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あの日の記憶

作者: 疲れたセンチメンタリスト

あの日僕は、、、普通ありえないことを経験した。懐かしい記憶だ。









【ピピピピ ピピピピ ピピピピ ピッガタッ】

 僕は目覚まし時計を止める。時刻は午前7時ちょうど。いつも起きている時間だ。

「(起きるか。)」

と僕は心の中で呟く。

「あれっ?」

僕はベッドから起き上がろうとしたが体の上に何かが乗っかっていて起き上がらなかった。

「なんだ、これ?えっ!?」

僕は何が乗っかっているのか確認するために起き上がったのだが

『うみゅ?あ、パパ?おはよ〜。まだ寝てたーい。』

人の声がした。幼い少女の声だった。しかもパパときたものだ。いったい誰なんだろう。そう思い僕は少女に

「君は誰だい?」

と聞いた。すると少女は驚いて

『えっ?忘れちゃったの?パパ?』

と言った。本当に驚いているようだったのでこちらとしてもどう返せばいいのか分からなくなりとりあえず

「僕は君のことを知らないのだが君は僕のことを知っているのかい?」

と返した。少女はこう言った。

『知ってるに決まってるでしょ〜?だってパパなんだもの。』

僕にはわけがわからなかった。パパ?僕はまだ高校生だ。仲のいい幼なじみはいるが交際などしていない。年齢=彼女いない歴の自分が子供なんているわけがない。だが少女は自分のことをパパという。とりあえず名前を聞く。

「君の名前は?あと僕の名前とママの名前はわかる?」

『うん。私の名前は夢崎彼方。パパの名前は夢崎絆でママの名前は夢崎癒月。だったはず。』

驚いた。自分の名前を言い当てられたからだ。そしてママの名前らしい癒月とは名字は違うが僕の幼なじみの雪仲癒月の名前と同じだった。つまりこの子の中では僕と癒月は夫婦でこの子を授かっているということだ。どういうことだ?この子は未来からやってきたとでもいうのだろうか。しかしなぜ自分の母親の名前が曖昧なのだろうか。

「でもなんでお母さんの名前をしっかり覚えてないの?」

僕はこの質問をしたことを後悔した。

『だって私がもっと小さいときに死んじゃったから。』

今にも泣き出しそうな顔で少女は言った。どういうことだ?この子の言う癒月が僕の知る癒月だとしたらこの子がもっと小さいとき。この子の見た目はおおよそ小学校一年生あたりだろうからこの子が5歳や6歳といった頃なのだろう。その頃に癒月は死んだと言うことだ。

「言いたくなかったら言わなくてもいいんだけどなんでママは死んじゃったの?」

『ごうとうって人に殺されたって。ごうとうって人がわからないけどその人にママは殺されちゃったみたい。』

強盗。つまり盗人に殺されたらしい。許せなかった。こう言うのもなんだが僕は癒月が好きだ。ずっと小さい時から一緒に遊んでて小学校・中学校・高校全て同じところに通っている。癒月はいつも優しくて笑顔で僕が辛い時は励ましてくれて、僕の支えになってくれている。そんな人が殺されたと聞いて何も感じなければそいつは人間ではないだろう。

