽奈 手洗えばいいじゃん!ほら、羽。翼ー
と言って子供のように手をバタバタさせる陽奈
翼 汚いって…
陽奈 翼…
翼 え?
陽奈 なんか思い出せそう、あーだめだ!早く行こっ!
お腹すいた!
翼 よし、行こう!
陽奈 お姉ちゃんも早くー!
走り出す陽奈、それを莉央が追いかける
莉央 待って陽奈。司くん、いや翼くんも
早くしないと置いてかれるよ
たまに莉央は翼と呼んでいる。
翼も後を追おうと走り出そうとするが咳き込んでします。
翼 風邪かな
完
もし最後まで読んで下さった人ありがとうございます!無事、陽奈ちゃん生きてますね!それに翼くんも司となって生きてますね!ところでどうして二人とも生きているんでしょうか?最後まで読んでくださった人はもう分かりますよね?と言ってもこれと言った答えが分からなくても大丈夫ですなぜなら一人一人が考えた結末で大丈夫だからです!陽奈ちゃんの心臓は誰の心臓なのかは貴方の考える人でいいんです。まぁ一応正解はありますけど分かりやすくしてますしね笑
本当にありがとうございました!^_^