「それっていつだったか知ってるかい?」

僕はその日のことを知りたかった。

『あんまり詳しくは覚えてないけどせいれき?って言う時の20xx年の3月だったはずだよ。』

今日は20xx年の3月。ちょうど十年後だ。つまりこの子は12~3年後の世界から来たと言うことだろう。しかしなぜそんなことが起こったのだろうか。

「とりあえず朝ごはんにしないとな。」

『ごはんー!』

思わずキュンとしてしまった。うちの娘、かわいすぎだろう。笑顔で全身で喜びを表している。なんというか、尊かった。

〜数分後〜

「ご飯できたよー。」

『はーい!』

今日の朝ごはんはちょっとした野菜のサラダとトースト。トーストには苺ジャム。これは一番よく自分が作っている朝食だ。

「『いただきます。』」

僕たちは声を合わせて言った。

「どう?美味しい?」

と聞くと彼方は

『うん!』

と満面の笑みで言った。かわいい。

〜十数分後〜

「ごちそうさまでした。」

『ごちそうさまでしたー!』

僕たちは朝食を食べ終えて席を立つ。

「お皿をキッチンまで持ってきてくれる?」

『はーい!』

自分の使ったお皿をキッチンまで持って来た。いい子だ。

「はい。よくできました。」

そう言って僕は頭を撫でる。なぜか自然と撫でていた。

『んー!』

かわいい。しつこいかもしれないがうちの子、かわいすぎる。そしてふとその笑顔に癒月の面影があった。

「やっぱりあいつの娘なんかなぁ。」

僕はそう呟いた。

【ピンポーン】

家のインターホンが鳴る。今の時刻は午前8時。この時間に僕の家を訪ねてくるのは1人だけ。癒月だ。

「おはよう。」

癒『おはよー!どうしたの?なんかほおが緩み切ってるよ?』

「そうか?緩んでたか。まあとりあえず上がってよ。そこで理由は説明する。」

癒『おっけー。』

リビングに行く。

『ママー!』

癒『え?ママ!?どういうこと!?』

「まぁ、そういうことだ。」

机に向かい合って座る。彼方は折り紙で遊んでいる。

癒『どういうこと?』

「僕に聞かれてもよくわからん。ただ朝起きたら僕の上で寝てた。」

癒『へー。それで?ママってどういうこと?』

「ちょっと朝起きてから色々質問したんだ。そしたら多分あの子は未来から来たんだと思った。」

癒『なんでまた突然。君ってそんなこと言う人だったっけ?』

「いつもの僕だったら絶対言わないと思うけど僕の名前も君の名前も知っていたんだ。」

癒『へー。でもつまり君があの子のパパで私がママってこと?』

「多分そう言うことだろうな。それとかなり興味深いことを言ってた。」

癒『どんなこと?』

〜青年説明中〜

癒『なるほどね。私が強盗に殺されていると。』

「そう言うこと。」

癒『よく分からないけどもしかしたら事実なのかもしれないわね。』

「だろう?」

癒『うん。私もなんかその話聞いてたら事実な気がして来た。』

僕たちがしばらく悩んでいると

『パパーママーお出かけしよー?』

彼方がこっちに来て言った。

癒『お出かけかー。そうだ!近くの回想山にでも行く?』

「おっ。あそこか。いいな。彼方も行くか?」

『行くー!。』

「おっけー。それじゃあそのあと服屋さんにも行かないとね。」

癒『服屋さん?なんで?』

「だってこの子の服。」

癒『そっか。ないもんね。』

「そう言うこと。まあとりあえず回想山だね。」

癒『そうね。』

『行って来まーす!』

癒『「いってきます。」』

鍵を閉めて家を出る。回想山は結構近い。徒歩で十分といったところなのだが流石に小さな子には少し大変だったみたいで麓に着くまで15分かかった。

『桜が綺麗だねー?』

癒『そうね。そういえば中学に上がるまで毎年一緒にお花見もしてたよね。』

「そういえばしてたな。中学生になってからは一回もやってないけどな。」

癒『また今度行く?』

「それもいいな。」

そう言いながら山を登っていると山頂が見えてきた。

『やっぱり大きい桜だねー!』

癒『やっぱり綺麗ね。』

「なんも変わってないな。」

そこにあったのは一本の枝垂れ桜。回想桜とも呼ばれている。その桜の近くに行くと昔の記憶が蘇ったという伝承があったらしい。

『ママー!』

癒『どうしたの?彼方?』

『抱っこしてー?』

癒『いいわよ。おいで?』

『ママー!ぎゅー。』

癒『ぎゅー。』

「かわいいな。」

癒『かわいいわね。』

『えへへ〜。』

なんというかかわいいの一言に尽きる。しかしいきなりこうなったのに随分と自然だな。

「しかし癒月どうしたんだ今日。なんというか、母親って感じだぞ。」

癒『そう言うきーくんも父親って感じだよ?』

「本当に?そっかぁ父親かぁ。」

そういって朝食卓を三人で囲んでいつもの朝食を食べる風景を想像する。なんというかすごいしっくりきた。どうやら癒月も同じことを考えていたらしい。何か考えている顔をしてから僕の視線に気づくとニコッと優しく笑った。なんというかとても綺麗で可愛かった。

癒『そういえば私たちってこの子が生きてるときには結婚してたのよね?』

「彼方がそういってるな。」

癒『つまりこの子が生まれるっことよね。』

「そうだな。」

癒『つまりいつかこの子は一回消えるってことだよね?』

「、、、そうだな。」

癒『それはいつなのかな?』

「、、、今考えてもしょうがないだろ?」

癒『そうね。』

その時ふと頭の中で声がした。

《ねぇ。ちょっとこっちにきて?》

「(誰だ?)」

《桜。》

「(それは君の名前かい?)」

《違う。今あなたの目の前にある桜。》

「(うそだろっ!?)」

《ホント。早速本題に入るけどあの子は未来から来たってことはわかってるよね?》

「(あぁ。それがなんだ?)」

《いや。あの子はどうやら違う世界線からこの世界線に来てしまったらしくて未来がぐちゃぐちゃになってしまったんだ。》

「(違う世界線?どういうことだ?お前には世界線を越える力でもあるっていうのか?それとなんだ?未来がぐちゃぐちゃになるって。)」

《まぁそう一気に質問しないの。そんなこと一気に聞かれても答えられないから。》

「(いいから答えろ。)」

《せっかちだなぁ。まぁいいや。簡単に説明するとパラレルワールドだ。》

「(パラレルワールド?)」

《そう。パラレルワールド。ifルートとでもいうかな。君たちがいたのは【雪仲癒月が強盗にあったが怪我を負わされただけで命に別状はなかった】という未来がある世界だ。だがあの子がいた世界は違う。あの子のいた世界は【雪仲癒月は強盗に心臓を突かれ死亡し、夢崎絆は心を病んでしまった】世界だ。あの子はそのことを知って深く悲しんだ。それこそ君と同じくらい。そしてあの子は一度聞いた回想桜の伝承を思い出して回想山を登った。もう一度パパとママと笑いたいって強く強く念じながら。まだ幼いのにね。》

「(一人で登ったのか?ここまでくるのに大人でも二時間はかかるんだぞ?)」

《そう。あの子はここまで一人できた。桜の根本を見てごらん。》

「(なにかあるのか?)」

癒『きーくんどーしたのー?』

「ん。ちょっと見てみるだけだよー。」

「(で。なにがあるってんだ?)」

《ここ。土に少し埋まってるけど箱があるだろう?》

「(ああ。それがなんだ?指輪ケースみたいだが。)」

《そう。これは君が未来で彼女に贈った指輪だよ。》

「(俺が?あいつに?)」

《そうだ。》

「だとしたらなんでここに?」

癒『きーくん何か言ったー?』

『パパー。一緒に遊ぼー?』

「ちょっと待っててー。」

《話を続けるね。あの子は君たちがこの箱を見ては笑顔で話しているのを知っていた。だけど彼女が死んでからは君はこの箱を目のつかないところに置いた。そしてあの子はその場所を知っていた。》

「(それで彼方はその箱を持ってお前のところに行ったと?)」

《そう。そして君たちとつながりの深い箱と君たちに会いたいというあの子の強い思いが僕たちのつながりに干渉して世界線を歪めた。そして未来が全て消滅してしまった。》

「(消滅?どういうことだ?)」

《そのまんまの意味だよ。消滅。世界線が絡まってお互い逆の未来がぶつかり合って消滅した。つまり君たちがこれからどう動くかで全て変わってくるんだ。もしかしたら君たちは結婚することなく生涯を過ごすかもしれない。もし結婚したとしても離婚してしまうかもしれない。もしかしたら強盗に会うのが彼女ではなく君やあの子かもしれない。それは僕らにもわからない。》

「(まて。ということは彼方がくるまでは未来がいくつかあったということか?)」

《そういうこと。というよりもこの未来は遥か昔。僕たち桜が生まれる前から存在していたんだよ。だけどあの子が来てからは全て崩壊した。これから生まれる歴史。それが全てだ。僕たちが回想桜と呼ばれていたのは時々記憶の因子を強く持つ人が僕たちの記憶を吸収したり覗き見れたりしたからなんだよ。でもこれからはそういうことはなくなるだろうね。僕たちは一種の記録だ。未来も過去も現在も全てを記す記録帳だったんだよ。でもこれからは歴史を記すものになるね。》

「(俺たちはどうすればいい?もし俺たちが結婚しなければ彼方は消えるのか?それとも彼方は彼方として存在するのか?彼方はいつか消えるのか?)」

《消えるよ。いつかは。今の君たちならばね。》

「(どういうことだ?)」

《今の君たちならばおそらく結婚して子供も生まれる。その産まれる子供があの子なんだ。あの子が消えなければ同時に二人のあの子が存在することになる。それはありえない。だから君たちが子供を産む未来が確定した瞬間あの子は消える。そしておそらく産まれた子が消えた瞬間の年齢に達した瞬間この記憶も思い出すはずだ。自分が経験したことがないはずの記憶としてね。》

「(大丈夫なのか?)」

《たぶんね。》

「(不安要素しかないんだが。)」

《大丈夫だ。僕がそういうんだから。》

「(あやしいなぁ。不安になってくる。)」

《まぁ君たちのなりたい関係になればいいさ。それがハッピーエンドかバッドエンドかは知らない。それは神すらも知らないことだろうからね。》

「(ややこしい言い方をするな。つまりなるようになるってことだな?)」

《ま、簡単に言えばそういうこと。あとその箱もあの子と同時に消えるよ。あの子をここに固定させている鍵みたいなものだから。》

「(なるほど。まぁ俺は自由に過ごせばいいんだな?)」

《まぁそういうことだ。楽しみなよ。せっかくの人生なんだから。》

「(言われなくてもそうするさ。)」



「というのがあの日僕たちの身に起こっていたことの真相だよ。」

癒『なるほどね。道理でなんか誰かと会話している感じがしたのね。』

「わかるのそういうのって?」

癒『そりゃあそうよ。そうに決まってるじゃない?だってあの時でもあなたともう10年以上一緒に過ごしているのにそれすらわからないわけないじゃない。さて。彼方も遊んで欲しがってるし行きましょ?きっくん?』

『パパー、ママー。遊ぼー?』

「わかったー。ちょっと待っててねー。」

癒『何して遊ぶー?』

『んー。折り紙!』

癒『わかったー。持っていくから待っててねー。』

『はーい。』

「ま、とりあえず俺たちは今を全力で生きるしかないってことだ。」

癒『幸せにが抜けてるわよ。あなた?』

「ははは。そうかもな。」











どうやら今回はハッピーエンドみたいだね。バッドエンドな世界が存在していないけどまぁそれでもいいんじゃないかな。お幸せに。夢崎絆、夢崎癒月、夢崎彼方。

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